売上と入金のタイミングが年や期をまたいだ時の会計処理
フリーランスの経理で迷いやすいことの1つが「いつの売上になるのか」の判断ではないでしょうか。
いつの売上に計上すればいいのか、
個人事業主 または
12月決算の会社
を例に、その判断のしかたをお伝えします。
いつの時点で「売上」を計上するの?
そもそも「売上」はいつの時点で計上するかというと、
商品を売った場合:商品を引き渡した日(発送した日)
サービスの場合:サービスを行った日
になります。
そして「売上」は、計上された年分の税金の対象になります。
12月に売上、入金があった場合
例えば、
2023年12月10日に売上と入金が同時にあった場合は
2023.12.10 預金/売上高
となります。
この売上は、2023年分の税金の対象になります。
12月に売上、1月に入金があった場合
売上があった日よりも後に入金された場合、
売上高の相手として「売掛金」を計上します。
「売掛金」は、入金があった日に消し込みます。
例えば、
2023年12月10日に売上、2024年1月31日に入金があった場合、
2023.12.10 売掛金/売上高
2024.1.31 預金/売掛金
となります。
この売上は、2023年分の税金の対象になります。
12月に入金、1月に売上があった場合
売上があった日よりも前に入金された場合、
その入金は「前受金」として計上します。
「前受金」は、売上があった日(実際に仕事をした日)に消し込みます。
例えば、
2023年12月10日に入金、2024年1月10日に売上があった場合、
2023.12.10 預金/前受金
2024.1.10 前受金/売上高
となります。
お金を受け取っていても「前受金」の時点では税金の対象にはならず、売上に振り替えられた時点で税金の対象になります。
よってこの売上は、2024年分の税金の対象になります。
複数回の売上分を一括で受け取った場合
例えば、
2023年10月から2024年3月まで、毎月10日に1回50,000円、計6回の講座
2023年9月30日に50,000円×6回=300,000円の一括入金
のように、複数回の売上分を一括で受け取ることもあるでしょう。
この場合、
入金があった9/30時点では、まだ講座ははじまっていないので、
2023.9.30 預金/前受金 300,000円
となり、毎月10日に講座を行うので、
2023.10.10 前受金/売上高 50,000円
2023.11.10 前受金/売上高 50,000円
2023.12.10 前受金/売上高 50,000円
2024.1.10 前受金/売上高 50,000円
2024.2.10 前受金/売上高 50,000円
2024.3.10 前受金/売上高 50,000円
というように、講座を行った日に売上を計上するとともに、9/30に計上した前受金を取り崩します。
そうすると、2023.12.31時点の前受金には、
まだ講座を行っていない2024.1月~3月分の150,000円が残っています。
この場合、10月~12月分は2023年、1月~3月分は2024年の売上として税金の対象になります。
2024.3.10に最後の講座をした時点で
前受金は全額売上高に振り替えられてゼロになります。
ではもし、9/30に
預金/売上高 300,000円
と計上したら?
その時は2023.12.31時点で2024.1月~3月分の売上を
売上高/前受金 150,000円
と計上して、2023年分の売上から一旦除きます。
そして
2024.1.1時点で
前受金/売上高 150,000円
と12/31に一旦除いた売上を戻して、2024年分の売上に計上します。
売上と入金のタイミングが年や期をまたぐと
会計処理がちょっと難しくなるので注意しましょう。