就職氷河期世代が勘違いしていること~彼らは本当の絶望を知らない~
氷河期世代の苦悩が新卒就職関連の話題とセットで語られています。
私は一切踏んでいませんし、苦悩をよく存じ上げていますよ。
大学受験も、就職活動も、就職後もハラスメントで厳しかった。
若い頃は本当に苦しい時期でした。
そして、40代・50代になって、リスキリング・早期退職・初任給アップ。
若者優遇の時代に変わりました。
と言っても、初任給が30万円を超える企業はごく一部で、
2024年の平均額は226,000円です。(産労総合研究所の調査結果より)
全体的に上がっていますけど、破格の給料を貰っている若者は5%にも満たないでしょう。
氷河期世代が若者と比較して、絶望することがナンセンスです。
日本は年齢差別かつ世代内競争が大好きですから、
各世代がそれぞれのフィールドでゼロサムゲームしているに過ぎません。
欧米でしたら、世代関係なく同じフィールドで戦いますけど。(資本主義のあるべき姿ですね。)
いつ生まれたかという自分ではコントロール出来ない要素の影響が強いのが実態です。
氷河期世代の人が、自分の収入や地位が低い状況でも、構造的に仕方なかったの一言で済ませられます。弁解の余地があります。
「学校卒業時に景気が悪かった」
アベノミクスの好景気に就職した私にとっては、魔法のカードの一言ですよ。
現在の就職状況は売り手市場です。
実際、大企業の採用人数はバブル期の半分程度ですけど、
世間も当事者の学生も、誰も細かい事実を気にしません。
今は就職が楽勝というイメージしか持っていません。
そんな状況で、就職活動に失敗したら、果てしない絶望に襲われます。
周囲がみんな上手くいっているのに、自分だけ上手くいかない。
1人だけ負けるのです。
絶望と剝奪を相対的に感じることで、負の感情が大きくなります。
例えて言うと、「赤信号みんなで渡れば怖くない」ではなく、
「赤信号1人で渡る羽目になる」状況です。
絶対的貧困と相対的貧困の考え方と同じです。
年収200万の人が途上国で暮らしても絶望は感じません。
一方、先進国で暮らすと貧困による絶望を感じざる負えません。
本当の絶望とは、相対的なものです。
氷河期世代が大学受験や就職活動で晒された状況は、
絶対的に絶望を感じやすいだけであって、本当の絶望ではありません。
赤信号を一緒に渡る仲間が沢山いるのですから。
狭き門を目指した結果の失敗は、決して恥ずかしくありません。
対して、受験も就職も楽と言われるゆとり世代やZ世代は、失敗できない(失敗すると強い絶望に襲われる)晒されているのです。
失敗しなかったところで、世間からは「当たり前だろ」くらいにしか思われません。
絶望を感じるリスクの高さと絶望の強さ、両者に相関関係はありません。