「腑抜けた夜を嗤えばいい」
小説を掲載していただきました。
「腑抜けた夜を嗤えばいい」
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〈あらすじ〉
恋人と別れて傷心中の近江和葉(このえ かずは)は、ひとり深夜のバーで飲んだくれていた。「もう死んじゃったほうが楽なのかな」そんな、投げやりな言葉を拾ったロングヘアーの美人――桐生藍佳から突然賭けを持ちかけられる。
「命がけの勝負をしようよ。ここで負けたら死んでみせて」
日本を舞台にした現代小説。ヒューマンドラマです。
編集担当:けみさんが運営されている「小説家になろう」内創作アカウントにて公開中しております。
以下は裏話と小説のはなしになります。
作品の大筋が固まった段階でこちらから編集の方にお声かけして書かせていただいた作品です。
20代以上の女性が主人公の作品を書きたいと考えていた時期に設定とプロットを考えて、近江和葉という名前を持った人物を主軸に据えました。
「女の子が主人公の作品は男性/女性どちらの受け手からも興味を持ってもらえる利点がある」といつか耳にした覚えがあります。
どちらかというとエンタメシーンでの条件だとは思うのですが「どこか未熟な女の子」ではなく「女性主人公」になるとどうでしょうか?
成人女性が主人公を務める作品は多々あります。国内産の映像作品だと「攻殻機動隊」や「PSYCHO-PASS」などが有名でしょうか。
小説で育った自分は恩田陸先生や辻村深月先生の作品の登場人物である、強くて弱くて優しくて寂しい彼女たちを思い浮かべます。
痛みを覚えながら生きる彼女たちはまるで自分自身のようでありながら、それでもどうしようもなくあなたたちが他人であることにいつかは気づいてしまう。
そんな近くて遠い存在です。いまも同じ地平線のどこかに生きているように思うことは、まぼろしのように儚い思い込みでしょうか。
さて、そんな読者も歳を経て小説を書く楽しみを覚えたようですが、実は女性や女の子が主人公のお話をたくさん創ってきたわけではありません。
それでも、いつかは女性主人公モノを、少女とかつて少女だった誰かのためのお話をという思いもあり、このたびは和葉と藍佳を送り出しましたとさ。
短編のためほんの一夜の出来事をドラマとして切り出した作品ですが、おそらくどこかで生きている彼女たちのことも、どなたかお見知り置きをいただけますと幸いです。
最後に。これは余談ですが、岩崎亜衣さん(夢水清志郎事件ノートシリーズ)が中学を卒業する年に高校に入学して、折木奉太郎さん(古典部シリーズ)が二年生になるのと同じ年に進級した元・ティーンエイジャーとしては、彼らの息災も……やはり気になります。帰り道を歩幅を合わせて歩いたような、大事で特別な人たちです。
以上、平成生まれからのおたよりでした! みなさんお元気でありますよう!