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日常の可能性を無限に広げる空の世界《カレイドスコープ》〜渡邉帆南美-2024年7月〜



日常の空が、鮮やかな色彩と幾何学模様の無限に広がる宇宙へと変貌する。

日常の視点を変えることで見えてくる可能性とは。

雲は毎秒、いつも形を変える。その分だけ見え方が変わる。
空を見る度に、この雲が何かに見えてきた。
あ、猫に見える。あ、うさぎに見える。
そんな遊びをした人も多いことでしょう。
空を見上げるだけで、思い浮かべるイメージもコロコロと変わる。
その特徴を活かし、毎日違う空を撮影した写真を用いて、
デジタル上で、思い浮かんだイメージを描く。
そこでやめにしない。
それをもう一度、パターンにして、更に偶然性を加えることで、
思わぬ絵柄が生まれ、日常の空からまた違った視点が生まれてくる。
その視点は、単なる空のイメージを超え、
宇宙へと広がるほどの可能性を見せてくれる。


可能性を探究している理由

日常の風景の中に隠された美しさ、可能性を追求したい。
その思いには、自分が劣等感を抱えてがんじがらめになっていたことも影響している様に思います。固定概念を覆して、もっと日常がより良くなる方に賭けていきたい。そんな思いを込めて、独自のアートの世界を築き上げています。
下記に制作過程や、制作に至った理由などを詳しく書いています。


同じ時、同じ日はない。空を見つめることは、生きることを見つめること。


毎日同じ時は無いように、その日その時にしか見られない刻々と変わる空の色や雲の動きを捉えた写真が、デジタル加工によって無限に広がる曼荼羅のような模様に生まれ変わります。人生の中で、時には自分のことを振り返り、立ち止まって考えることが、その後の進路にとても影響するように、途中まで自分で意図したものを作りあげ、途中で意図を手放し、別の視点の可能性と出会おうとすることでしか見えてこない可能性を拾い上げます。

デジタル万華鏡が描く、息を飲むような視点の可能性の世界へ、ようこそ。


それでは、ここで2024年7月の一ヶ月の間に制作した
31作品の《カレイドスコープ》シリーズをその日のコメントつきで、
ご紹介いたします。あなたは、どのような印象を持つでしょうか。
ちょっと長いんですけど、コメントは短いので美術館に行く感覚でゆっくり休みながら見ていただけると幸いです。


今朝の空:午前中に見た空
今日の空:午後以降に見た空
今夜の空:夜間に見た空



《今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.01》

雨と雲の連なり。翼を広げて飛んでる鳥の姿を見た。よく見ると地面を見ながら飛んでいる様に見える。空や前を見ないのは何故だろう。方向や景色の移ろいを確認しながら飛んでいくこと、前を見て進むこと。



《今日の空:カレイドスコープ 2024.07.02》


朝、文鳥に薬をやるなどしていて撮影を忘れ、日中の空。なので、タイトルも今日の空。今日の空には、光の筋が一本水平に伸びていく。上下を分けるようで、上下と共に伸びていく。どちらが上下か、もしや一つなのか、そんなことは光の筋には関係がない。



《今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.03》

今日は暑い。晴れた空の雲を眺めていたら、急に視界にトンボが入った。トンボは急に一時停止をしたり、急転換したり、バックしたりする。そんな風にしながら、大きな目で見つめるのは、どんな世界だろう。



《今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.04》

重く浮かぶ雲の下に明るく軽い雲を見て、活気のあるイメージが湧いてきた。黙々と何かが始まる様な期待を持つ。雲の端がクリンとなっていたりして、遊ぶ気持ちを意識した。



《今日の空:カレイドスコープ 2024.07.05》

また今回は夕方の空になってしまった。横に伸びている雲の上にポッポッと小さく浮かぶ雲。平坦なことを続けているうちに浮かんでくる情熱を思いながら、幸福を目指す地道な歩みについて考える。



今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.06》

情熱的にもくもく燃え上がるような雲に、蓋をするような雲。大事なものを隠しているのか、 抑えつけているのか。しかしハジからは盛大に噴出しており、どうしようもない情熱のあり方を想う。



《今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.07》

雲を見ると鳥にしか見えない。あまり見ない形の雲。空を泳ぐ水鳥の様な。自分が世界と道のりを悠々と泳ぐとしたら、一体どのような世界が見えるだろう。今日も予想できないイメージが生まれた。



《今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.08》

ぽんぽんと跳ねる様な泳ぐような生き物の姿に見える雲が散らばっている。流れなどは関係なく元気に動き回っているようだ。散らばったエネルギーが解放された自由なイメージを詰め込んだ。何が見えるだろう。



《今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.09》

暗い雲と平坦な雲と明るい雲が集結していた。雨が降るかもしれない。生活で抱える色んな要素や感情をそのまま連れて日々を過ごす。どういう絵になるのかと思いながら。そんなことを想像する空だった。



《今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.10》

懐かしい人に会った時の空。今まで何があるとは言えないかもしれない瞬間もある。色々積み重なっている時のそれぞれの時の窓を思いながら、空に横切る真っ直ぐな電線もそれらを繋ぐ模様となりうるのか。



《今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.11》

雨と雲。薄暗い空をじっと見つめることで、流れていく時の事や今までの時の事などが思い浮かぶ。ただ落ち着いて見つめる。瞑想にも近いのか。感情は色々あるのに、どこまでも落ち着いているような平坦さ。



《今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.12》

重く浮かぶ雲の下に明るく軽い雲を見て、活気のあるイメージが湧いてきた。黙々と何かが始まる様な期待を持つ。雲の端がクリンとなっていたりして、遊ぶ気持ちを意識した。



《今夜の空:カレイドスコープ 2024.07.13》

空の写真を撮り忘れた。そこで夜の空はどうかと思い外へ。予想以上に明るい。こんなに明るいのか。夜の空をあまりみていないことに気づいた。かえって良き発見だった。気づいてなくても差し込んでいる光がある。




《今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.14》

曇っていて暗い部分もありながら、全然暗い感じもしない空だった。これからやろうということで頭がいっぱいだった。色んな感情を通した上で見つめる空の見え方を思いながら見ていた。



《今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.15》

今日は夜の空。肉眼でも明るい。写真だともっと明るい。月からの光の反射だと思いながら、でもなぜか向こう側にあかりがあるようにもうつる。積み重なっていく日常の中での出会いを重ねて思う。



《今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.16》

妙にドラマチックに感じる空。昔の絵画のようで、演劇のようで、厳かなイメージが浮かんだ。空に様々な心情の要素を散りばめてみると、何かが始まる予感がした。



《今日の空:カレイドスコープ 2024.07.17》

時間と空間が引き伸ばされていく様な重なる層が印象に残る雲の空。それらの脇を羽ばたく鳥が二羽視界に入る。引き伸ばされた思考の中で淡々と泳ぐ鳥と、層を上書きするように配置する思考のオブジェ。



《今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.18》

ぽんぽんと浮かぶ雲に、穏やかで気持ちの良い心を見つける。欲望、情熱、理性などを散りばめたが、まとまっている様な雰囲気に。調和の取れているものとはと考えながら、見つめていた。



《今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.19》

急旋回して逃げる鳥と、追いかける鳥。ぐるぐるぐるぐる。どこまでも思いがすれ違っている大変な二つの命をよそに、のんびりと横断する雲の流れがあまりに平坦で、ちょっとおかしな世の中を見た気がした。


《今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.20》

明るい雲と暗い雲の重なり。それを見ながらも頭の中はやりたいこととやるべきことでいっぱい。全てがうまく一度にできるわけではない。少しずつ変革を起こす。そういった感情の重なりを配置し、平坦に進む。



《今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.21》

羽ばたいている鳥のように見える雲だなあと思った。散りばめられた思考のかけらを吹き飛ばすかのようなイメージを散りばめる。強く羽ばたいていくようなイメージが思わぬ変化を起こした。



《今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.22》

ガッツポーズをしている様に見える雲。炎が燃え上がっている様な風に見える空。情熱を背景に、燃えたぎる様なイメージが浮かび、いつもと違う加工で配置をすると、賑やかで弾ける絵柄が浮かび上がった。



《今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.23》

小さな雲が大きな雲へとつながっていた。逆に言えば大きな雲が小さな雲に繋がっているとも言える。大衆から個へ、個から大衆へ。その時々であり方を変えながら自分の道を歩む人の役割を見る。



《今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.24》

重なる様な雲の層を見ながら、思考の層をイメージした。
重なっていく思考と、少しずらした思考とを交えた世界がどの様なバランスでどの様な絵柄に見えてくるのかは、面白い実験の様だった。



《今日の空:カレイドスコープ 2024.07.25》

下に積み重なる雲と上に点在する雲。
日々の積み重ねの中で、開けていく思考。さまざまな視点の混じり合うところに、どんな色が見えるのだろう。やってみないとわからないことだらけだ。



《今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.26》

雲を見ると、龍が飛んでいる様に見えた。縁起が良い。上昇するエネルギーのことを描こうとして、積み重ねてきたものと未知の穴の象徴を重ね合わせ、違う色が生み出された。可能性の広がりが生まれた瞬間。



《今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.27》

雲が並んだコッペパンのように見える。どんなに辛い時も食べるということを放棄したことがない。どこまでも小さく分解できそうな体の一つ一つの要素が食べることで繋がっている。花開く様なイメージになった。



《今日の空:カレイドスコープ 2024.07.28》

川のような大きな流れに逆らうように前進している存在の群れに思える。この力強さがあって、今の世界が存在している。それぞれの様々な旅について想像をした。強烈な何かが花開く様な絵柄が浮かび上がった。



《今日の空:カレイドスコープ 2024.07.29》

今回は初めて夕焼けの空。ピンクに燃えていた。試しに彩度を上げてみると、カラフルな色が現れた。今まで見えなかった色合いだった。内在しているエネルギーとその伝播に思いを馳せた。



《今朝の空:カレイドスコープ 2024.07.30》

龍の頭のような何か光の生き物が上に向かっていくように見えた雲の隙間の光。冷静に物事を見つめる目を持ちながら、共に歩んだり、影響しあったりする道の中で歩んでいることを想っていた。



《今夜の空:カレイドスコープ 2024.07.31》

しまった夜になってしまったと空を見る。何も見えない雲もないただの真っ暗。写真を撮ったらブレて何かが写り込んだ。その像が偶然の線を描く。ブレたことが有利に働くこともある。


環境が生み出す想像力を

色彩の鮮やかさや、対照的な美しさ、無限に広がる模様が、視点を変化させ、日常での想像力を掻き立てます。鑑賞した時、解説を読んだ時、穏やかな気持ちになったり、心が躍ったり、新たな発見があったり。作品は、観る者それぞれに異なる感動を与えますので、ご自身には何に見えたのか、ぜひ楽しんでください。この作品は周囲の水蒸気を取り込んで成長し、美しい模様となる雪の結晶のように、あなたの思考や、周囲の可能性を含んでいます。

これらの偶然のアートから、あなたは何を感じましたか?

作品を見てどのようなことを感じ、どのようなことを考えましたか。

今後も作りながら歩みます

このシリーズは忙しくなったりすると、忘れてしまったり、制作ができない日もあるでしょうが、続けて制作ができればと考えております。

最後に、可能性を広げて

もしも空を見ることがあったら、ぜひ、どのように見えるか意識してみてください。あなたの日常もまた、実は、もっと、違うように見える可能性があるのかもしれないと感じていただけたら嬉しいです。


参考作品 

《カレイドスコープ》シリーズ
こちらでご紹介した《カレイドスコープ》シリーズは、
下記のサイトからも版画のご購入ができます。


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渡邉帆南美/アーティスト/芸術家
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