人形を看取る [SF短編]
「対処可能な手はすべて打ちました。内部機構を最新式にすげ替えられないか模索し、心臓部の結晶体に刻まれた罅(ヒビ)を塞ぎ、欠けたパーツを継ぎ接ぎして。技師としてできることは何でも試したつもりです。けれどもこれ以上は、もう。どうにもなりません。」
彼が努めて冷静な語調で話すと、男は力無く肩を落とした。二枚の唇をかたく引き結びゆっくりと目蓋を落とす。やがて顔をあげたとき、その表情からは侮蔑と諦観の感情が読みとれた。彼にすがり奇蹟を希求するものの多くは、その願望が叶えられないのだと