紫@元黒髪の乙女🍎

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北新地のはなし 終

お金持ちのオジサンたちに営業メールをコツコツ送り、同伴の約束をせっせと取り、髪を綺麗にセットしてお店に向かう。すっかり紫のルーティンになった。 はじめのうちは物珍しさや、常連さんの誼で同伴も相当な数をこなし、あれよあれよと人気ナンバーワンになれた。すぐに元々ナンバーワンだった先輩に抜かされたけど、一瞬でも栄華を味わえたのはいい思い出だ。 月曜から金曜までは北新地のホステスとして働き、日曜は地元のバーでホールスタッフとして働いた。 ちょっとでも金銭感覚がバグるのを防ぐためだ

    • 北新地のはなし②

      友人に紹介されたお店は北新地でも割と有名な老舗のラウンジだった。ランチ以外の時間に一人で来るのは初めての北新地。古い雑居ビルの2階、重い扉を開けたときの景色を、匂いを、いまもはっきり覚えている。 美熟女マネージャーに案内され店内の席に座り暫く待っているとお店のママが現れた。『こんなに色っぽい年配女性が世の中にいるのか…』と感嘆した。ママの美しさは北新地でもかなり有名で、聞けば昔は新地の三大ママとして名を馳せたらしい。ママからの淡々とした質問に淡々と答える紫。手ごたえは正直わ

      • 北新地のはなし①

        打ち水をしたあとの細い石畳みの道。11センチのヒールで足早に駆け抜けると古いビルが立ち並ぶ本通りにでる。顔色一つ変えない絶世の美女と、ほろ酔いでご機嫌な中年男性が次々行き交い忽ち古いビルの中に消えていく。 ある人にとってはステータスを誇る場所であり天国、またある人にとっては地獄でもある場所。 西日本一の歓楽街『北新地』 ほんの数年間、紫はこの特殊な場所でホステスとして働いていた。きっかけは親友の結婚式に出席するためのご祝儀3万円を稼ぐためだった。もう20年近く昔の話である。

        • 紫と申します。

          ツイッター(X)のフォロワーさんが書いてるnoteが面白くて便乗して自分も書いてみた次第です。文才皆無ですがつらつら書いています。暇つぶしに読んでいただけると幸いです。 我が名は紫。関西のなんのウリもない田舎町に生まれ、地味な学生時代を過ごしてきた。集落みたいな町だったので、思春期になるとやたらスクールカーストに厳しい女が謎に監視してくる。地味女が目立つのはご法度。学校では息を潜め、ファッション雑誌を読み漁り、虎視眈々と集落からの脱出=大学デビューを狙った。 英語が好きで

        北新地のはなし 終