出かけたい母
最近、私が電話する前に母からかかってきて
「あのねー、今からちょっと出かけたいんだけど、許可して。」
「あのね、この前転んで腰を圧迫骨折したでしょ?」
母は先日部屋の中で転んで腰を打ち、圧迫骨折の疑いで骨粗鬆症の治療が始まった。
「骨折はしてないよ。」
「コルセットが取れるまで、1人で外出はダメだって。」
「そんなこと、私は言われてない。お医者さんが(付き添いの)妹ちゃんにばっかり話すのよ。」
それ、聞いてたよね…。今度は母に言ってもらおう。
そして今日も母からかかってきた。
「あのねー、友達と約束してるから◯◯ホテルに行きたいんだけど、許可してくれない?」
高校の友達のHさんという人で、離婚して県外で一人暮らししている。前回別の友達も一緒に会いに来てくれたけどドタキャンしてしまったから今日はお昼をご馳走したい。など、細かな背景も決まっている。
脚本家になれるんじゃない?
だけどこの前、出かけたいたまに嘘ついたって言っちゃったからね。
母はよく美術館にも行きたがる。確かに母は美術館に行くのが好きだった。
でも、つい言っちゃったね。
「美術館に行きたいって言うと、どうぞーって出してくれるのよ。」
まるで施設のスタッフが騙されてるみたいに私に話すが、騙されていたのは私なのよ。
美術館ならいいか、とか思っていたのよ。
明日はどこに行きたいっていうのかな…
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