メキシコの美食に欠かせない昆虫類
Rafael López
2020年4月7日
元記事はこちら。
マゲイワーム、エスカモール、チャプリネス、アワフートル、アクサヤカトル、ジュミレスなど、
陸上と水中の両方の環境に生息する多様な昆虫が、先史時代のメキシコ住民の食料だった、とUNAM生物学研究所の昆虫学者ホセ・マヌエル・ピノ・モレノは言う。
エルナン・コルテスやベルナル・ディアス・デル・カスティーヨによると、この食事では最大25種類のシチューが少量ずつメキシカ人のトラウトアニであるモクテスマ2世に振る舞われたそうだ。例えば、アヒル、七面鳥、豆類、焼きトウモロコシ、豆、果物、大地のパン（トルティージャやタマーレと呼ばれていた）、ケリテ、カプリン、海藻、山椒、カカオ、乾燥チリ、バニラ、カボチャ、マゲイ、花など様々な食材を使って料理された。
UNAM生物学研究所の昆虫学者ホセ・マヌエル・ピノ・モレノによると、先住者の食生活は多様で、狩猟や採集によって環境中のあらゆる植物や動物の資源を利用していたという。また、マゲイ虫、エスカモーレス、チャプリネ、アワフートル、アキサヤカトル、ジュミレスなど、陸上と水上の両方から得られる多様な昆虫を食していた。
征服が古代メキシコ人の食生活に与えた影響について、大学の研究者は、いくつかの食品は否定的な評価を受け、「そのため忘れられ、しばしば軽蔑された」と述べた。アマランサスなど特定の食品は、栽培や消費が禁止されたり制限されたりして、伝統的な食習慣が変化した。宗教や言語が一掃されると同時に、食習慣の一部も一掃された。
それは衝突でした。伝道する修道士でさえ、トルティーヤやチリ、時には豆やカボチャを食べないようにしようとしました。昆虫学者は、「しかし、メソアメリカ料理は、コミュニティや民族の中で生き残ったのです」と述べています。
メソアメリカの食に対する征服の影響について、歴史家で料理人のロドリゴ・ルラネス氏のように、この現象は両民族の食の混合から恩恵を受けた文化・食の交流であったと考える意見もある。その結果、新しい食感や風味が生まれ、主に食生活が変化し、生活の質も変化し、さらに文化的適応も進みました。「代表的な料理はメキシコのメスティサヘの表れでもある」と研究者は付け加えた。
このように、陸生や水生の昆虫を使ったさまざまな料理は、時代を超えてメキシコのアイデンティティと食の豊かさを構成しており、独立後、スペイン人が持ち込んだ他の食材によってさらに豊かなものになった。
数十年前から、この食形態として知られるアントロポエントモファジーは、さまざまな分野の専門家の注目を集めている。食用昆虫の中で最も研究が進んでいるのはバッタ類だとピノ・モレノは言う。エスカモール（Liometopum apiculatum, and Liometopum occidentale var. luctuosum）、白マゲイ虫（Aegiale hesperiaris）と赤マゲイ虫（Comadia redtembacheri）、チカタニアリ（Ata mexicanaとA.cephalotes）、ジュミール（Edessa spp. Euschistus spp.）とアクセイ属の生物です。Ahuahautle、Axayacatl）、Corisella spp、Notonecta spp、Krizousacorixa spp、Graptocorixa sppの水生半翅目類の卵と成虫を含む。
昆虫学者の説明によると、タンパク質源としての昆虫の品質について、「100g乾燥ベースで、バッタはSphenarium histrio 77.13, S. purpurascens 56.19, S magnum 56.55, Boopedon flaviventris 71.35 and the crickets Achetta domestica 63.20 となっている」。
これに対し、鶏肉は43.34、卵は46.0、牛肉は54.0、豆は23.54、レンズ豆は26.74、大豆は41.11、つまりバッタやコオロギは挙げた食品よりたんぱく質が豊富なのです。ゲレロ、イダルゴ、オアハカ、プエブラ、エスタド・デ・メヒコ、さらにはメキシコシティのミルパ・アルタ自治体における食用昆虫のこうした様子は、さまざまな出版物で広く紹介されている。
UNAM生物学研究所では、数十年にわたり食用昆虫の分類に取り組んできた。専門家は、各生物について、収集コード、王国、門、綱、目、科、属、種、亜種、同定年、収集日、場所、緯度、高度、その他同様に重要なデータを詳細にデータベース化した。
「そのため、昆虫が採取された場所を正確に特定することができるのです。現在では、モレロス州のバッタやジュミール、イダルゴ州のカブトムシやバッタ、チワワ州のコクシード（アブラムシ、メアリ）、プエブラ州のソコプテラ（シラミ）など、549種の目録が作られています」とPino Morenoは報告している。
現在、いくつかの国やメキシコでは、昆虫は美食の一部となり、多くのシェフがメイン食材としてレシピに工夫を凝らしているほどである。調理法もさまざまで、地域ごとに料理の味が異なるとも言える。有名なのはレボルティージョ、タマーレス、トラユーダス、トルティータ、トスタダスなど。
食用種の現状について、研究者は、無計画な伐採が個体数の動態に悪影響を及ぼし、希少価値が高まり、極端な場合には絶滅に至ると説明した。
イダルゴ州のサン・フランシスコ・I・マデロ市での現地調査でも、個体数の減少が証明されている。なお、その他の要因としては、管理不良、不適切な採取、自然捕食、家畜の持ち込み、生息地の破壊、マゲイなどの宿主の不在、農薬の使用、都市の成長、気候変動などが挙げられる。
生物学研究所では、食用昆虫のカタログ化だけでなく、新たな昆虫の発見も行っている。これは、Alejandro Zaldívar Riverón, Carlos Pedraza Lara, Ludivina Barrientos Lozano, Aurora Rocha SánchezがChihuahua州で採集したShenarium属の新種バッタ5種とTakardiella fulgens（科：Kerridae）に相当する新属・種のコクシデンスのケースである。
食用昆虫の商品化実績は、アジアやヨーロッパで爆発的に増えており、新興昆虫企業も250社を数える。
メキシコは、その生物多様性と食の伝統から、商業ブームと無縁ではいられなかったのです。
オアハカでは、バッタ、赤マゲイ虫、チカタナアリを使ったソースや、バッタを焼いて味付けしたデパッチュが作られます。ミミズ塩や「チニクイル」などの塩を作り、一般的な塩と唐辛子を混ぜてメスカルの味付けに使う。
イダルゴ州では、チニクィレス、チチャラス、チャプリーヌ、サムエス、エスカモーレスなどからソースやドレッシングが作られています。メキシコ：アプリコットは、最高品質のグルメエスカモーレ、白と赤のマゲイワーム、バッタを提供します。ケレタロ州では、チリやスパイスで味付けした焼き菓子「チャプリン」やトウモロコシのスナックなどが取引されています。
生物学研究所の食用昆虫の研究では、薬効や薬効を持つ昆虫についても報告されています。この関連で、Pino Moreno と Enia Camarillo Cienfuegos は、Usos tradicionales y aplicaciones actuales de algunos insectos y otros artrópodos con fines medicinales en México を編集し、最近ブラジル民族生物学・民族生態学会から出版されました。
この点で、ピノ・モレノは、食生活の一部として、またさまざまな治療法の基礎として、昆虫の有用な経験をいまだに保存している文化的集団の知識を強調した。
"昆虫 "と "昆虫から抽出した製品 "を治療資源として、メキシコをはじめ、ブラジルや中国などで、さまざまな病気の治療のための複雑な医療システムを開発しているのです。
本書では、このタイプの102種の分類学的分析、例えば、Anax sp,(ウォーターダディ）、Taeniopoda auricornis（バッタ）、Schistocerca americana（イナゴ）、Acheta domesticus（コオロギ）、Periplaneta australasiae（ゴキブリ）、Forficula auricularia（耳かき）、Quesada gigas（セミ）の5種類です。Acantocephala luctuosa（ナンキンムシ）、Thasus gigas（クサムシ）、Dactylopius coccus（グラナコチニール）、Hoplophorion monogramma（アボカドインコ）、Brachygastra azteca（ハチ）など数十種類に及ぶ。
その一つひとつについて、研究者は、背景、治療された病気や疾患が報告され、また記録がなされた地域、どのように調理され使用されているか、さらに栄養補助食品として、あるいはホメオパシーやアロパシー薬の調合に現在使用されていることなどが報告された。
同様に、循環器、消化器、生殖器、呼吸器系、免疫、リンパ、神経、筋肉、骨格、腎臓系、あるいは感覚器、耳、目、皮膚科疾患に関する、それらから得られる製品とそれらが持つ有効成分、それらが使われる疾患も追加されました。
昆虫の薬効に加え、ヨーロッパの企業がテストしているホメオパシー製品にもその可能性がある。
また、本書では、「種の価値と適切な管理を社会に認識させることを意図して、その特性や有効成分を医療プログラムに応用すること、さらに、いくつかの種の商業化は合理的な管理を意味するので、この伝統的知識を救い、価値を高めること」の必要性を指摘している。
近年、世界的にミツバチに対する注意喚起が行われるほど、花粉媒介者としての昆虫の重要性がクローズアップされています。この点について、Pino Morenoは、昆虫が生態系の主要な受粉媒介者であることを想起した。
ミツバチは17万種以上の植物の受粉を行い、さらに世界の作物畑のほぼ4分の3がこの活動に依存しており（世界で栽培されている100種のうち平均71種）、ミツバチを失うことは、まだ十分に理解されていない生態系の危機を招くと警告されている。
昆虫の個体数が減少した要因はいくつかある。環境面では工業的な単一栽培、毒性のある農薬の使用、病理面では病気や寄生虫、気候変動、商業目的での農村部の土地縮小、生息地の破壊、自然におけるハチの重要性に対する認識不足などである。
このようなシナリオに直面した場合、昆虫の多様性を守るためのプログラムを作成し、毒性のある農薬の使用を厳しく禁止することが重要であると研究者は警告している。
また、昆虫の個体数を増やすためのプロジェクトに資金を提供し、自然界における昆虫の重要性や機能を学んでもらうことも必要です。
参考記事
【食の安全に寄与する食用昆虫?】
アーノルド・ファン・ハウス (2015年)
BMC、農業と食糧安全保障
概要
食肉需要の増大と農地面積の減少により、代替タンパク源の確保が急務となっている。食用昆虫は、家畜よりも環境への影響が少なく生産することができる。昆虫肉は、特に急成長している養殖業において、希少な魚粉を飼料原料として代替することができる。食用昆虫は、有機副産物で育てることで、廃棄物処理の問題を軽減することができる。
世界中で約2000種の昆虫が食べられており、そのほとんどが熱帯の国々で食べられています。昆虫は十分なタンパク質の量と質を持ち、不飽和脂肪酸や鉄、亜鉛などのミネラルを多く含んでいます。
昆虫を食用・飼料として普及させるには、昆虫を養殖する必要がある。熱帯地方では小規模に行われているが、特に飼料として利用するためには、大規模な自動化された工業施設での生産が必要である。
食品の安全性については、病原体の混入が問題となるため、衛生的な養殖が必要となる。魚介類やイエダニにアレルギーのある人は、交差反応が起こる可能性があるので、適切な表示が必要かもしれない。
欧米の消費者は、環境、栄養、食品安全上の利点と昆虫の優れた味を知っていても、昆虫を食べることを納得するのは難しい。受け入れるための感情的・心理的な障害に対処しなければならない。
食用昆虫が農業や食品・飼料産業の新しい分野となるための道筋が議論されている。特に、法整備が遅れており、早急に対応する必要がある。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？