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疑惑を晴らす~人生初の胃カメラ検査記

 職場では40歳から定期健診で人間ドックを受けるようになるのだが、初めてのドックから胃の検査(バリウム)ではポリープがあると言われていた。その後3年は定期健診のみで精密検査は受けず、途中受けたドックでの胃がんリスク層化別検査ではB群で、自分自身でドン引きしてしまった。

 去年の人間ドックで受けたバリウム検査で、検査技師の女性に『ポリープがたくさんあるから一度胃カメラを飲んだ方がいい』と言われた。その時も胃の調子が良くなく、いつになくバリウムを飲むのが大変だった。その結果というわけでもないが、胃カメラかぁ、と心の中で難色を示したまま、結局また一年放置するのであるが……。

 やっぱり胃カメラ飲むかぁと決心したのは、今年の5月に感じた酷い胃もたれだった。いつになく長期にわたり食欲が減っていた。5月だと、一か月後辺りには人間ドックの受診券が手元に届く。私はそれを待った。

 受診券が届き、私は去年受診した健診センターに電話をかけた。胃カメラの受診枠は元々少なく、最初は11月に受けられると言われたが、その後キャンセルが出て、針穴に糸を通すように2週間の予約枠をとった。

 ドック当日は、いつもの検査項目をこなしながら胃カメラ検査受検の準備をする。まずカメラを口から入れるか鼻から入れるかの選択。鼻から入れる方が嘔吐感が低く、身体への負担が低いと言われるが、鼻の奥の穴が極端に狭ければ口に切り替えるという。初めてなので、とりあえず鼻から入れることにした。

 その後検査の合間、合間に鼻の通りを良くし、出血を抑える薬を鼻に入れ、いよいよ検査となったら、処置室へ移り、鼻の穴に麻酔を塗った管が入れられる。そこで左右どちらの鼻の穴が通りやすいかを見て、通りやすい方の鼻の穴に管を入れたまま数十分。そして、隣の内視鏡検査室へ移動。検査の流れについて改めて説明を受け、喉に麻酔を噴射。これがかなり苦く、麻酔が効いてくると、喉の辺りにかなりの不快感が襲ってくる。

 検査中の呼吸方法(鼻から吸って口から吐く)、唾は飲み込まないで口元に置かれた膿盆に出していく、などと説明されるが、実際にやるとなるとかなり難しい。

 鼻にカメラを入れる。鼻の穴が小さくて入らないかも?と言われたが、医師が『もう入った』と。喉あたりを通っている時に嘔吐感があったが、胃に入ると呼吸法や唾を垂らすことに慣れてくる。カメラは十二指腸まで入り、そこまで入ると医師の『押される感じがします』と言う通り内臓がグッと押される感覚がある。その後、カメラは戻りながら胃を再度撮影。空気を入れられるのでげっぷを我慢。戻る時に再度嘔吐感。無事にカメラが体外へ出て終了。正味5分もかからなかっただろう。すぐに起き上がることができたので、身支度を整え、室外でしばらく結果を待つ。

 5分くらいで呼ばれ、再度室内へ。画像が用意され、先ほどの医師が説明する。

 胃炎はなく、従ってピロリ菌の感染もない。ポリープは良性。胃壁がキレイだと言われたことは意外だった。次回からはバリウムの検査でも良いだろうということ。せっかく呼吸法なんかに慣れたのに!

 というわけで5年ごしの胃の不調疑惑は晴れた。引き続きヨーグルトを食べないとな、となぜか思った。食欲不振は暑さからきたものだろう。季節の変わり目は気をつけなければ。全体的な結果は数週間後になるものの、抱えていた胃の不調疑惑が晴れたことで《もうオレ超健康じゃん》と全能感すら感じていた。不惑の向こう側は過ぎるほどのバカである。

 医師と看護師の方にお礼を言いながら部屋を出る。その際に看護師が『とってもお上手でした(^^♪』と声をかけてくれた。患者ビギナーとしては想像もつかない言葉だよ!プロフェッショナルも過ぎると見る所が違うな!

 

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