「第4回未来の教育を考える会」に参加して
第4回未来の教育を考える会
2023年12月26日 於:福岡工業大学附属城東高校 J-step
主催:ベネッセ教育総合研究所 教育イノベーションセンター
地域の教育イベントに参加してきました!
5名の登壇者のスピーチを聞き、おとなりの参加者と対話しました。ただ講演を聞くだけでなく、話を聞いた直後に感想を伝えあうアウトプットのある教育イベントが最近増えているように実感します。「対話」を重視するということでしょうね。
午前中は学校で業務があったので、私は石丸貴史先生のところから参加しました。
石丸貴史(城東高校 教務主任)
‐スクール・ポリシーという未来へのメッセージ
城東高校では、20年後の未来の学校経営に向けて45歳以下の若手教員で新しいスクールポリシーを創造したというお話でした。「自分自身を常にアップデートし、イノベーションを産み、社会に貢献する」。生涯学習や社会課題解決志向といった現代の教育観を取り入れた新たな生徒像の目標設定ですね。今、国も「学校はカリキュラム・マネジメントをしなさい」との意向で、城東高校のようなスクールポリシーやミッションの定義から取り組み始めている私立学校が増えている気がします。そして、ここから、入学試験も筆記試験の学力だけでなく学習意欲や社会貢献性を評価するシステムに、スクールポリシーに合わせて変わっていくのではないでしょうか。
森 大樹(福岡市立小学校教諭)
‐未来の教育へ向かうために必要だと思うこと
保護者生徒の価値観の多様化、それに伴う教育ニーズの多様化、しかも国も教授方法すら「多様化しなさい」の方針で、大きな変化に直面する公教育の現場での苦悩や葛藤を森先生は話してくださいました。多様化文化を乗り越えるための教師のマインドは自己と他者を受容することである(I’m OK. You’re OK.)といった話が印象的でした。森先生は普通の教員にはないバイタリティーあふれる方で、常に行動されながら社会をよりよくする貢献活動をされています。来年、2月10日にも福岡市南区で「福岡教育フェス」というイベントを主宰され、地域教育と学校教育の在り方を先生、市民、子どもを巻き込んで考える機会を作るそうです。すごいです!
村松花梨(福岡教育大学3回生)
‐これから教師になる私たちが思う未来の授業
大学3年生にして学校教育への思いをぶつけていました。堂々と自分の言葉で教師と学校教育に向けられている”世間からの目”に対して批評をしてくれました。学校の先生が精神的に疲弊する要因として「仕事のやりがいが得られないこと」が大きいのではないかと思います。生徒が心を開いてくれないとか、保護者とそりが合わないとか、同僚とのチームワークが発揮できないとか、いろいろと複雑なコミュニケーション上の問題が起こって、教師の仕事を通した自己の承認欲求が満たされない、精神的な充足が得られないことが大きいのではないでしょうか。今、教師は労働環境の問題が注目されているけれど、価値観の多様化だったり現代社会の特性にも注意した方が良いでしょう。コミュニケーションって、人によって千差万別で正解などないし、ある一定の価値付けを子どもに対してコミュニケーションを通して行う教育には、親の要請、地域の要請、国の要請、世界の要請が存在し、そのときどきで時代に合わせてニーズに答えていかなければならない「教師の仕事の複雑さ」が学校教育の問題を難しくしていると感じています。
荒木礼子(福岡県立糸島高校校長)
‐新時代を切り開く学校
糸島のように、田川もブランド化しないかなーって思いました。東京の地下鉄駅のスーパーで田川産コーナーができてイチゴが4粒1000円で売られるようになって欲しいです。教師と教頭と校長は現場の見え方が全然違うとおっしゃっていました。これは民間だとプレイヤーとマネージャーと経営者の違いということでしょうね。学校の中で生徒1000人と個人面談してEBPMで学校経営を進めようとする素晴らしい行動力のある校長先生でした。医療でも対個人へのEBMが進んでいますから、少子化対策費用が医療費という社会保障費に組み込まれようとしている今、教育も当然すべてでEBでやった方が良いと思います。とくに学校の価値が偏差値で単純化されているの、マジでやめた方が良いと思います。数値化の悪いところが出ています。ちゃんとエビデンスに基づけば、どの学校が良いかという問題で保護者と生徒の選択肢が増えると思います。素晴らしい先生がいる学校は見えていないだけでたくさんあります。
感想
以上、つらつらと思いを綴ってきましたが、このイベントを通して、未来の日本社会を生きる子ども達が豊かな生活を送るために大切な事を考えさせられました。
僕は、これからの日本社会は超少子化が一番の社会課題だと思っています。2022年の出生数77万人は、今の30歳である1992年生まれの121万人から比べて36.2%減少しています。つまり、30年度、30歳の人口は今より36.2%少ないのです。30代は消費活動の中心で、市場への労働供給の中心で、社会保障や税制の基盤です。そして日本は、国内総生産(GDP)の55.1%が「日本人の個人消費」で占められているほどの内需の大きな国です。超少子化の進むこの国の、これからの国民が豊かに生きるためには海外から外貨を稼げる人材を育てなければ厳しいと思います。もう日本には世界で優位性を保てる第2次産業の企業は少なくなってきたので、商業、金融業、医療・福祉・教育などのサービス業や、外食産業・情報通信産業の第3次産業で外貨を稼いでいくべきです。それならば国民に必須となる教育は、外国語によるコミュニケーション能力の育成なのではないでしょうか?
この意見への反対意見も根強くあると思います。だから、実現には強いリーダーシップが必要です。そして、ステークホルダーの協力も欠かせません。ベネッセさん頑張ってください。
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