PERCHの聖月曜日 26日目
笛の奏者カピシアスもうまいことを言ったものだ。弟子の一人が大きな音を出して稽古していると、その弟子に平手打ちを食わせて、「いい演奏をするというのは大きな音を出すことじゃない。いい演奏をすれば大きな音になるのだ」と言ったというのだ。また像にしても、昔の職人たちが作った像は昔の踊りの名残だ。だからそのために、手の動きについては念入りに作られている。つまりそういうところにも、美しい、自由な市民にふさわしい動きを求めたわけで、その動きが美しければ大きさも出てくると思われていた。そしてその踊りの手ぶりは合唱の舞に転用され、そこからまた相撲の学校へと伝えられた。というのはつまり、人々は音楽と肉体の世話にいそしむことによって勇気を身につけ、武具を着けた身のこなしのためには歌いながら稽古をしたのだ。そこから「ピュリケ」と呼ばれている踊りや、それに類したすべての踊りが生まれた。
––––アテナイオス『食卓の賢人たち』岩波文庫,1992年,p336-337
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?