ニジェール危機でアルジェリアとフランスの緊張が再燃
Modern Diplomacy
Newsroom
2023年8月27日
元記事はこちら。
ニジェールでのクーデターは、アルジェリアとフランスの間に何度目かの危機を引き起こしたと、スペインの「アタラヤール」誌は指摘している。
事の発端は、アルジェリアの公共ラジオが、フランス軍機がアルジェリア領空を飛行する許可をアルジェが拒否したと発表したことである。同メディアが回想しているように、アブデルマジド・テブウン政権は、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)主導のものも含め、ニジェールへのいかなる外国の軍事介入にも拒否を表明している。
アルジェリアはアフリカ圏に属していないにもかかわらず、ECOWASによるニジェールへの軍事介入に反対している。それどころか、昨年7月のクーデター以来、ニジェールを襲っている危機を平和的に解決するための外交の役割を強調している。
ニジェールとECOWASの役割に関するアルジェリアの立場は、同国の国益に直結している。ロイターが引用したアルジェリア政府筋によると、アルジェリアは自国領土への移民流入を恐れ、いかなる軍事介入にも反対している。
ニジェールとアルジェリアは約1000キロの国境を接している。「クーデターには反対だが、ニジェールやサヘル全域の状況を悪化させるような軍事行動には反対だ。」
アルジェリアのラジオが報じた直後、フランス陸軍参謀本部はこのニュースを否定し、ニジェールへの軍事介入の可能性を視野にアルジェリア領土上空の飛行許可を求めたことを否定した。パリはアルジェとは異なり、ECOWASの決定を支持し、フランスが約1,500人の部隊を擁するサヘリアの国に対する方針を支持している。「参謀本部は、フランスのアルジェリア領土上空の飛行要請を無効とし、したがってアルジェリア当局の拒否も無効とする」とフランス軍関係者はロイターに語っている。
『アル・アラブ』紙の取材に応じたアナリストによれば、アルジェリアがフランスの領空使用要請のニュースをリークしたのは、サヘルおよびサハラ地域での影響力を低下させているアルジェの重要性をパリに示すためだという。
アルジェリアはこれまでにも、パリに圧力をかけるために領空を使用したことがある。2021年秋、アルジェリアが「攻撃的で恥ずべき」と見なしたマクロン大統領の発言によって両国間に外交危機が発生した後、アルジェリアはフランス軍用機の領空閉鎖を決定した。アルジェリアを経由してニジェールやマリに向かう飛行時間は4時間以内だが、別のルートでは10時間もかかるため、これはパリにとって大きな後退となった。
関連記事
1 【ロシアとアルジェリアの軍事関係】
アルジェリアはニジェールの憲法秩序の回復を断固として支持し、モハメド・バズームを正当な大統領として支持すると述べた。
アルジェリア外務省は、「兄弟国であるニジェールと地域全体がこれ以上不安と不安定に陥らないよう、平和的手段によって憲法秩序を取り戻さなければならない。従ってアルジェリアは、外国の軍事介入の願望を前にして、慎重さと自制を呼びかけ、注意を喚起する。」
2 【第9回アフリカの平和と安全に関するハイレベル会合:テロに対するアフリカの共同行動を強化せよ、とラマムラ氏】
第9回アフリカの平和と安全に関するハイレベル会議"の2日目の議事として、「アフリカにおけるテロと暴力的過激主義の惨劇との闘い」が行われ、ラマムラ外務・在外アルジェリア共同体大臣は、「大陸における存在的脅威」となっているテロ現象に立ち向かうためにアフリカ共同の行動を強化する必要性を強調した。
3 【アフリカ連合とECOWAS:サヘル・アフリカ条約機構(SATO)創設の時】
西アフリカの内陸に位置するニジェール共和国で7月下旬に発生した軍事政権は、54カ国が加盟するアフリカ連合(AU)と、15カ国からなる西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)にとって稀有な試練となった。
参考記事
1 【フランス圏アフリカは滅びるか?アフリカの大国間競争において消えゆくフランスの役割】
この地域におけるフランスの地位はますます不安定になり、無数の国家・非国家主体による競争が激化する中、フランサフリクは終わりを迎えるのだろうか。中国やロシア、あるいは他のアクターは、古い新植民地秩序を新しい秩序に置き換えるのだろうか。そして、この地域の安全保障と経済にどのような影響を与えるのだろうか。
2 【アフリカ全土でテロと戦い、安全を確保するロシア軍教官】
モスクワは、アフリカ大陸で増加するテロリズム、犯罪、あらゆる種類の脅威と戦うために、途切れることのない供給で支援する用意があるという。
3 【リビアの危機、地域不安の温床】
近い将来、リビアは北アフリカにおける不安定要因の温床であり続けるだろう。テロリズムは、そのような不安定さがもたらす最も重大な問題のひとつである。
リビアには現在、統一された軍隊も治安部隊もないため、新たなテロ活動にとって最も魅力的な雰囲気が醸成されている。
リビアを拠点とするISIS、アルカイダ、アンサール・アル・シャリアなどのテロリストは、この地域全体に脅威をもたらしている。リビアにいたテロリストたちは、マリやブルキナファソの国内不安定化に乗じて、これらの国々でさまざまな不安定化攻撃を行った。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?