闇バイトが流行ってるらしいから『裏バイト』と照らし合わせて金銭面を見てみる
創作活動をしている身ですが、いちばん書きたい怪人ものが書けていません。ウケないだとかの理由もそうなのですが、それ以上に時事ネタをちょこっと拾ってお話を作る方法が使えないんですよね……。時事ネタがどれもこれも危険すぎる。
最近は「闇バイト」とかいうのが流行ってるそうだと動画で見て、「“闇”バイトという名前が若者をある意味で惹きつけてしまっている。珍走団のように代替案を考えるべきか」「メディアが詳しく報道しすぎて、新聞を読めば模倣犯になれる」ってのを観ました。はえーと思って新聞を読んでみますと、なるほど、手口が丸ごと乗っています。ちょっくら資金あれば私でも始められそうやね……
ダサい名前かぁ。私はセンスないんで「ベタ」とか「下足」とか、ほかの意味がありそうな言葉しか思いつきませんでした。とりあえずベタって言う。なんかいい名前が出てきたら便乗しますんで、誰かよろしく(無能)。都合よくリスクを押し付けられる、高額報酬に釣られる人……ってところでちょっと思い出したのが『裏バイト 逃亡禁止』って漫画。というわけで、私が働いてたころの給料を晒しつつ、お金を払う側が報酬をどう考えてるのかを推察していきたいと思います。給料の話はつまんないから、先に漫画の話ね。
1,『裏バイト』の概要
漫画のあらすじを簡単に紹介すると、いろんな理由で大金を必要としている人が、ものすごい高額の報酬(時給十万とか、日当百万とか)を提示する、訳アリのアルバイト「裏バイト」をやるお仕事モノです。怪異が出てきたりヤバい人がいたりと、この「訳アリ部分」が本作のキモで、そこに着目したホラーが本作の主題になっています。どう怖いのかどんな設定があるのかはひとまず置いといて、本題である報酬がどう扱われているのかをパターン分けしてみましょう。
・(人が)エサ
絶対に誰かがやらなければならない、けれど手勢は使えない。そういうときどうするかというと、事情を知らない誰かを騙して押し付けるしかありません。「見つかって逮捕されんのお前らだけど、どうせ死刑なんないしだいじょうぶw」ってのがまさにコレ。
この漫画に登場する怪異は、じつにさまざまな方法で人を引き寄せ、喰ったり取り込んだり憑り殺したりします。特定の場所に来る、何かを開けるといったどう考えてもアカン手順を仕事の内容に盛り込み、募集に釣られてきた人をある意味での生贄にするわけですね。
・(リスクガン無視で)バカスカ儲かるから高額報酬
ときたまではありますが、「この仕事でどんな利益が出ているのか」が明示されることがあります。呪いの人形をお祓いしたり、人魚を競り落としたりといった仕事は巨額の利益を生むため、ただのアルバイトにもとんでもない金額を支払う余裕がある……のですが、当然すさまじいリスクが伴います。
じっさいはこれ、素人による「お祓い」の代償、人魚を漁獲するとどうなるかなど、怪異に対処するリスクをぜんぶド素人に押し付けているだけです。強盗は人が持ってるお金を奪うだけなのでそりゃ儲かりますが、警察に追われたときに真っ先に捕まるのは足跡とか指紋とか、証拠を残した人物=現場にいた実行犯ですね。
・実質支払ってない
高額報酬をエサにしてアルバイトを釣る→でもアルバイトは死んだから報酬なんて払ってない、ってパターンは『裏バイト』だと意外に多くあります。おそらくなんですが、闇バイトでも「即日報酬でウハウハ、次も楽しみ→逮捕されておじゃん」がそこそこあるんだろうなぁと。取り上げられる十万より、一か月粘った十五万の方が美味いと思うんだけどなー……私も仕事はしたくないけど()。
当然、すぐには逮捕されない立場の司令塔たちは丸儲けです。お金の分配を好きに決められるので、そろそろやばそうなやつに口約束して頑張らせる→案の定逮捕、なんてこともできたりする。払わなくていいお金で人を動かせるんだから便利なもんです。
・こうでもしないと人が来ない
高額報酬でアルバイターを釣る裏バイトのほとんどは上記のいずれかに当てはまり、募集をかけている人はぜんぜん損をしていません。が、ときたま本人が損をしてでもえげつない金額を提示し、どうにかして人を確保しようとするパターンがあります。だいたいがいわくつきの土地で働くやつ。
とはいえ「お金がもらえる」ことを条件に働く人がほとんどなので、アルバイターは高額報酬に目を輝かせて飛びつきます。土地がアカンときは本当にやばいので、アルバイターが数十人いても全滅してたりしますね。
2,年収晒し
今は働いていませんが、昔はそこそこ稼いでいました。派遣の工場労働者だったんで、年収三百万近かったですかね。介護もやったことあるけど、まあうん……あれはちょっとね。心霊体験もした、人の死も見送った、ってなると次はやりたくない。
工場は危険だらけで、しかも労働時間もクッソ長いです。一日八時間労働とかウソやで。生産ノルマは先に決まっていて、ノルマを終えるまで残業が続きます。あんましダメだと夜勤分に回されますけど。土曜出勤もけっこう多くて、日々の買い出しにも支障が出ていた思い出。
こんだけ働いて手取り25万くらい、体力のある若い男ならけっこういいとは思うのですが、ヒョロガリ豆もやし君だったんで限界が来てしまいました。食事に気を遣わなかったせいか汗疱湿疹にもなってしまって、えらい目に遭いましたね……貯金を三百万円くらい残してたのが救いで、ギリッギリでニートをやっています。
次に介護をやったんですが、手取り13万円でした(泣)。無資格だとこんなもん。こんだけキッツいのにおかしくね? と思うかもしれないんですが、募集に来る人の種類を分析してみると、これでもいいことが分かります。
ずばり言っちゃうと、この仕事って、子育てが終わった主婦さんが入るものなんですね。夫の扶養に入ってるからバリバリ稼いでも控除から外れちゃって無意味、そもそもある程度余裕のある人が入るからお金欲しい!! ってならなくて、誰も文句言わないんですよね。大学時代に読んだ『ヘルプマン!』って漫画だと給料が低い仕組みが説明されてたんですけど、労働者がなんも言わないから変わらんだろうな……
いろいろとキツいところも「子育てが終わった主婦」の人生経験からしたら軽いものみたいで、なんか変なものを見たと先輩に相談したときも「あの人……ではないか?」みたいな反応でした。まるで不惑にもなりゃ霊のひとつやふたつ見てて当然みてーな反応するじゃん、こえーよ。甘えんぼさんが急に「痛い、痛い」って言いだして早晩亡くなったときがいっちばんキツかった。
3,まとめ
こんなふうに、仕事のきつさと支払う側の事情、あと労働者の立ち位置でお給料はだいぶ違ってきます。資格職の給料はめちゃくちゃ高いので、介護も十年くらいキャリアアップ続けたらそれなりにはなれる、かな。その前に正看(看護師)になる人が多いって聞いたけど。
この視点でベタの仕事と報酬を見てみると、仕事はそこそこ楽で労働者の地位も高めですが、どこが法律違反じゃないのか分からないくらいリスクガン積みです。安く雇ったうえで雇用者に追及が及ばない、ていのいい身代わりが欲しいからベタを募集するわけですね。説教臭いことは言いたくないんですけど、いっぺんメシ食ったら終わりでいいのか、そこはちょっと疑問ですね。
あと、ニートの立場で言わせてもらうと、楽しいことだけしてても楽しくないです。なんかじわじわと、のどに泥がせり上がってくる感じ? 同僚と愚痴を言い合える仕事について、大きすぎないストレスをかけてた方が、トータルでは楽しい人生になるんだろうなと実感しています。
漫画の話として紹介はしましたけど、まるで伝統のように、雇用主は労働者をひどく軽く扱いがちです。お金分けてやるから仕事頼んだ(負担は労働者が負う)ってスタイルが産業革命なんかの時代からいっさい変わってないのマジで笑う。なんならひどくなってるし、時代に逆行してるんだよね。
ふつうの人が多い社会じゃないと怪人はやっていけないので、世の中が少しでもよくなることを期待しましょうか。そのための行動のひとつとして、この記事を投稿しておきます。
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