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なぜ男尊女卑の社会が多いのか?


わずかな例外を除いて、世界のほとんどの文化圏では「男尊女卑」が普通にみられます。「家」やその財産を継ぐのはだいたい男の子ですし、親は男の子には高い教育を受けさせ、高い社会経済的地位につけるように必死に努力しますし、いろんな意味で、男の子の方が大事にされているように見えます。(逆に言うと、女の子は「家」や財産を継がないことが多いですし、教育もそれほどいらないものとされていることが多いのです。)

これはいったいなぜなのか?

女性の社会的地位の低さ(ただし、これは男性的な価値観での「地位」ですが)を被害的に受け取っている一部の人たちの中には、原始人から続く長い人類の歴史の中で男性が腕力によって女性よりも優位に立ってきたからだ、と思っている人もいるようですが、当然、そんなわけはないのです。

では、なぜなのか?

答えは、女性のエゴと親のエゴが原因だと考えられています。

いったいどういうことか?

『イケメンはなぜモテるのか?』でも取り上げたように、配偶者選択 mate choiceで「選ぶ側」にある女性の男性を選ぶ基準は多岐にわたっており、相当に高いものを要求しています。
そのうち「短期的魅力」は男性の遺伝子的な優良さを意味していますから、男性本人やその親がどんなに努力してもどうにかなるものではないのです。
それに対して「長期的魅力」のうち「社会経済的地位が高いこと」は、本人や親の努力で幾分かは補強できるところもありそうです。
恋愛・結婚市場において、男性はお金持ちである方が女性からモテるのであれば、自分の遺伝子を引き継ぐ我が息子をモテさせたい(そして遺伝子をさらに次世代に引き継がせたい)親ができることは、息子にお金を(「家」や財産を)与えること、そして将来にわたってお金が稼げるような高い教育を与えること、になります。
(これに対して、女性が男性にモテる条件として「お金持ち」や「社会的地位が高いこと」は入ってこないので、親は娘に対してはモテるようにさせるためにお金を与える必要も、教育を与えることによって高い社会的地位を得やすくする必要もないのです。)

つまり、これが理由です。

進化心理学的に言えば、生得的に女の子よりも男の子の方にお金や教育をかけようとする(男性的な価値観で「強く」させようとする)行動パターンが仕組まれている人は、その子どもが結果的にモテる確率が上がり、結果的に遺伝子を次世代に継承し繁栄することができた。その結果として、そのような行動パターンが多くの人たちが持つようになった…ということでしょう。

つまり、世の中に蔓延る「男尊女卑」は女性たちの配偶者選択における願望のエゴと、親たちの自分の子どもがより多くの子どもをつくり繁栄してくことへの願望のエゴの結果だったわけです。

まったく、人間ってやつはしょうもない動物です。なぜ人間の社会には「階層・階級(カースト)」があるのか? なぜ「支配者(王様)」と「被支配者(庶民)」がいるのか? ということもすべてそうなのですが、誰かが一方的に押し付けてきてつくられたものではなく、みんながみんなのエゴで望んでつくったしょうもない世界だったのです。

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