Feel SpecialとFIESTAは似ているのか否か。
2020年2月17日、紆余曲折を経てIZ*ONE/BLOOM*IZが無事にリリースされました。本来であれば昨年の11月には世に出ていたと言う事もあって、焦らしに焦らされたWIZ*ONEにとっては待ちに待ったフルアルバム。アラサー限界独身男性である私も職質寸前の笑顔で毎日聴いております。
自分が好きになったモノを自分以外の人がどう思っているか気になってしまうのが人の性、Twitterで検索してみるとよく出てくるのが「何かFeel Specialと似てない?」と言ったお言葉の数々・・・
「そうでもなくない?」と思って二曲を聴き比べてみると、まあ言わんとする事は分からんでもないな、位のお気持ち。ちょっとしたモヤモヤを感じながらも勝手に感じた靄を晴らすのは自分しかいないかと思い、この記事を書き始めました。
私も楽典などをしっかり学んできたワケではありませんが、歌よりも楽曲の雰囲気を左右する「編曲」の部分にフォーカスして、自分なりに各々の楽曲を五つのポイントに分けて解析してみました。結構な長文になってしまいますが、どちらのグループのファンだとか好き嫌い関係無く、より深くFeel SpecialとFIESTAを楽しんで頂けたら幸いです。
目次
似ている度
1.★★★★★ 〜イントロのコード進行〜
2.★★★★☆ 〜編曲における共通点〜
3.★★★☆☆ 〜象徴的な音色〜
4.★★☆☆☆ 〜ラップのSWAG具合〜
5.★☆☆☆☆ 〜ハイハットの跳ね具合から予想する作曲者の狙い〜
1.〜イントロのコード進行〜
恐らく今回取り上げる二曲を似ていると仰る方々の多くは、イントロの部分を指しているのではないでしょうか。そこで、イントロで流れる音をパート毎に採譜してなるべくシンプルな音で打ち込み直した動画を作りましたのでご覧下さい。
自分もなんとなく聴き流す程度だと気が付かなかったんですが、採譜してみるとほとんど同じで驚きました。ただ四小節目のコードが若干違うので、その点に注目してみましょう。
上がFeel Specialで、下がFIESTAです。
一部だけ青くなっている所がありますが、こちらは音程が半音だけ移動している事を示しています。一般的に全音移動に比べて半音移動は切ない、悲しい感じを演出したい時に用いるとされています。またFIESTAの三小節目の移動においては、和音の中でも一際目立つ「一番高い音」が半音移動している事もあってFeel Specialよりもやや切なさを演出している様に感じませんか?(異論反論ドシドシご応募下さい!)個人的には似てるっちゃあ似てるけど、違うっちゃあ違うよね!というお気持ちです。
2.〜編曲における共通点〜
引き続きどんどんいきましょう。この項でも、採譜した動画で二曲を聴き比べて頂きます。比較する部分は、Feel SpecialのAメロ(0:15〜0:30)とFIESTAのBメロ(0:32〜0:48)です。ご覧下さい
といった感じで、FIESTAの単音でピロピロいうてる部分以外の構造はほぼ一緒ですね。と言ってもこの厚みを出す方法、極々オーソドックスなもので、こんな所までパクリとか言ってると我々が楽しむ音楽がなくなってしまいまっせ・・・となる程度のもの。お互い格好良いのでスルーで良くないっすか?というお気持ちです。
3.〜象徴的な音色〜
世の中にはある象徴的な音色が使われている為、そのジャンルにカテゴライズされるといった音色が存在します(ガバキックなんかが最たる例)。Feel SpecialとFIESTAにも象徴的な音色が沢山使われていますので、そちらにも言及していきたいと思います。
先程の項で触れたベースも以前からK-POPシーンでよく聴くディープハウス風な音色です。最近だと公園少女のイメージが強いですね。
更にFeel SpecialのサビやFIESTAのCメロで使われている迫力のあるブラス(いかついラッパの音)も似てると感じるポイントではないでしょうか。Red Velvet - PsychoやBLACKPINK - Kill This Loveのサビでも使われてますね。確かに似てるけど、三大事務所皆使ってるならもう皆の物で良くないっすか?というお気持ち。
更に音色の番外編として、GOT7 - Lullabyにも似てるという声が上がっていたのでそちらとの比較動画も作りました。
確かに音源を聴くと似てるな、と感じましたが。コード進行としては結構違いませんか?音色によって楽曲の印象がガラッと変わる事がわかる好例かと思います。シンセの音色の総称は個人の認識などで変わりますが、「stab synth」と呼ばれる音色に分類されるのではないでしょうか。
4.〜ラップのSWAG具合〜
fromis_9の画像で申し訳ございません・・・文字ばかりなので彩りとして。
お互いの曲に存在する八小節のラップパート、最大の違いはフロウにあると思います。Feel Specialでは、昨年のUS HIP HOPにおけるトレンドとも言われていた 「Scotch Snaps」を上手く取り入れてとても格好良いですね。下の動画でも0:16から実例が数曲流れますのでご覧下さい。
タタッ/タタッ/と言った一拍を1:3で分けるリズムですね。Feel Specialだと、
You・make/eve・ry/thing・al/right〜といった具合に単語ではなく更に細かい音節で区切っています。
一方FIESTAも、シンコペーションであったり三連符を絡めたフロウでとても格好良いですが、今っぽいラップかと言われるとそうでも無いかな?というかトレンドを踏襲する事を意識している様には感じないな・・・といった印象。
ここからは完全に個人の想像なんですが、IZ*ONEに専業のラッパーがいない事が関係しているのでは?と思っています。メンバーの雰囲気、キャラ等を考えるとこの位がベストな温度感なのかな、という感じがしますね。ええやん!ええやん!!お互いの色出てますやん!!!といったお気持ち。
5.〜ハイハットの跳ね具合から予想する作曲者の狙い〜
この項で扱うサビを際立たせる方法が、お互いの曲における決定的な違いではないかと思います。非常に細かい部分ですので、ここまで読んで下さった方は是非イヤホンやヘッドホンでFeel SpecialとFIESTAのハイハットを聴き比べてみて下さい。
お互いの曲にシャッフル(意味わからんかったらググって下さい・・・)ビートが鳴ってる部分とそうでない部分に別れている事にお気付き頂けたでしょうか。ハイハットやスネアのゴーストノート(こちらも意味わからんかったらググって下さい・・・)の抜き差しが楽曲の推進力を上げる役割を担っている様に感じました。
例えるならFeel Specialはイントロ・Aメロはシャッフルで小走りしてたけど、イーブンを強調したBメロで歩いて、サビで走り出す!という感じで。
FIESTAは跳ねていないイントロ・A,Bメロまでは歩いていて、Cメロの途中から小走りになってサビで走り出す!といった感覚でしょうか。
Feel Specialは細かくはあるがメリハリのある展開、FIESTAはジワジワと盛り上げていく展開構成を用いていて非常に興味深いなあと感じました。ここは完全に対極ではないでしょうか!?といったお気持ちです。
最後に・・・
音楽の捉え方は人それぞれなので、私はこう思うけど皆はどう思います?と言ったお気持ちでこのnoteを書きました。世の中に溢れる音楽を、コレがコレに似てるからと思考停止して聴くのを辞めるのではなく、似てるけどこんな所が違うな。といった具合に聴き比べてみるのも音楽の楽しみ方の一つではないでしょうか。
かなりの長文、乱文となってしまいましたが、ここまで読んで頂いてありがとうございました。
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