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「国際バカロレア教育 地域セミナーin九州地方」に参加して

こんにちは。

文部科学省IB教育推進コンソーシアム主催の2023年度「国際バカロレア教育地域セミナー in 九州地方」に参加してきました。

イベントはIB教育に関心のある教育関係者ならびに生徒・保護者等を対象に2024年2月11日(日)に福岡第一高等学校で行われました。

国際バカロレアって?

まず国際バカロレア( International Baccalaureate 以下「IB」)とは、世界各国の公教育でも導入が広まりつつある国際的な教育プログラムです。その教育の特徴は、探究型カリキュラムだけでなく、人格形成のあり方、育てたい能力、大学入学資格の獲得など多岐に渡ります。詳しくは文科省のHPをご覧ください

https://ibconsortium.mext.go.jp/about-ib/

全世界で広まっている理由は、一言でいうと、グローバリゼーションが不可逆的な世界で生徒も、家族も、大学も、国も、地域も、IBを利用・導入するメリットが大きいからに尽きます。

国際バカロレアの利用・導入のメリット

私の理解しているIB利用・導入のメリットを書いていきます。

生徒
・母語+英語で学べる。
・最終的な成績がテストだけでなくリサーチスキルや論文作成能力も十分評価される。
・修了時、大学入学資格が与えられ、簡略的な個別試験で世界の大学に入学できる。だから塾に通う必要がない。
・大学の必履修科目を1部先取りしていると見なしてくれる大学もあるので入学後、取得単位数が少なくて良くなる。

家族
・子どもに国際社会に通用するマインドセットや英語運用能力を身に付けされることができる。
・実際に社会に出て、社会性について学ぶ機会がある。(CAS)
・ 塾に長時間通わせるコストがかからない。

大学
・リサーチスキルや論文作成能力などアカデミックスキルの高い学生を確保できる
・だから、高校の課程の学力で選抜する個別試験より、大学での学習が成功するかの要素で学生を選抜できる

国や地域
・学校を認定校にする仕組みなので国の公教育のコントロール下のもと、グローバル人材を育成できる。
・グローバルな文脈とともに地域的な文脈での指導が徹底されている。児童生徒は自分の経験や自分の周りの世界と関連づけて新しい情報を処理していく学習過程が設計されている。
・日本の近現代史に関する知識を含む幅広い教養を学ばせることができる。
・ボランティア活動をしなければ大学資格がもらえないので、学生の社会参加への強制力が発揮される。

なんか、世界的に拡大していくのが当然と思えるような教育システムです。良いところだらけで逆に怖い。

国際バカロレアの特徴 ①指導のアプローチ

国際バカロレア教育の特徴の1つに、6つの指導のアプローチ(Approaches to Teaching)があります。IB教育は、生徒中心の学習を促進し、批判的思考能力、全人的な社会スキルの発展に重点を置いています。この教育システムは、生徒が現代の複雑な世界で直面する課題に対処できるように、総合的な能力をもつ個人を育成することを目的としています。その「教師→生徒」への指導法がApproaches to Teachingです。

1. 探究を基盤とした指導

探究を基盤とした指導 (Based on inquiry):児童生徒がそれぞれ独自に情報を入手し、独自の理解を構 築することが重視されています。

「国際バカロレア(IB)の教育とは?」(PDF)

【要点】
探究活動のねらいは、個人の生まれもった好奇心を高め、自律的な生涯学習者となるために必要なスキルを身につけさせていくことにあります。個人的である探究活動に形性的な評価を与えながら、より深い探究ができるように指導していきます。探究で重視されるのは生徒と教師、または生徒同士が活発にコミュニケーションをとることです。

2. 概念理解に重点を置いた指導

概念理解に重点を置いた指導 (Focused on conceptual understanding):各教科における理解を深め、児童生徒がつながりを 見出し新しい文脈へと学びを転移させることを助けるために、概念の探究が行われ ます。

「国際バカロレア(IB)の教育とは?」(PDF)

【要点】
これはアメリカの心理学者 H・リン・エリクソン の「概念に基づくカリキュラムと指導(Concept-Based Curriculum and Instruction)」と深い関連があります。学習者が知識を深く理解し、異なる文脈や状況でその知識を適用できるように設計された教育手法です。このアプローチでは、単に事実や情報を記憶するのではなく、重要な概念、原則、テーマを通じて学習内容を結びつけ、深い理解と批判的思考能力を育成します。

私は現在(2024年)、この概念教育について日本カリキュラムの中で、いろいろと教育実践しようと計画しています。

3.地域的な文脈とグローバルな文脈において展開される指導

• 地域的な文脈とグローバルな文脈において展開される指導(Developed in local and global contexts ):指導には実際の文脈と例 を用い、児童生徒は自分の経験や自分の周りの世界と関連づけて新しい情報を処理 することが奨励されています。

「国際バカロレア(IB)の教育とは?」(PDF)

【要点】
このアプローチは、学習者が自分たちが生活する地域の文化、歴史、環境、社会経済的条件などの地域的な文脈と、それらがグローバルな状況や課題とどのように関連しているかを理解することを目的とした指導です。学習者は地域的な文脈のなかで自分たちのアイデンティティを理解すると同時に、グローバルな市民としての役割を果たすためのスキルと価値観を身に付けていきます。学習が単なる学術的な知識の獲得にとどまらず、生徒たちが未来の課題に対応し、より良い世界を築くためのマインドセットや教養を形成させたいというねらいがあります。

4.効果的なチームワークと協働を重視する指導

• 効果的なチームワークと協働を重視する指導
(focused on effective teamwork and collaboration):児童生徒間でのチームワークと協働を 促すだけでなく、教師と生徒間の協働関係もこれに含みます。

「国際バカロレア(IB)の教育とは?」(PDF)

これは今の世の中の仕事が専門家が協働することを前提としているからですね。また対話重視、コミュニケーション重視ということです。

5.学習への障壁を取り除くデザイン

・学習への障壁を取り除くデザイン
( differentiated to meet the needs of all learners ):指導は包括的で、多様性に価値を置きます。児童 生徒のアイデンティティーを肯定し、すべての児童生徒が自身の適切な個人目標を 設定し、それを追求するため、学習機会を創出することを目指します。

「国際バカロレア(IB)の教育とは?」(PDF)

日本の教育の文脈でいくと「個別最適化教育」に近い概念だと思います。この教育手法は、学習者一人ひとりの学習スタイル、興味、能力、ニーズに合わせて教育内容、教育方法、および評価方法を調整することを目指しています。すべての学習者に対して、最大限に学習機会を活用させ、自身のポテンシャルを最大限に引き出していこうというアプローチです。

この指導は、現代の教員の腕の見せ所でしょうか。

ちなみに私はコレが誰よりも得意で、日本の教師上位1%に入っている自信があります(笑)

学習設計に関する指導で「高3英語偏差値51から 大阪大学 文学部に現役合格!」させたり、浪人生で「共テのマーク模試40%から1年間で71.6% 山形大学人文科学部に逆転合格」させたり、工業高校の生徒から「総合型選抜で人気の国公立大学情報学部に合格!」させたり、Twitterの無料DM相談だけでMARCH理系学部に合格させたり、いろいろと例がたくさんあります。

高校生の合格ニーズに高いレベルで貢献してきました。これらはまさにどれも「個別最適化教育」のアプローチでしたね。

6. 評価を取り入れた指導

• 評価を取り入れた指導
( informed by formative and summative assessment ):評価は学習成果の測定だけでなく、学習の支援においても 重要な役割を果たします。効果的なフィードバックを児童生徒に提供するというこ とも、重要な指導方法のひとつとして認識されています。

「国際バカロレア(IB)の教育とは?」(PDF)

形成的評価(進行中の学習過程での評価)と総括的評価(学習期間の終了時に行われる評価)の両方に基づいて学習と教育が行われることを狙うアプローチです。このアプローチは、学習の進捗を継続的に評価し、その情報を用いて教育方法や学習内容を適宜調整することに重点を置くことができます。けテぶれの目的に近い部分がありますね。

これは学校教育の根幹であり、ある生徒を育てたいビジョンをもった学校ならば一番大切になる部分です。

日本のエリート層が未だに国内の入試偏重で、学校の各評価を軽視する傾向は国家の後進性を高めるだけだと私は思います。

日本は小さな島国で昔から海外のコミュニティとそもそもリソースの規模が違います。人の規模、知恵の規模が違うから、海外の方が理性の結晶である科学や制度など文明が進んでいくのは必然で、新たにまた海外から学んで、取り入れて、国民を教育していくことを繰り返していくのが、日本という国家がいつの時代も行うべき方向性だと思うのです。

(つづく)




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