娘と一緒に帰省した話③
最終日はホテルに荷物を預けて美術館に出かけた。朝、チェックアウト時刻ギリギリに慌てて出たので、娘は少々不機嫌だった。
タクシーでの道は母とっては懐かしい景色だったのでよくしゃべった。
美術館では、同じ部屋にいることを確認しつつ、それぞれのスピードでゆっくりと見て回った。母は時々ソファで休んでいた。
ホテル近辺に戻って遅めのお昼を食べようかとタクシーを呼んでもらったのだが、その前にトイレに行った母がなかなか戻ってこない。これは何かあったのだろうとトイレに行ってみたら、個室が複数あり、母を呼んでみたが返事がなく、どこに入っているか分からなかった。
しばらくして他の個室からは人が出てきたので、母がいるところがわかり、声をかけると「大変なことになった」と。その前ににおいでなんとなく察しはついていたが、母は失敗していた。
ドアを開けて!と何度か言って開けさせ、中に入ってみると、ズボンもパンツも全て脱いで一生懸命拭いていたが、おしりはべったりと汚れていた。
もうタクシーも来て待っているに違いない。早くしなくちゃ。でもちょっとやそっとじゃどうしようもなさそう…。
一旦トイレから出て、ベンチに座って待っていた娘に
「おばあちゃん、💩漏らしちゃって…」と言ったら
「あ、そうなんだ」と笑ったので、ちょっと救われた。
娘はよく不機嫌になって私には当たってくるけど、母には優しいし、こういう時もイラついたり怒ったりしないな。
トイレに戻り、パンツは諦めてズボンを履かせ、タクシーに乗った。施設では事情を話してすぐにお風呂に入れてもらった。
キレイになって着替えた母はいつものように泣いて別れを惜しみ、駅へと向かう私たちを見えなくなるまで見送ってくれた。
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