5万人も登録者減!何が起きた?”ゲームさんぽ”
背景
”ゲームさんぽ”というYoutubeチャンネルをご存じでしょうか?
流行っているビデオゲームを関連する専門家と一緒にプレイし、専門家ならではの切り口で解説するチャンネルです。
例えば、アサシンクリードオデュッセウスという古代ギリシアを舞台としたアクションゲームをギリシア研究科のシシンさんが解説するという動画です。
数日前の登録者数は42万人とそこまで大規模ではないですが、ゲーム好きの私にはとても面白く、とても楽しみなチャンネルでした。
しかし、そのチャンネルが突然看板を下ろすこととなり、チャンネル名が”ライブドアニュース”へと変更。
コンテンツ内容も、ホリエモンさんの時事ニュース解説に変更と、急激な路線変更となりました。(今日見たら、ゲームさんぽコンテンツも追加されていたので、路線修正されたのかもしれません。)
製作者側にも、突然の発表だったらしくく、製作者の方も驚きの投稿をされてました。
この突然の路線変更にコアなファンたちが戸惑い、わずか数日で登録者数が42万から37万と5万人程度(10%以上)減少。
ツイッターでも、”ゲームさんぽ”や”登録解除”などがトレンド入りするほど、炎上騒動となってしまいました。
問題は何だったのか?
では、何が問題だったのでしょうか?
登録者数が激減したことでしょうか?
残念ながら、経営陣は登録者数減をそこまで問題とは捉えていないのではないでしょうか。
経営陣は常に収益インパクトで物事をとらえます。
とある記事によると、2022年6月時点でゲームさんぽの総再生数は約6000万回だそうです。
現在では、1億回再生くらいになっていると考えた場合、よく1再生が0.3円の収益と言われますので、3000万円くらいの収益を稼いだと思われます。
古い動画が1年前に投稿されていたので、約1年で3000万円の収益を稼いだコンテンツなのかもしれません。
一方、下記の記事によると直近のライブドアの売上は40億円です。
全体の売上に対してゲームさんぽの売上は0.75%程度です。
経営陣としては、規模が小さく、当該チャンネルの縮小は問題視していないのではないでしょうか。
むしろ、ホリエモンさんがライブドアに戻ってくることとなり、彼とのコラボの方が経営的にはるかに重要と考えていると思われます。
その彼とのコラボの第一弾として、彼のニュース解説を行うのであれば、既存のゲームさんぽの中身を刷新してでも、そのチャンネルをそのまま移行するのが経営陣として合理的な判断だったのではないでしょうか。
では、改めて何が問題だったのか?
それは、経営陣としては規模の観点から取るにたらないコンテンツの扱いで、予想以上に炎上してしまい、信用を損ねてしまったことではないでしょうか。
ライブドアからしたら年間3000万程度のチャンネルは重要ではありません。
しかし、そのチェンネルを雑に扱ってしまったため、ツイッター上では大きく炎上。
ツイッター外でも、各種記事に取り上げられてしまいました。
なぜ小規模なチャンネルがここまで炎上してしまったのでしょうか?
一つの要因は、熱狂的なファンを舐めていたからだと思います。
確かに、ライブドアレベルの規模の会社にとって、40万人のチャンネルは小さな存在です。
ただ、非常に好きな人が多い、濃度の高いファンが多い40万人だったため、雑に扱われた不満が爆発し、一部のファンがツイッターで声を上げるまで動いたのではないでしょうか。
実はツイッターは、数万人がつぶやいただけでもトレンド入りします。
つまり、40万人のうち10%が声をあげるだけで、容易にトレンド入りし、炎上してしまうのです。
2つ目は、制作側を軽視してしまったことが火に油を注いでしまったと思います。
経営的に重要なトピックでないため、制作側と事前に十分にコミュニケーションせず、トップダウンで突然かつ強引に方針を変更してしまったのではないでしょうか。
そのため、下記のようにスタッフの方がつぶやかざるをえなくなってしまったようです。
SNSが発展する前の時代でしたら、”会社の決定に文句を言うな。おとなしく従っておけ!”と怒鳴れば社員は黙るしかありませんでした。
しかし、今の時代、社員をないがしろにすれば、SNSで社員も声を上げることができます。
また、転職もしやすくなった時代では、退職のリスクをとって、SNSで苦言を呈する社員もでてきます。
そのような内部の声が、今回の炎上に油を注いだのかもしれません。
今回の騒動では何を学べたのか?
今回の騒動で気づいたことはなんでしょうか。
一つ目は、ブランドを維持するには、たとえ少数の顧客でも、顧客の熱量にも注意を払いながら、顧客と対話していく必要がありそうです。
これまでの経営ですと、顧客規模が大きい=重要、顧客規模が小さい=非重要という観点が強かったように思います。
しかし、今の時代、一定の規模に達すれば、小規模でも、顧客の声は炎上という形でブランドを大きく既存してしまします。
また、規模だけでなく、顧客の熱量も重要な観点です。
今回のようにとても好きなコンテンツをないがしろにされれば、声を上げるファンが出てくるものかと思います。
2つ目は、ブランド維持の観点から、顧客と同時に従業員とのコミュニケーションも大切にしないといけないということです。
今回の似たような事例で、日経テレ東大学のチャンネルも炎上していました。
これも従業員と経営陣とのコミュニケーションミスが大きかったように感じます。
これまでのように、パワープレーで従業員を黙らせる事が難しくなった現代では、従業員の納得度にもケアする必要があるかと感じました。