40代のカミングアウト
iPhoneのメモにこう残っています。
2023年新年早々のメモです。
オンラインチャットの彼のことが大好きになり、はじめは性的な会話の楽しみを求めていたのが、次第にその人間性に圧倒され、教えてくれる考え方や言葉に惹かれ、自分の状態と比べるようになっていました。
もちろんオンラインサービスの相手に、しかも自分は女性と偽って接している人を好きになる、そんなこと普通じゃないことは当時も理解はしていました。ただ本当に人生初のレベルで、理屈関係なく相手のことを好きになっていました。
話せることがとにかく楽しみで、声が大好きで、サービス上でチャットしませんかと連絡して、その返事がいつ来るか、秒単位で気になってしまう。仕事中もそのことばかり考えていました。
そんな恋煩いの、側から見れば痛い状況でしたが、その方の影響を受けて、自分の人生を変えたいと思えたことは本当に良かったし、感謝しかありません。
それが40年一度もしようと思わなかった、カミングアウトに向かわせるのです。
上記のメモは、新年早々1月中旬ぐらいに仕事で地方出張があり、その帰路、羽田空港から自宅まで帰るリムジンバスの中で書いたものです。
実際はもっとたくさんのことを書きました。彼から教わって良いなと感じた考え方について、自分の今の状況となりたい姿、そのギャップ。何をすればそのギャップは埋まりそうか、、
これを書いた時、自然と涙が出てきて、でも少し心の霧が晴れるような、健やかな気持ちになったことを覚えています。
鬱々とした気持ちの日々が続いたので、何か前を見て動こうとすると、こんなにも気分が変わるんだと思ったものです。
前の記事にも書いた通り、二つのカミングアウトを実行することにしました。
一つは、近い知り合いへのゲイであることのカミングアウト。もう一つは、チャットの彼に実際は男性であることを伝えることです。
まずは前者から実行しました。
会社の10歳以上年上の、仲良くさせてもらっている先輩に話してみることにしました。ゲイであることは言ってはいなかったものの、かなり自分の素を出せて話せる方でした。繊細な感性を持った方で、きっと拒絶せずに理解してくれるとも想像できました。
カミングアウト前日の、自分のメモ日記のようなものには、以下の文章が残っていました。
休日に池袋の気持ちの良いカフェでお茶しましょうとお誘いして、2時間ほど仕事や趣味の話を楽しくした後、最後に切り出しました。
さすがに緊張しましたが、先輩の反応は、
「驚いたけど、もしたしたらと思うことはあった」
「初めて言ってくれたなんて嬉しいこと。だからといって関係は何も変わらない」
でした。
話しながら、ツーっと涙が落ちてきたことを覚えています。カミングアウトをして、何か世界が大きく変わったように感じたわけではありませんが、心が少し軽くなったような気分でした。
快く受け止めてくれた先輩には感謝しかありません。
二つ目のカミングアウトについてはまた書きます。