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アプリ開発・ゲーム開発を引退します

こんにちは、どたこと申します。https://twitter.com/honda_aco
個人開発者として、2015年からアプリやゲームを開発してきました。 タイトルの通り、アプリ開発(ゲーム含む)を離れることにしましたので、この機会に心境をダラダラ書き殴りたいと思います。
ネットで流れてくる夢破れた人たちの書いた文章を読むのが好きなので、同じような嗜好を持つ人間のエンタメになれれば幸いです。

こちらがこれまでに作ったアプリの一覧です。
これ以外にも簡単なWebアプリやChromeExtensionを作ったりもしています。

なぜやめるのか

実益が望めなくなった

アプリ開発は実益を兼ねた趣味という位置づけでした。仕事でシステム開発をしていまして、勉強のために自宅でもコードを書こうと考えたときに何か目標がないと続け難いということから、Androidアプリのリリースを目標として始めました。最初は勉強目的だったものの、すぐにアプリ開発の面白さにのめり込み、気づけば仕事中も早く帰ってアプリ開発がしたいと思うようになっていました。ただ、趣味としてやるには時間を食い過ぎるため、スキルアップや収益面での実益があるということを言い訳にして続けてきました。スキルアップについては、会社での評価や待遇が良くなったことから、一定の成果を得られた実感があります。しかしながら、アプリの収益は全くなく、実質的には実益と呼べるものはスキルアップのみでした。このスキルアップが、そろそろ手を動かすばかりでは伸びないレベルに入っていると感じています。

アプリ開発を通じて、リファレンスやGitHubのIssueを読んだり、ググりまくってとにかく作りきる、あるいはアプリケーションレベルでの実現が不可能な根拠を見つけるといった力、いわゆる自走力はだいぶ身についたと思います。個人開発で基本的に頼る人がいないので、この部分が作れないとアプリの価値がなくなってしまうという場合には、どれだけ時間がかかっても自力で対応する必要がありました。開発を始めたばかりの頃はOpenGLのエラーが解消できず、毎日5時間を2か月間続けて解決したこともあります。今なら事前にコア部分の技術検証をしてから開発を始めるでしょうし、エラーに遭遇してもそこまで解決に時間がかからなくなりました。ある意味、ひたすら手を動かすやり方でのスキルアップは頭打ちであり、アプリ開発の実益が喪失してしまいました。スキルアップを目的とするならば、アプリ開発を続けるよりも、これまでブラックボックスだった要素技術の詳細を学ぶ時間を持つ方がよほどタメになると思います。

趣味として続けるには時間が足りない

アプリ開発を少しでも齧ったことがある方はご存じかと思いますが、一本作るのにも時間が半端なく溶けていきます。子どもがいて家事や育児の時間もあるので、平日はざっとこんなスケジュールの中、アプリ開発の時間を捻出していました。

  • 7:30 起床

  • 7:30 - 9:00 朝の支度&育児

  • 9:00 - 17:45 仕事

  • 17:45 - 19:00 残業(大体ある)

  • 19:00 - 21:15 家事育児

  • 21:15 - 22:15 残業 (ないこともある)

  • 22:15 - 25:00 自由時間

自由時間は平日は日に3時間程度ありますが、夫婦で映画を見る時間を持ったり、仕事の勉強が入ると2時間を切ります。当然、これではアプリ開発には全然時間が足りないので、起床を5:30 - 6:00頃に早めて睡眠時間を削って時間を捻出することになります。できなくはないものの、2年ほどやってみた上で、心身に無視できないくらいの負荷がかかるのでどこかで諦めるべきとの結論を出しました。

ちなみに、妻と一日ずつ家事育児を分担して、土曜か日曜のどちらかは丸一日自由な時間を持つことも試しました。このやり方は最初は良さそうでしたが、妻の体力が持たなくなったので程なく取りやめになりました。最終的に土曜は二人で協力して家事育児をし、日曜は半日ずつ分担して、お互い半日自由な時間を持つことで落ち着きました。やはり、それでもアプリ開発の時間としては全然足らなかったです。

どこで諦めるか

諦めると決めてからは、自分の中で納得できるタイミングを探っていました。そんな中、ひょんなことから失業者になったので、それならば次の仕事を見つけるまでガチで開発をして、継続するか諦めるかの最終判断をしようと考えました。

退職後の集中開発

月10万円の収益を目標に開始しました。月10万円では生活できないのは理解した上で、そこまで行けたらフリーで働きつつ、週に1日は個人開発の時間を持って、徐々に個人開発の比率を増やせるように頑張っていこうと考えていました。
流行りのゲームを研究し、個人で作れる規模でトライ&エラーの時間を持てる、ハイパーカジュアルゲームを作ることに決めました。大きいものを作ってそれ一本に賭けるよりも、リリース後の反応を見ながら小さいものを何本か作っていった方が、成功率は多少なりとも上がると考えたからです。この判断自体は間違っていなかったんじゃないかなと思います。

1作目 Fireworks

最初にシンプルな操作で高得点を目指すゲームとして、Fireworksを一か月ほどでリリースしました。

https://www.youtube.com/watch?v=CMwF5wkZNDs

このゲームはステージクリアを目指すのではなく、ひたすらハイスコアを目指していくテトリスのようなタイプのゲームです。ステージ追加がないため、一度作ってしまえば特に手を入れる必要がなく、手離れが非常によいゲームとなっています。手離れがいい分、リリース後に要素を追加してユーザを留まらせるのが困難であり、リリース後のデータから 広告費 > 収益 になってしまうことが早々に分かってしまいました。

2作目 Put on Colors

Fireworksの結果を踏まえて、今度は要素を追加することでユーザを留まらせることができるゲームをつくろうと、Put on Colorsをリリースしました。

https://www.youtube.com/watch?v=jrPwFfjOj2E

このゲームはステージクリアを目指すタイプのもので、ステージを増やすほどユーザのプレイ時間を伸ばすことが期待できます。ただ、伸びしろがあるといっても個人で大量のステージを用意するのは難しく、あまりポテンシャルを発揮することなく放棄することとなりました。リリース後の数値を眺めるに、収益化を考えるなら200ステージは欲しいと分かり、さらに200ステージあっても収益化できるかは未知数なため、外注もしづらく、一度だけステージ追加をして次に移ることにしました。

2.5作目 クラクションをならそう

次に作ったのが、クラクションをならそうというゲームで、これはバスに置き去りにされた子どもが亡くなったニュースを見て、子どもにクラクションの使い方を教えるために作りました。

事故のニュースで体調を崩すくらいにショックを受けた自分のために作ったようなもので、広告含めマネタイズ要素は皆無なので説明は割愛します。

3作目 モンスターサモナー

最後に作ったのが、モンスターサモナーです。

https://www.youtube.com/watch?v=57BQ2HrB6W4

これは線を引いて遊ぶDrawing系ゲームの発展形として考えたゲームでした。Drawing系のゲームは引いた線に対する判定が甘いゲームが多かったため、描いたイラストをしっかり判定できるゲームができたら面白いだろうと考え、機械学習モデルを組み込んでイラストを高精度で評価できるようにしました。

構想の段階で数か月要することは見えていたので、ハイパーカジュアルではなくカジュアルゲームになること、この集中開発の期間で作れる最後のゲームになるだろうということは理解していました。当初のハイパーカジュアルで収益化を目指す構想から外れることに迷う気持ちもありましたが、二作作った時点でハイパーカジュアルは多作して複数ゲーム遊んでもらわないと収益化が困難であると結論付けていましたので、カジュアルゲームに舵をきるのは妥当であると判断しました。

Unityで機械学習モデルを組み込むのは初めてだったので、そこだけ最初に技術検証をし、できると分かった後はとにかく作って作って作りまくりました。仕事をしていたときと同じように、週二日は休みにして家族との時間を持ちつつ、平日の日中帯、早朝・夜の自由時間は全て開発に注ぎました。期間中、妻が子どもと実家に帰っていた期間があり、そのときは毎日15時間以上、もうこれ以上はできないだろうというところまで時間を費やしていました。

認知度向上の取り組み

途中でアカウントの認知度を高めるべく、「毎日ITコラ」というタグを作ってIT系コラ画像を流したりもしていました。進捗やイラストをアップすることも考えたものの(人気の開発者は大体やってますし)、そちらに時間を取られて開発が止まると本末転倒なので、あまり時間をかけずに出来そうなことだけやりました。本当に全っっっっっ然、効果はなかったです笑

https://twitter.com/honda_aco/status/1578701749849931776

あとは、12月にINDIE Live Expoというイベントがあって、有名ゲームに混ざって紹介をしていただけたのはとても嬉しかったです。

https://www.youtube.com/watch?v=LlT2eQccIdE#t=50m15s

最終版に比べるとずいぶんキャラクターの顔が違ってますね。

東京ゲームダンジョンというイベントもありまして、こちらはギリギリまで迷いつつ、参加しても訴求できそうな出し物のアイデアが思いつかなかったので参加しませんでした。

開発の話に戻って、年始以降はラストスパートとして、さらに作業時間を増やしました。ただ、自分の我儘のために家族との時間を減らすのは筋違いと思ったので、遅寝・早起きでひたすら睡眠時間を削って対応しました。体力的にキツイ以上に、このあとのリリースで今後の身の振り方が決まる、このチャレンジの成否が決まってしまう、という不安で精神的にかなり追い詰められていました。自律神経の不調(病院に行っていないので定かではありませんが)で暑かったり寒かったりの感じ方が日によってめちゃくちゃになり、早朝の寒い時間帯なのに半袖でコードを書いていて、起きてきた妻がちょっと不審そうにしていたりという状況でした。あと、よく聞く話ですが、体重のアップダウンがとても激しかったです。

この時期は、正直もうリリース後にゲームが受け入れられるイメージは持てなくなっていました。ただ、立ち止まってしまうと、「ゲームの完成度を高める」という名目で無限の手直し地獄に沈むことが分かっているので、とにかく作りきることを目指して走り続けました。そうして立ち止まることなく走り続けて爆死し、今現在に至ります。

正確にいうと、モンスターサモナーのあと、ChatGPTのAPIを使用してキャラクターと英語でチャットできるというアプリを出してはいます。このアプリもクラクションをならそうと同様に、チャレンジとは別枠なので説明は省略します。

これからのこと

見事に爆死して人生詰んだかと思いきや、なんと7月半ばから受け入れてくれる職場が見つかりました。なので、しばらくは本業に専念します。スキルが完全にハマっているわけではないのに採用されまして、自分のこれまでやってきたことを、回り道してることも含めて肯定的に捉えてくれたことを嬉しく感じています。採用を決めた会社の判断が間違いではなかったと思ってもらえるように、しっかりと成果で返していきたいと考えています。

また、失業期間中、仕事をしているときと同じように日中帯はパソコンで作業するのを許してくれた家族、特に妻に対して恩を感じています。仕事をしていたときも退職後も、作業後は家事育児を一緒にやってきていて良い関係を築けていたとは思いますが、とはいえ、失業中に毎日成果につながらない作業をしてる夫を眺めるのは相当の不安があったと思います。どうして何も言わないのか聞いたことがありますが、僕が思うよりもずっと信頼してくれているようで感謝の気持ちでいっぱいです。会社に対して以上に、妻の信頼には成果で応えたいと思っていて、7月からお世話になる会社は在宅勤務で勤務形態は夫婦の希望に沿っているので、あとは収入を上げられるよう頑張りたいです。IT職は年収1000万に至るのは難しいですが、逆にその手前くらいまでは雇われでも到達可能な仕事なので、少しでも収入を増やして家族に還元していこうと思います。

もうアプリ開発はしないのか

アプリ開発はしないと思います。ただ、やっぱり作ることは好きなので、創作活動はそのうち再開するかもしれません。昔から漫画が好きなので、落ち着いたら自分で漫画を描いてみたいなとぼんやり考えています。漫画は1ページ10時間程度で描けるそうなので、あまり時間もかからないし、子育てしながらの趣味にはちょうどよさそうに感じています。

ちなみに、今の漫画の実力がどんなもんかというとこんな感じです。これはWorldMakerというアプリを使ってネームを作る企画に応募したときの作品です。主催がたしかジャンプ+で、結構自信作だったんですけど箸にも棒にも掛からなかったです。

https://twitter.com/honda_aco/status/1444571255651266567

漫画というよりイラスト寄りですが、手書きしたものだとこんな感じです。
Pixivアカウントも持っているので、興味があればTwitterのプロフィールから覗いてみてください。

https://twitter.com/honda_aco/status/1636320646711103488

https://twitter.com/honda_aco/status/1574963415923437568

アプリ開発に関しては、個人ではなくチームでならやるかもしれないですね。創作活動が趣味の友達がいるので、そういうところで手伝いを求められたり、あるいはハッカソンに出ようといったお誘いがあれば引き受けるような気もします。今は創作活動に対するモチベーションが低めなので、今後そういうこともあるかもしれない程度の話でしかありませんが。

今の心境

ホッとしました。病むような事態にはなっていないものの、自分の負けを反芻するのが辛く、だいぶ前からGoogle Play Consoleのダウンロード数やレビューは見られなくなっていました。そんな状況なので、ここで撤退することには納得しています。ただ、やめる前に気持ちの整理も兼ねて、このような記事を書こうと思ったのですが、それがどうしても書けませんでした。書けた今はいよいよやり残したことはないのでホッとしています。個人開発を離れることとお礼を書こうと思っても全然書けなかったのに、今のありのままの気持ちを吐き出そうと考えたらスラスラ書けるようになりました。心境一つで出方が変わることに、文章を書くことの面白さがあるのだと知りました。

悔しい気持ちはありますが、それはそこまで大きくはないです。昔、スポーツでプロになろうと全力投球していた時期があって、それが叶わなかったときと同じような、悔しさよりもやりきったという気持ちが大きいです。受け入れがたい事実に脳が修正をかけている可能性も考慮して、時間をかけて自問してみましたが、やっぱりやりきったという気持ちが強く出るので、しっかり燃え尽きられたと思います。

やり残したと思うこともありません。敗因と呼べるものはいくつも思い浮かびますが、具体的にそれらを打開する方法は浮かばないので、またやったところで運任せになって負けると思います。個人開発は使えるリソースが少なく、当然あれもこれもはできないので優先順位をつけることになります。そのような前提のもと、たとえば認知度を高める施策等で削いだことはたくさんあります。しかしながら、優先順位付けがシビアなところも含めて個人開発ですので、やれなかったことがあるからといってやり残しだとは捉えていません。シンプルに実力不足です。

ありがちですけれど、今は個人開発で関わった全ての人に対して感謝の気持ちがあります。星1レビューであっても無反応よりはずっと良かったです。つまらないのも不具合も全部自分の責任ですし、他人のせいにしなくて済む個人開発はとても楽しいものでした。仕事だと担当できる範囲が限定的であったり、仕様に対する意見が通らなかったりして、誰のおかげで勝ったのか、あるいは誰の責任で負けたのか、分からない点に歯がゆさを感じていました。資本を持たない個人が自分の思うがままに勝負できる場があるのは、とても良い時代に生まれたなと思います。
あ、星1レビューの話はあくまでも自分がそうだったというだけなので、他の人のアプリに安易に星1レビューをつけるようなことはしないでくださいね笑

最後になりますが、アプリ開発中、リプライで激励いただいた方、RTやいいねで応援してくれた方たちには特に感謝しています。皆様のおかげで楽しい開発ライフを送れました。本当にありがとうございました。立ち位置やジャンルによって目指すゴールは違いますし、全員が望んだ結果を得られる世界ではありませんが、皆様の創作活動に納得できる結果がもたらされることを心よりお祈り申し上げます。

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