マレーシアの"温泉文化"
"温泉"と聞いたときに、あなたはどんな形態、様式の温泉を思い浮かべるだろうか。
おそらく温泉旅館、スーパー銭湯のような、「男女に分かれており、洗い場があって、何個も湯船があって、身を休めるところで、、、」といったものを想起するのではないか。これは、日本人が形成してきた温泉の一つの"型"である。
今回は自分が旅行してきたマレーシアにおいて、人々がどのような"型"の温泉を形成してきたのか、つまりは温泉文化を個々の温泉を紹介していくことによってお伝えしたい。
日本とマレーシアという5000km程離れた国で、温泉文化がこれだけの違う形で発展した経緯に思いをはせながら今回の記事を読んでいただければ幸いである。
1.Sungai Klah hot spring park
スンカイ駅というマレー鉄道の田舎駅からタクシーで20分ほどの場所にある温泉。
温泉自体は男女に分かれておらず、水着にシャツを羽織って入るのが一般的なスタイルであった。
広々とした園内に野外温泉のほかにカフェ、売店、プールなどの施設もある。温泉も家族で入れるサイズのもの、非常に大きく中央に滑り台のような遊具のあるものなどバラエティーに富む。中には温泉卵を作れる場所もあった。
名前に"hot spring park"とあるように、温泉であると同時に公園としての側面が強く、家族、友人で遊びに来ているといった層が大多数であった。
この例を見ても、日本とマレーシアの温泉文化の違いを実感いただけるのではないか。
2.The banjaran hot spring resort
イポー駅からタクシーで30分ほどの場所にある、高級リゾート温泉。ホテルを使用すると1泊5万円以上、日帰り入浴だけでも1万円程するマレーシアの高級温泉。ジャングルを模した園内に温泉のほか、温水を利用したサウナ、プール、洞窟内部のレストラン、崖の上のカフェ、など様々な施設がある。
ここでもやはり水着にシャツで入浴するのが一般的。温泉自体は3-4人用くらいの大きさのものが4つしかなく、どちらかというとサウナ、プールなど別のものがメインな印象。
サウナは湧き出した温水を洞窟内部に流すことによって、洞窟内部に高温多湿の状態を作るというもの。日本のサウナと比較し非常に低温だが、洞窟の神秘的な雰囲気の中で汗を流すことができる。
また園内にはサウナ以外の洞窟が散在し、レストラン、リラックススペースのように様々な用途で使われている。
以上がマレーシアの高級リゾート温泉施設だが、やはり日本の温泉旅館とは一風違うことをご理解いただけたら幸いである。
下にアクションカメラで撮った園内の様子を載せておく
3.Lost World of Tambun Theme park
動物園、遊園地と同じ園内に、なぜか温泉とプールがある施設。日本でいうUSJのような立ち位置なのかもしれない。温泉と動物園が隣接しており、「感染症の可能性があるので動物園内には裸足で入らないで下さい」という注意書きがあったのが印象的だった。(ちなみにダチョウがいる場所までは裸足かつ水着で入ることができた)
温泉、プールのエリアのみ夜間開放されていた。外見はナイトプールのようであり、煌びやかにライトアップされている。だが利用者は家族連れや中高年の方が多く、雰囲気としてはイメージは夏休みのプールとスーパー銭湯を足して2で割ったような雰囲気。温泉の水温自体は非常にぬるく、長時間つかりながら、屋台でかき氷などを食べつつ、心と体を休めることができた。
4.Selayang Hot Spring
マレーシアの首都クアラルンプール郊外にある、地元民が集まる温泉公園。詳しくは以前の記事でご紹介しており、詳細は割愛する。ここでは画像のみ添付させていただく。
https://note.com/honest_kidney/n/n060d03f4b9e3
結語
以上、自分がマレーシアで体験した温泉をご説明したが、日本の温泉とは異質なものばかりであり、正確に説明することが難しいと感じた。自分は医師であり、体験したことのない希少な難病を勉強しなければいけない状況が多々ある。その際、病気の機序、臨床像などは字面では理解できても、なかなか全体像として病気をつかめず、実際に難病の患者様を拝見したときに、病気の理解が非常に深まるということをよく経験する。
おそらく読者の皆様も同じような状態になっていることだろう。やはり異国の温泉文化というものは、医師にとっての病気のように一度自分の身で体験しないと把握すことは難しい。皆様にはぜひ現地に赴き、温泉施設へ行くことをお勧めする。今回の記事がそのきっかけとなれば幸いである。