先見の明
「未萌を知るを聖人という」とは鎌倉時代の日蓮聖人の言葉である。内乱と外敵による国の混乱を予言したとして崇められるが…個人的には情報分析が鋭かったと考える。
天災が起こるとすぐ『立正安国論』云々と言われ、挙げく震災天罰論とまで言われてしまう。
安国論当時は現代科学的思考はなく、経典や経文が証明として利用されている。それを現代に用いて云々するとは狂信的原理主義と言われてもおかしくないであろう。
むしろ、安国論は政治家の姿勢を問題にしたのであって、むしろ天災から人災へ移り変わってしまう、現状を打破しようとしたと考えられる。
時に仏教学者も自然破壊を憂えて天罰論を展開したりしたが…真意を読み違えていないだろうか?
さて、分析の的確さに驚いたのは、櫻井義秀先生の本書だ。今までのあり方を分析している
雑誌に書かれたものを集め編集したものだが、ヒューマンコンポストの件まで的確に書かれていて驚く。さらにただの批判だけでなく、自己の葬儀体験、今後の墓地の扱いも含め述べられている。
寺院は寺院の都合では成り立たない。社会的変遷の中に寺院もいる。かわることを恐れるのでなく、どう向き合い。克服するのか?
ここに書かれている内容は実に面白い。何気にSDGsも批判的に扱っていたり、地方分権と寺院の関係にも触れている。
永代供養や樹木葬の本質的問題にも踏み込んでいる。世の中を理解し、先を見据え、今を生きる。勉強になる一冊だ!