FANTASIAN レビュー その1
ミストウォーカーが開発しApple Arcadeで配信されているFANTASIANをプレイした雑感。
Apple ArcadeはiPhoneやiPadなどのMac製の機器で月額600円で遊べるゲーム配信をしているもので、PS NOWなどがそれに近いか?
様々なゲームが配信されていて、正に玉石混交と言った感じで面白いゲームもあれば、クソゲーと言わざるを得ない物まで様々。
国産の物で言えば、スクエニはオクトパストラベラーやブレイブリーデフォルトを開発したチームによるVARIOUS DAYLIFE
カプコンからは深世海と言うメトロヴァニアなゲーム
SEGAはソニックレーシング
プラチナゲームズからはWorld of Demons -百鬼魔道
コナミの太鼓の達人
などが配信されている。
その中でFANTASIANは坂口博信氏、植松伸夫氏などのFFの生みの親が設立したミストウォーカーより配信されているRPGだ。
ミストウォーカーはと言えば、筆者はブルードラゴンやロストオデッセイを思い出す。
今作は特にロストオデッセイに似てるような気がする。
なお、本作は1部、2部と分かれていてゲーム性が大きく異なる。その事も踏まえ、この記事では基本的な部分のみの記述している。
因みに筆者はiphone 12 proで2周目終盤プレイしている。
以下ネタバレあり
・グラフィック
スマホでも遊べるゲームとしては高クオリティのグラフィックがあるだろうか?
キャラクターの造形もキレイで良く動き、魔法のエフェクトも派手だが、最大の特徴は町やダンジョンの殆どを実物のジオラマを使っていることだろう。
実物のジオラマの上をキャラクターが動き、戦っている。
ジオラマなんだ、すごいな、と思いつつ、言われなければ気づく人間がどれだけいるのだろうか?とも思う。別にCGでもゲームを遊ぶ上では特に問題ない気もする。
ただ事前にジオラマだと分かった上でプレイすると演出的にちょっと面白いなと思う所はある。
また、テンション技と言う必殺技と言うか秘奥義みたいなものを出すとき、更に磨きがかかった美麗なグラフィックによるド派手な演出は見ててウットリとした。ゲーム上でもこのテンション技は強くて有用的でここぞと言う時に使うからこちらのテンションも上がると言うものだ。
あと、ヌルヌル。60fpsじゃないかしら。
・シナリオ
記憶を喪失したレオアと言う主人公が自分の記憶を取り戻すための旅をする、と言うのが序盤であるのだが、これが上手く機能している。
その世界観を知らないプレイヤーと一緒に記憶を取り戻していくから複雑な世界観もすんなりと、順序良く知っていくことになるからだ。
前述のように、今作の世界観は実に複雑で多重宇宙?多重世界?になっていて機械、人間、混沌の世界があり、上位世界の神からの介入によって消し去られようとしている。こんな感じか?
正直良く分かってなかったりする。
そう言う複雑な部分を除けば、世界の消滅を目論む神に挑む、と言う簡単なものになったりする。
やっている事自体は昔のFFとそう変わらなかったり。
特に感動もしないのだが、変に尖った昨今のRPGに比べれば、スッと入ってくる。そんな印象がある。
別の世界とか上位の世界とかロストオデッセイ味を感じたり。
1部までは基本一本道で進み、2部では自分の好きなようにクエストやシナリオを見つけ、進めて行くことになる。
実際には推奨レベルが設定されていて、現在のレベル比べ高い推奨レベルのストーリーやクエストはまずクリア出来る難易度ではない為、取れる選択肢はそれほど多くなかったり。
・キャラクター
主人公のレオアは銀髪の美青年(目的の為に女を誑かすクズでもあるが)、ヒロインのキーナ、シャルルは美少女、ここまでは普通なのだが、豪快な性格をしているおじさんのジニクル、生意気な少年エズ、ヒゲフェチの別世界の亜人バウリカ、ロボットのチクッタと中々に個性際立つ面々だ。
そのせいで寡黙で渋いが動物好きのタンはあまり目立たなかったりする。
このパーティの面々が揃っている所を見ると、変な面子だなぁと思ったりする一方で、昔のFFってこんな感じだったよなと思ったりもする。
FF4とか6ってこんな感じだったような。
ロストオデッセイも割とこんな面子だったりして、プレイしてた時も変な面子だなぁと思ってた気がする。
3Dで昔のFFをするとこんな感じになるのかな?って。
今のRPGは大抵、イケメンと美少女、美女ばっかだもんね。どっちが良いと言われても、どっちもそれはそれで良いんじゃね?って思ったり。
この中で誰が人気があるか?と言ったら恐らくシャルルだろうなって。美少女でツンツンしてて王女で良い子と人気が出そうな要素が盛り盛り。
・サウンドノベル
世界観やキャラクターを深掘りするように随所にサウンドノベルが用意されている。テキストの表示の仕方にもこだわりが感じられる。
ロストオデッセイにもあったが、こちらはそれよりは短くサクッと読める。
ただしタンのエピソードはほぼ全編がサウンドノベルになっていて長く感じるかも知れない。自ら多くの事を語らない割に抱えている物は重い故にこの手法を取ったのだろうか。
・戦闘
今作の戦闘はオーソドックスなコマンド式のRPGだ。
強い行動をすると次のターンが回ってくるのが遅くなったりする。
バフ、デバフ、バステ、属性耐性などRPGの要素は一通り揃っている。
繰り出すスキルによって、範囲攻撃や敵を貫通するものがあったり、攻撃の軌道を変えられる物があったりと多彩で独自的。
これをタッチ操作でやるのが結構面白い。
最大の特徴はディメンジョンバトルか。
雑魚はディメンジョンマシンと言う物で別空間にストック出来(最初は30体で後々イベントで増える)、一気にまとめて戦う事が出来る。
ディメンジョンバトルでは味方の攻撃力を上げたり、再行動出来る物がランダムで配置され、これを攻撃の軌道に乗せると効果が得られる為、基本的に雑魚を一回一回エンカウントして戦うよりもディメンジョンマシンでストックしてからまとめて処理した方が有利だ。
多数の敵をまとめて薙ぎ払うのは爽快感がありつつ、戦略的で面白いが30体をまとめて相手にするのはやや時間が掛かりテンポが悪く感じたりする。
ボス戦は一癖ある敵ばかりで、それぞれ特徴があり、倒し方もそれぞれ。
1部まではかなりヌルい難易度でサクサク進める。
2部では飛躍的に難易度が上がる。ここからが本番と言った所か。
プレイしていて夢中になった。2部からは難易度に拍車が掛かり、特にボス戦は1つのコマンドのミスが敗北に繋がるほど緊張感のあるバトルが楽しめる。シナリオに関しては複雑な世界観であれど、主人公レオアの行動目的は一貫としていて分かりやすいものとなっている。
世界観を深掘りするサウンドノベルがあるが、そもそも本を読まない人間にとっては苦痛かもしれないがスキップしても特に問題はないように思える。
総じて高いクオリティを持つゲームでApple Arcadeと言う狭い市場にしか展開されていないのは非常に勿体ないと思う。
SNSを見ても盛り上がりはあまり見られず、広告もネット上であまり見られない。
やれば面白いのだが。良いゲームなだけにより多くの人に見て貰えないのは残念でならない。
次回の記事ではFANTASIANをプレイして出て来た不満点をつらつらと綴っていこうかと思う。