大人の海外留学は、人生の夏休みなのか否か
日本を離れてから今でも、よく日本にいる友達から「これから人生の夏休みだね!楽しんできてね。」と言われることがたまにあります。
パーソンズに通い始めて、同じプログラムの日本人の人も同じようなことをよく言われるようですし、
ニューヨークで出会う日本人の人でも、自分からそういうことを言う人に会ったりもします。
人生の夏休みってなんだろう。
多分そういうことを言ってきた人がおそらく考えていたであろうこととしては、
大人になってからの留学は、自分がやりたいと思ったことを集中して学びにいく自由を持つこと、
仕事に伴う責任とか義務感からある一定の期間、一度離れる(=休む)ことである、というイメージがあるのかもしれない。
おそらく、「日本での仕事=日常」で、「海外での留学生活=非日常」という前提もあるのだと思います。
もちろん悪気があって言った言葉じゃないということも理解しています。
この話をしていた同じ学校の友人は、「まあ確かに仕事の責任とかもないし、やりたいことだけをやりに来ているようなものだから確かにある意味人生の夏休みだよなあ」と納得している様子だったけれども、
この言葉を言われるたびに、私は正直ものすごくモヤモヤしてしまいます…。
大人の海外留学は、確かに人生の夏休み的なところもある
ニューヨークで出会う日本人の中には、日本の会社や組織から派遣されて留学しに来ている人も多くいます。
そうでもないと今のニューヨークの物価で、日本の時と同じような生活をするのは無理なので、この選択はいいなと思います。
それに、皆それぞれの組織で選ばれてニューヨークに来ている人たちだからか、日本で出会えなかったような人たちばかりで話していると面白いです。
会社からの派遣の場合は、もちろん会社や所属する組織にもよるらしいのですが、
家賃を全額負担されたり、手当が出たり、
学費も会社が肩代わりしてくれたり、
家族で来ている場合は子供の教育費も出してくれる場合もあるようです。
もちろん期間限定だからこそこういう待遇になっていると思うのですが、
会社の業務の一環で来ているわけなので、日本に戻っても仕事や居場所は保証されています。
もし今までの仕事や環境が好きで、いつかは日本に戻りたいと思うならば、
日本での生活から一旦離れて、仕事内容は今までと近かったとしても少し新しい環境で挑戦する、という意味ではすごくいい選択肢なんだろうなと思います。
ただ、日本に戻ったらまた留学前の生活に戻るらしいので、留学前と留学後を比べてどういう生活がしたいかは
考えて、社内での立ち振る舞いを考えないといけない、という話を聞いたことがあります。
それでも大人の海外留学は、人生の夏休みではない場合もある
私は、一度仕事を完全に退職して留学、それも今まで全く経験のないデザインという分野を学びに来ています。
今までの広告代理店の営業(プロデューサー)のキャリアを活かしつつも、将来はデザイナーとして、モノやサービスを作る仕事にも関われるようになりたい。けれども、デザイナーとして果たして仕事ができるほどのセンスや技量があるのかはまだわからないし、もしかしたら向いていないかもしれない。ある意味人生を賭けたギャンブルだと思っています。
そして、私は最終的には日本と海外を行き来しながら仕事ができるようになりたいから、当面の間はアメリカでのキャリアを積みたいと思っていて、今のところは日本に生活の拠点を戻そうとは考えていません。
もちろんここはビザの問題もあるし、今はなんとも言えないけれども、
今頑張らないとアメリカに移住するという選択肢は完全に消える状態です。
7年間働いて、毎日息しているだけで消えていく貯金。
値上がりが決まった来学期の学費。
エリアによっては前年比 200%超えをするニューヨークの家賃相場。
3ヶ月後さえも見えない未来。
「非日常」を「日常」に変えるのには、いろんなハードルと課題が山のようにあって、毎日「生きていけるだろうか」と、
ひりひりする時もあります。
それでも、ただの夏休みだったら保証されていたかもしれないいろんなことが、保証されないからこそ、
逆にできる挑戦、想像を超える未来もあるかもしれません。
こればかりは人それぞれの価値観と決断によると思うのですが、
今の私にできることは、夏休みを夏休みとして終わらないように、ギャンブルだとしても必ず勝てるようにできることをしようと思っている、今日この頃。