打ち寄せる波と戯れる驟雨のような演奏_アンティ・シーララ「ピアノリサイタル」_2023年2月9日
2023年2月9日にトッパンホールで行われた、アンティ・シーララ「ピアノリサイタル」に行ってきました。
個人的にトッパンホールのゆったりした椅子が心地よく、隅々までクリアに響きく音も好きなので、とても楽しい時間を過ごすことができました。
ミュンヘン音楽大学の教授を務めるアンティ・シーララが、演奏会の前の日に公開マスタークラスを行った影響か、学生風の方々や子供たちの姿が見えたことも印象的でした。
プログラムは、ハイドンからシューマンまでドイツの1世紀を順になぞる、きっちりとした構成。
ハイドン:アンダンテと変奏曲 ヘ短調 Hob.XVII-6
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第7番 ニ長調 Op.10-3
ブラームス:4つの小品 Op.119
シューマン:管弦楽のない協奏曲 Op.14(ピアノ・ソナタ第3番 ヘ短調 1836年初版)
曲のつくり自体がそうなのですが、後半に行くにつれて演奏から感情が伝わってくる。静かに癒されていた心に、どんどん力が湧くようでした。
とくにアンコールの1曲目、「ゴドフスキー:ショパンのエチュードによる練習曲op.10 No.2」は素晴らしく、まるで打ち寄せる波の飛沫と戯れる驟雨のような音。そして手の動きでした。
2曲目の「ラフマニノフ:プレリュード第4番 op.23-4」で、私はアンティ・シーララさんのダイナミックな演奏が好きだと確信しました。