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福岡教育フェスに参加して

こんにちは。

福岡市南区で行われた「福岡教育フェス」に参加してきました。主催者の代表の森大樹先生は南区の小学校の先生で、いろんな活動で全国を飛び回っている方です。


午前の部『これからの地域教育を考える』

午前の部の「これからの地域教育を考える」では、春日市のこどもの本専門店 エルマーから前園敦子さん、CAN!P代表の粕谷直洋さん、みんなの居場所 まどいの 松尾誠さん、小学校教員の安田侑樹さんの4名がそれぞれご自身の地域教育に関する思いを話されました。その後、パネルディスカッションがありました。

こういうイベントはいつも1人で参加するんですけど、担任してるクラスのA君が「行ってもいいよ」みたいなことを言っていたので一緒に参加しました。

パネルディスカッションではA君が4人の話者へ質問を投げたところ、採用されました。

質問は「教育学部志望の高校生です。地域教育の運営資金を調達するためにクラウドファンディング等の支援が必要であると思われますが、このような一個人の教育活動を幅広い層に知ってもらうためには、どのようなことが必要であると考えますか?  」でした。

質問の意図は、これら地域での教育活動は収益事業からの収益だけでは運営が難しそうだから、例えば資金調達でクラウドファンディング等の寄付が必要だと考えるが、その場合、どのように幅広い層に認知してもらうのか?ということですね。我が教え子だけあってなかなか良い質問です(笑)

クラファンの成功の最適解が幅広い認知と前提している感じがするところがちょっと違うと俺は思うけどね。ターゲティングした方が良いはず。

4人は営利で教育ビジネスをされたり、計画されたりしている方でしたので、いろいろ教えてくださいましたがなかなか苦戦していらっしゃるようでした。なかでも、安田侑樹さんが資金調達のなかでもクラウドファンディングの特性について詳しく教えてくれました。ありがとうございました。

子どものやる気を引き出す言葉かけ ~ ペップトーク ~

第2部はまず、香里ヌヴェール学院小学校、(一社)ひとみらい共育LABOの 乾倫子 先生による「ペップトーク」のガイダンス的なご講演がありました。

ペップトークとは、もともとアメリカでスポーツの試合前に監督やコーチが選手を励ますために行っている短い激励のスピーチのことで、家庭、学校、職場で使えるポジティブなコミュニケーションスキルとして浸透してきている”言葉かけ”です。

ペップトーク 4つのステップ

面白いのが単に「ネガティブ語→ポジティブ語」に変換しましょうってことではなくて、4つのステップがあるところですね。「段階の要素が揃ってペップトークは成功する」ということみたいです。

ペップトークは海外と比較して自己肯定感の低い日本の子どもを、励まして元気にしていこうって文脈で広まりをみせているようです。

私は文科省の言う通り「生きる力」が身に付けば、たしかに生徒は自己肯定すると思っているのですが、文科省の定義する「生きる力=知徳体」と「知=確かな学力」「徳=豊かな人間性」「体=健康・体力」ってなんかズレてると思うんですよね。

”等号(=)”で定義しなくても良くないか?と考えています。他の要素が入り込む余地がなくなってしまいます。

私は「生きる力」に「元気旺盛」が加わった方が良いと思っているんですよね。低自己肯定感、不登校の現状をみたら、皆さんもそう思いませんか?

だから、子どもを励まして元気にさせるペップトークは、どんどん学校現場や家庭で広まっていってほしいなと思っています。

さて、ペップトークのルーツですが、学習やスポーツで元々、「結果を出す」ために始まったものだというお話でした。私はもともと4年くらい前に、次の本を買って読んでペップトークを知りました。

このとき、ちょうど塾で生徒やアルバイト講師のマネジメントで悩んでいた頃でしたね(遠い目)

特定の生徒群の「どうやってやる気を出すか」で悩んでいました。

やる気ある子は、目標に合致する大学合格カリキュラムを与えて、毎週の定着率、勉強法のフィードバック、カリキュラムだけで足りない模試やスキルのマイルストーンの設定で、成績は向上するんです。

しかし、やる気のない子の成績向上はどうすればいいのか? これは励まし続けるしかないのではないかという結論に至りました。そこでペップトークを実践しました。

私は良く生徒をアセスメントするときに「Skill Will Matrix」のフレームワークを活用します。こういうやつですね ↓

Using the Skill Will Matrix to Help Coach Your Team: A Guide

能力の高い子、つまり短時間で作業が終わるとか、鋭い視点で物事を見ている子とか、そういう子ほど、励ます時間を増やしました。どのように励ますか、何を励ますかについては、またどこかで別に書こうかな。

結果、塾の合格実績は良くなっていき、その年度、社内40校でNo.1かつ、300校舎中退塾者0名、設立2年目で国立医学部合格など、数々の逆転合格を生み出すことができました。その時の生徒達の話はこちら👇

ちょっと脱線しちゃったけど、私はペップトークは「能力高くてチカラを持て余している子に使うとスゴイ効果出ますよ」って思います。ってことです。

子どもが自ら学びだす環境作り~ けテぶれ・QNKS・心マトリックス ~

第2部の後半は、新しい教育実践である「けテぶれ学習法」 「QNKS」「心マトリクス」を世に産み出し活躍されている 葛原祥太 先生のご講演でした。

品質管理手法として世に出た PDCAサイクルを、効率的な学習法として学校現場の授業や家庭学習に落としこんだものが「けテぶれ学習法」です。

「けテぶれ学習法」とは何か

これが効果的な勉強法として広まっているのは「自分にあった勉強ができること(個別最適性)」「学習活動の全体を見通せる分析能力が身につくこと(学習調整能力)」が文科省の示す教育政策方針とマッチしているからだと思います。これらはOECDの2030目標でも重視されています。

また、「わかりやすい授業では成績伸びないよね、結局、自分でやってみることが大切だよね!」という武田塾の方法論とも似ている部分がありますね。

私が武田塾 北九州校を立ち上げたときは、連絡帳に毎日の宿題計画を書いて、週に1度、確認テスト&個別指導で「けテぶれ」のようなサイクルを回していました。

「1週間の宿題計画表」(他の塾とここが違う!!武田塾のカリキュラムを紹介!-武田塾大久保校)

武田塾の勉強法は参考書ベースの大学別カリキュラムになっていて、20週~40週くらいかけて1冊1冊の参考書を完璧にしていく勉強法でした。

「大学別カリキュラム」(他の塾とここが違う!!武田塾のカリキュラムを紹介!-武田塾大久保校)

これを全教科、全大学レベル、勉強法からメンタルまで受験生のマネジメントしていました。いやはや大変でしたね。。

だから、私の中で「けテぶれ」っていうのは、なかなかストイックで難しい勉強法というイメージです。自ら計画を立てるから、自由な学習選択できるようであるけれど、実際は文科省が決めたコンテンツを自学自習しなければならないって、子どもにとってしんどい子もいるのかな、と。

学校が嫌い、勉強が嫌いな生徒は、学習から逃げたり、不正をするかもなぁ

今、小学校5年生の子だけど、まだ読み書き算数が小学校5年生の能力レベルに到達していない子がいて、学習に使うコンテンツの「書かれていることを理解できない」ときにどうアプローチするのかなぁ

さらに「ムズカシイ概念を先生がわかりやすく教えてくれた方が理解しやすくて、それを覚えた方が楽じゃないですか?」みたいな反発があるのかなって思ったりします

あとそもそも、分析をいつも意識して勉強やってるから「けテぶれ、まどろっこしい」とかね。

それでも、教師の負担は大きいかもしれないけれど、「けテぶれ」をやる意味は大きいと思います。声を大にして言いたい!

それはテストに対する最短最速の勉強法だからです。また、ゴールから逆算して何をいつまでにやるかを考えて実行するスキルにも繋がっているし。反復学習は大切です。

QNKSは、探究学習の循環をわかりやすい言葉に置き換えたものと、私は理解しました。Qが「問い」、Nが「抜き出し」、Kが「組み立て」、Sが「整理する」ですね。

けテぶれ✕QNKS

探究学習は「学校カリキュラムとか関係なく個人が何かテーマを知的に追求する活動を、学校で教えていこう」という流れで普及していってると私は認識しています。

そのなかで元々、探究は個人的な営みだったものが、今の時代は協働性が不可欠だから「コラボレーション学習」を入れようとか、他者との共有が大切だからゴールは「プレゼンテーション」や「論文」にしようとか、日本はちょっと世界に出遅れる形で探究学習が始まり、現場での混乱と試行錯誤が今、続いているのかなって思っています。

僕は、QNKSを個人の探究に絞ってフレーム化しているところに魅力を感じます。「整理する」で終わる。そう、個人的な営みで良いのです。

佐藤学さんの「学びの共同体」で21世紀型スキルを育む学校を作るという思想は共感できる部分が多いのですけど、国内の全学校の全教員がリスキリングする学習時間とか余裕が確保できないから、未だに現場は混沌としてるし、人がいなくなって「公教育ヤバイ」みたいな結果を招いていると思います。

総論賛成、各論反対、みんな自分の言いたいことを言いたい、自分のやりたいことをやりたい。。おーい。国のエライ人たち。国家が衰退していけば何もできなくなっちゃいますよ。。

ちなみに私は「コラボレーション学習」や「プレゼンテーション」「論文」での発表スキルの早期育成はいらないとは思っていません。必要だと思います。それらがないとますます日本は世界から取り残されます。

ただ、これらの高度な探究活動はインターネットや情報端末の利用を前提としますが、その際の情報や文献調査は英語をベースに行われるべきだと私は考えています。日本語化された情報だけではもう遅い時代です。

インターネットユーザーの母語言語ですが、日本語は全体の2.5%で、英語が25.9%, 中国語が19.4%です。日本語化されている情報は世界のなかでごくわずかになってきています。2050年には世界の人口は98億人になり、日本は8500万人と予測されています。日本語化された情報量の割合はどんどん低下する運命なのです。

探究活動の成功は学生の視野の広さが重要かなと思います。視野が広い学生に育っていないと、レベル感が小さくとどまってしまったり、SNSのレコメンド機能で生じるエコーチェンバー現象にさらされている現在、確証バイアス(Confirmation Bias)の強化につながる恐れもあります。

ほんとそれが怖い。

あと学校教育の探究活動に目を付けて、生徒のプレゼンに価値付けやってる教育ビジネス企業は、もっと大義をもってやって欲しいですね。いろいろ疑わしいので、これもいつか思いを書こうと思います。

まとめ

自らの主張ばかり書いてしまいましたが、教育フェスというものは参加すれば参加するほど、教育について深く考えることのできる良い機会です。

どうやって目の前の子ども達を育て、日本を良くしていくか、考えさせられる1日でした。

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