
鈴木優人&バッハ・コレギウム・ジャパン×杉本博司 with G.B.Piranesiの、モーツァルト:オペラ《ドン・ジョヴァンニ》_2025年2月24日
沖澤カルメンの2日後はめぐろパーシモンホールで、鈴木優人&バッハ・コレギウム・ジャパン×杉本博司 with G.B.Piranesiの、モーツァルト:オペラ《ドン・ジョヴァンニ》を楽しみました。
チェンバロがとても美しく、とりわけバスに惹かれるオペラでした。
レポレッロ(バス:平野 和)はもちろん、後半に亡霊となってディングル・ヤンデルの騎士長(バス)が現れ声を響かせると、まさに地の底から響いてくるような低音に一瞬で空気が凍りついたのです。
細身で背が高いディングル・ヤンデルが、さらに亡霊の仮面を着けて不気味な気を放っていたこともあるのでしょうが、鳥肌が立つような響きでした。
古楽器演奏だったためか、どこかまったりとした印象を受けたBCJの《ドン・ジョヴァンニ》。
最後に主要キャスト全員で明るい未来展望を訴える場面では、簡素な黒い舞台の背景に地球の映像が写し出されていました。この時代だからこそのメッセージだと直感的に理解できるからこそ、個人的には面白みに欠けると感じました。
奇をてらわず、それでいて「その手があったか!」と幸福なショックを与えてくれる演出が好きなもので。
たとえばローマ歌劇場の「椿姫」の終盤で、演出を担当したソフィア・コッポラが見せてくれた、余命いくばくもないヴィオレッタが大きなベッドの片側に身を縮めるように臥せっている光景。
大きなベッドの中央にポツリと一人で横たわっているより何倍も、恋人が戻ってきてくれやしまいかと一縷の望みをかけている、どうしようもない圧倒的な孤独が伝わりました。
他の演出家と比較するのはお行儀のいいことではないでしょうが、観客の想像力に委ねながら確かに伝わるメッセージに、私は感動を覚えるタイプの聞き手です。

さて、かなり個人的な話で恐縮ですが、沖澤カルメンではカルメン役の加藤のぞみさん、BCJ《ドン・ジョヴァンニ》ではバリトンの加耒(かく) 徹さんと、
2024年6月17日に聴いた演奏会形式「若きオペラ歌手たちの饗宴」で惹かれ、打ち上げで写真を撮って頂いた方々の出演作品を偶然聴くことができたのも、ミーハー的喜びでした♪
(写真は当時のものを使わせていただきます。歌唱力のみならず聴衆への素敵なサービスもしてくださる方々でした)


##出演
鈴木優人(指揮)
ドン・ジョヴァンニ(バリトン):クリストフ・フィラー
騎士長(バス):ディングル・ヤンデル
レポレッロ(バス):平野 和
ドンナ・アンナ(ソプラノ):森 麻季
ドン・オッターヴィオ(テノール):山本耕平
ドンナ・エルヴィラ(ソプラノ):カリーナ・ゴーヴァン
マゼット(バリトン):加耒 徹
ツェルリーナ(ソプラノ):高橋 維
他
【ききみみ日記】
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