『マロニエ王国の7人の騎士』
昨年「このマンガがスゴい」でオンナ編1位を取っていたのでご存知の方も多いだろうが、『町でうわさの天狗の子』や『金の国水の国』を描いていた岩本ナオの現在連載中の作品。
マロニエ王国にいる女将軍バリバラの7人の息子達。
それぞれ不思議な特徴を持ちながら、皆で和気あいあいと暮らしていたが、急な任務で各々が近隣諸国へ大使として赴くことを言い渡される。
どうやら、この外交には裏があるようなんだけれど…って感じ。
現在出ている3巻までは、長男と幼なじみの女の子が想いを交わすところまでを軸に物語が展開していく。
女の子は、腕力と強靭な胃袋と精神力を合わせ持つ城代の娘、エレオノーラ。普段あんまり難しいことは考えておらず、今回の隣国使節団にも戦士としての凄腕を買われ騎士長補佐に任命されている。
家柄の良さからサラッと結婚することが決まってしまった風な2人。でもまだ気持ちが追いついていかない。
実は本当はお互い「貴方で良かった」と思っているのだけれど。出来れば、それを伝えたいのだけれど。
恋愛面だけでもお話は充分に面白いのに、架空の国を舞台にしていて、不思議な世界観の中で暮らす可愛らしい日常があって、彼らには生まれの秘密がきっとあって、任務先で謎の男に襲われたりして、他国のお姫様の初恋も綺麗にまとまって…と盛りだくさん。
それでいて、登場人物みんなが優しく繊細さはあるのにあっさりとしているので、ゆっくり安心して読んでいられる。暑苦しさも全くない(わたし、むやみに暑苦しいのん苦手やねん)。
ほんわかしてもいるので伏線とか無理に気にしなくっても大丈夫。
岩本ナオの描く世界は、基本的に気立ての良いちょっと天然な人達がたくさん出てきてくれて、それは女子高生の恋バナであっても、架空の国の騎士達の出生の秘密であっても変わりなく、安定の世界を作り出す。
ただ、今回のお話は中世ヨーロッパ的な雰囲気や魔法の国的な世界観の作り込み等がしっかりしていて、これまでの作品で1番読み応えがあるかも。
優しくのどかな世界を愛する人にぜひ読んでいただきたい漫画です。
長男メインの話だけでほぼ3巻まできてるから、たぶんまだまだ続くと思うよん。