【現場の声】 夜回りは運命の出会いの場 from 上野さん
—–Homedoorと出会ったきっかけ
8年くらい前の夜回りがきっかけです。
年金をもらっていたので、ネットカフェを利用しながら生活していました。お金がもったいないので、深夜から泊まるために、ネットカフェに行く前は商業施設で時間を潰していました。
その時、少し居眠りをして起きるとお弁当とホムパト通信(困ったら相談できるようにHomedoornの連絡先やイベント情報、求人情報を記載している冊子)が置いてありました。
誰かの忘れ物だろうかと思ったら、近くにいたホームレスの人が「これはあなたのですよ」と教えてくれました。その人が「一緒にHomedoorに行ってみませんか?」と声をかけてくださり、Homedoorを訪ねました。
アパート探しや住所変更など、すべてお世話になりました。今年でアパートを借りてもう6年になります。
—–なぜ夜回りに関わるようになったか
最初に自分が相談者としてはじめてHomedoorに来たとき、若い人たちを中心にこんな活動をしている団体があるんだ!と驚きました。
Homedoorの夜回りでは、元相談者も多く手伝いに参加されています。自分もお世話になったからには、元気なうちは少しでも活動の手助けをしたいと思い、夜回りのお手伝いをするようになりました。
僕はそれまでは困っている人を見ても、その人自身の責任くらいに思っていて、人を助ける行動というのは特にしたことがなかったです。でも、会社でうまくいかなかったり、色々な社会情勢などが重なって、誰しもが困窮状態に陥ることがあるのだとだんだん思うようになりました。
もう僕は70歳を過ぎているので、夜回りの時、若い人たちが気を遣って弁当の荷物を持ってくれようとしたりします。でも、持って歩くということが元気のもとだと思っています。
夜回りの荷物はお弁当、カイロや靴下などを詰めたセットなどもあるので正直重いですが、自分でしんどい思いをしてやることに意味があると思っています。だから、他の人にはあまり僕に気を遣ってほしくない(笑)。
—–冬の夜回りの特徴
春や夏は、公園のベンチなどで寝ていらっしゃる方が多いです。
冬場は寒いので外で寝るだけで命の危険を伴います。
そのため、歩ける方は暖を取れそうな場所を求めて転々とされているようで、タイミングによってはお会いできないこともあります。
だから、特に冬は当事者とは運命の出会いみたいなところはあります。すれちがってしまい、まだお会いできていないというホームレスの人もまだまだたくさんいらっしゃると思います。その点はいつも気になっています。
—–夜回りで印象に残っている方
「病院に行きたいけど、目がほとんど見えないので困っている」とバス停で途方にくれていた方が印象に残っています。その方は、目が見えないのでどこにも行くことができず、「もう死ぬしかない」とおっしゃっていました。
翌朝、その方をバス停に迎えに行き、病院まで同行しました。その後、Homedoorのスタッフが到着し、病院側と交渉し、入院や手術の手続きを行なっていました。
僕はスタッフではないですし、個人情報もあるので、夜回りを通じてHomedoorにお繋ぎした方々のその後については詳しくは知りません。でも、「あの方はどうしていらっしゃるのだろうか」と常に出会った方々のことは気になっています。
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サポーターの皆様のお力添えにより活動は継続できていますが、年々宿泊希望者は増え、相談者が抱える社会的な背景も複雑になってきています。
よりていねいな支援を多くの人に提供するために、冬のサポーターキャンペーンを行っています。よかったら特設ページと動画だけでもみていただけたら嬉しいです。
すでに210人の方が新たにサポーターとしてHomedoorの仲間に加わってくださいました! 皆さまのご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
お読みいただきありがとうございました。いただいたサポートは、生活にお困りの方への支援として使わせて頂きます。