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『木を植えた男』       ジャン・ジオノ 作      フレデリック・バック 絵


誰も見てないかもしれない。いつその成果が出るかわからない。

信じる者は、自分自身。


フランスのプロヴァンス地方、誰も足を踏み入れないような山深い地域。泉はあったが、水は枯れている、人の気配もない。

羊飼いの男の人に出会った時、喉はカラカラで、少しの水を分けてくれたその人は、物静かな、けれども親しみを感じる、そんな人だった。

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若い旅人が出会った、羊飼いの男の人。

長年に亘り、カシワの木を植え続けている。

10万個の種を植え、そのうち2万個が芽を出す。2万個の半分がダメになるだろう、と見越して。 そして、1万個の生き延びた柏の木が根付く。

そうして、地道にひたすら種を植え続ける羊飼い。

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時代は戦争の真っ只中。 それでも、種を植える事をやめない羊飼い。カバの木、ブナの木、楓は苗が全滅した。そんな時も、ただひたすらに、彼は彼自身を信じて。

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何十年か月日が経った時、旅人が思い出したかのように、その地に再び訪れたその場所には、水が流れ、木々が芽吹き、成長して、生命の息吹を甦らせていた。

羊飼いは、将来、大地とそこに住む人間を創造して、毎日種を植えたのだろう。きっと、枯れた地でもそうなると信じて。 

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姿を見せることは、ゆっくりです。

今の時代は、答えをすぐ求めたがる。

何年も答えの出ない問題でも、信じる景色が色濃く鮮明なら、きっとそれが真実の景色になるはずだと、羊飼いの人から希望をいただきました。

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