授業参観は前で見ろ
1 はじめに
初任者指導をするときに,参観をして事後に話をしたり,授業を見に来てもらったりして工夫点やポイント,考え方を示します。授業をしてもらうことも見てもらうことも大変有意義ですが,特に新卒新採の先生にとっては見て学ぶことがまずは安心感にもつながります。
かつて,「授業をどうしたらよいのか分からない。子どもが話を聞いてくれない。そのうえ,見られることがプレッシャーだ。」と語ってくれた先生がいました。授業なんて百点満点を出せることなんてなかなかありません。少なくとも私はいまだにありません。しかし,よりよい指導法と自分の中でも納得の授業がある程度コンスタントに行えないと精神衛生上悪いでしょう。初めて社会人としていきなり担任や授業を任されてプレッシャーでつぶれてしまう人もいます。まずは授業を見せてもらって,進め方や子どもとのかかわり方を見て学びましょう。
やってみせ、言って聞かせて、 させてみせ、 ほめてやらねば、人は動かじ。 話し合い、耳を傾け、承認し、 任せてやらねば、人は育たず。 やっている、姿を感謝で見守って、 信頼せねば、人は実らず。
山本五十六の名言ですね。まずは見て一緒に勉強しよう。というのが最初の私のスタンスですが,見るときに必ず注意することがあります。
できるだけ前でみなさい
これは大切なポイントです。
2 授業は前で参観しろ
前で見ろと言われても,黒板の前に立つわけにはいきません。もちろんそんなことはできませんが,まず,前で見てほしいのには理由があります。見るポジションはなんとなく決めるのではなく,意図してそこに立ってほしいと思うのですが,わたしが大切にしてほしいのは,子どもがどんな顔で授業を受けて,発問にどんな反応を示しているのかを把握してもらうことです。
これは,初任者に限らず研究授業でもそうです。もちろん,授業者の表情や体の使い方,子どもの目線に立ちたいという意図で後ろから参観するのは,それも一つの意図としてありです。ただ,なんとなくその空間にいては同じ時間でも得られるものに差があります。私は事後の話の中で子どもがどう反応していたのか,子どもにこういう動きがあったからあそこでこんな発問や声掛けをした,などを伝えます。そして,客観的に見て自分は子どもの様子をどう感じたか,自分だったらどのように対応していたかなどを聞きたい,と伝えてできるだけ前で見るように勧めています。
実際,前から見ても授業者の表情や動き,板書は見えますからね。席の一番前か二番目くらいの位置にいればよいのです。
しかし,先生によっては子どもの目線が気になるという方もおられました。これはもう慣れてほしいの一言ではあるのですが,確かに子どもや教室の雰囲気によってはちらちらと気にするそぶりを見せたり反応をしますが,授業が進むと子ども参観者がいることに違和感を感じなくなってきます。(もちろん,特別支援の観点で配慮が必要な場合は要注意です。)
気にせず自分にとってベストなポジションを陣取りましょう。
3 おわりに
新卒新採の先生方,学校の様子が分かってきて少しづつペースがつかめてきたころでしょうか。コロナの関係で学校も相当大変な状況に甥っ子まれていることろですが,体を大切にして一緒に頑張りましょう。