「笑って泣いて、ぶっ飛んで。」
みみたんがドラマ出演の話を聞いて数日後、撮影現場でプロデューサーの深澤と初めて直接対面した。
「あれ?もしかして…深澤くん?」
深澤は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに柔らかな笑みを浮かべた。
「やっぱり覚えてたんだね、みみたん。」
みみたんは目を丸くした。学生時代の同級生で、クラスの目立たない存在だった深澤が、こんな立派なプロデューサーになっているなんて夢にも思わなかった。
「深澤くん、ずいぶん変わったね。あの頃は…あまり話したことなかったよね?」
「そうだね。でも、みみたんのことはずっと覚えてたよ。」
その一言に、みみたんは胸の奥が少しだけざわつくのを感じた。
撮影が進むにつれ、深澤とみみたんの距離は少しずつ縮まっていった。ドラマのヒロインとして多忙を極める日々の中で、深澤は何かと彼女を気遣ってくれた。
「今日はシーンが重いから、少し休んでから撮影を始めようか。」
「夜遅くなるから、差し入れにみみたんの好きなグレープフルーツジュースを用意しておいたよ。」
その細やかな優しさに触れるたび、みみたんは「学生時代のあの静かな深澤くんが…」と感慨深い気持ちになるのだった。
しかし、撮影現場では別の火花も散っていた。
岡田将生と三浦春馬の取り合いは日に日に激化。
「このシーン、僕がもっと彼女の内面を引き出すように演じたほうが…」と岡田が言えば、
「いや、ここは彼女のキャラクターを引き立てる演技が必要です。」と三浦が譲らない。
ついには、2人が同じシーンのリハーサル中に互いのアドリブがぶつかり合い、スタッフが「カット!」と叫ぶ事態に。
「ちょっと待って!これ、恋愛ドラマじゃなくてサスペンスだよね?」とみみたんがツッコむのが、現場の日常茶飯事になっていた。
そんな中、深澤が突然みみたんに言った。
「撮影が終わったら、少しだけ時間をもらえないかな?」
その夜、2人は久しぶりに学生時代の思い出を語り合った。深澤はおずおずと打ち明ける。
「実は、僕…あの頃からずっと君のことが好きだったんだ。」
みみたんは目を見開いた。学生時代の深澤は、みみたんの存在を遠くから見守るだけで、自分の気持ちを伝えることもなかった。
「それが今になって、こんな形でまた会えるなんて、夢みたいだよ。」
深澤の真剣な表情に、みみたんは答えを返せず、ただ笑うことしかできなかった。
そして、すべてを知ってしまったきょうちゃんが黙っているはずもなかった。
「おいおい、学生時代の初恋の男が出てきてるってのに、俺を忘れないでよ!」
みみたんが何かを言う間もなく、きょうちゃんは宣言する。
「よし、俺も勝負に出る!みみたんを笑わせる力なら誰にも負けないからな!」
その勢いで撮影現場に乱入したきょうちゃんは、なぜか岡田将生や三浦春馬とも意気投合。3人で「みみたん争奪戦委員会」なる謎の同盟を結成する。
「いやいや、なんで私が争われてるのよ!」とみみたんがツッコむと、3人は声を揃えて言った。
「だって、君が最高だからだ!」
そんなカオスな状況に、深澤は静かに言った。
「でも、僕は争いではなく、彼女自身の気持ちを大事にしたい。」
その言葉に、みみたんの心は揺れた。
撮影が終わった後の夜、みみたんはキッチンでグレープフルーツを剥きながら、深澤の言葉を思い出していた。その隣では、きょうちゃんがまた新しいキンプリのダンスを練習している。
「ねぇ、きょうちゃん。」
「ん?何?」
「あなたはどうして、そんなにいつも私を笑わせようとしてくれるの?」
きょうちゃんは手を止めて答えた。
「だって、君が笑ってると、俺も幸せだから。それだけだよ。」
その言葉に、みみたんは思わず笑った。
「ほんと、あなたって変な人。」
彼女の中で、少しずつ答えが見え始めていた。
次の日、深澤がみみたんにまた会いに来た。
「撮影は終わったけど…これからも、君のそばにいられたらって思う。」
みみたんは静かに答えた。
「ありがとう、深澤くん。でも、私は…やっぱりきょうちゃんといるときが、一番自分らしくいられる気がする。」
深澤は少し寂しそうに微笑んだが、最後は「君が幸せならそれでいい」と言って去っていった。
その後、みみたんは国民的女優として輝き続け、きょうちゃんはキンプリの新メンバーとして世間を賑わせることに。誰もが羨む2人の関係は、笑いと愛に満ちた日々を織り成し続けていくのだった――!
おわり(たぶんまた続く)