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LaTeX網羅学習 #01 TeX, LaTeXとは?

どうも、ほりぃです。

前回の投稿から何日経ったでしょうか。そんなに間が空いていないといいのですが。

さて、$${\LaTeX}$$網羅学習の第1回は、そもそも$${\LaTeX}$$とは何か?についてまとめていきます。


TeX, LaTeXの違い

さて、タイトルに「$${\LaTeX}$$網羅学習」とつけましたが、この世には$${\TeX}$$と$${\LaTeX}$$の2種類の用語があります。私も、最近まではこれらの違いが何なのか、よく分かっていませんでした。

ということで、はじめに$${\TeX}$$と$${\LaTeX}$$の違いについてまとめていきます。

TeXとは?

$${\TeX}$$とは、1978年にアメリカの数学者ドナルド・アーヴィン・クヌース(Donald Ervin Knuth)が発表した組版システムです。組版(typesetting)は印刷用語で、文字や図を配置して印刷用の紙面を作ることを意味します。$${\TeX}$$はギリシャ語から来ており、読み方は「テック」または「テフ」です(「テックス」デハナイデスヨ)。表記の仕方も決まっており、これまでの投稿でも表記していたとおり、$${\mathrm{E}}$$を少し下に下げ、字間を詰めて書きます。プレーンテキストでしか表記できない場合は、Eを小文字にして"TeX"と表記します("TEX"や"Tex"はNG)。


TeXの表記法

また、$${\TeX}$$は組版処理を独自のプログラミング言語を用いて行います。このプログラミング言語も$${\TeX}$$と呼ばれています。ですので、一概に$${\TeX}$$と言っても、組版ソフト・プログラミング言語の両方の意味を持つのです。区別のため、前者を$${\TeX}$$処理系、後者を$${\TeX}$$言語という場合もあります。

LaTeXとは?

$${{\LaTeX}$$は、簡単に言えば$${\TeX}$$の強化版です。プログラミングにおいて、いくつかの命令を組み合わせて新しく作られた命令をマクロといいますが、$${{\LaTeX}$$は、$${\TeX}$$で文書作成をするのに便利なマクロが一通り揃えられたマクロ体系を指します。1985年にコンピュータ科学者のLaslie Lamport(レスリー・ランポート)によって発表されました。

1993年には$${\LaTeX2_{\varepsilon}}$$という新しいマクロ体系ができ、現在では$${\LaTeX}$$というと$${\LaTeX2_{\varepsilon}}$$を指すようになりました。

$${\TeX}$$と同様に、$${\LaTeX}$$や$${\LaTeX2_{\varepsilon}}$$の表記方法も厳密に決まっています。$${\LaTeX}$$や$${\LaTeX2_{\varepsilon}}$$の表記ができない場合は、"LaTeX", "LaTeX2e"のように表記します。


LaTeXの表記法

ここまでのまとめ
・TeXは組版処理を行うソフトウェアで、TeX言語を用いて記述される。
・現在ではその機能強化版にあたるLaTeXが用いられている。



LaTeXの特徴

これまで述べてきたように、$${\LaTeX}$$は$${\TeX}$$言語を用いて組版処理を行うソフトウェアです。

$${\LaTeX}$$の特徴を一言でいうと、”文書を高度に最適化して記述できる”です。具体的な機能を1う見ていきましょう。

例えば、Wordでレポートを作成することを考えてください。まず、あなたはレポートのタイトル・氏名等を書くでしょう。そして、本文を書き始め、どこかのタイミングでタイトルや見出しのフォント・サイズを整えるでしょう。

$${\LaTeX}$$では、この手間が一つ省けます。例えば、「1. はじめに」という見出しをつけるとき、$${\LaTeX}$$では

\section{はじめに}

と記述します。これだけでOKなんです。この"\section{}"に見出しの内容を入れるだけで、自動で見出し仕様の体裁に整えてくれます。番号も自動で割り振ってくれます。

このように、文章の構造を既存のレイアウトに当てはめていく、というイメージで$${\LaTeX}$$は記述していきます。文書の「構造」と「レイアウト」を完全に分けて記述することができるのです。

その他のTeX処理系

$${\TeX}$$処理系には、元祖$${\TeX}$$の他にもいくつか存在します。存在する、というより、改良によりさまざまな種類の$${\TeX}$$処理系が開発された、といったほうがいいかもしれません。

  • $${\mathrm{up}\TeX}$$, $${\mathrm{up}\LaTeX}$$

$${\TeX}$$は主に海外で使われており、日本語で使用するにはいくつか問題が生じていました。$${\mathrm{up}\TeX}$$は、$${\TeX}$$を日本語化し使いやすくしたものです。これを$${\LaTeX}$$化したものが$${\mathrm{up}\LaTeX}$$です。

  • $${\mathrm{Lua}\LaTeX}$$

現状主流な$${\TeX}$$処理系の一つです。現在、新たなマクロ体系$${\LaTeX3}$$の開発が進行中で、$${\mathrm{up}\LaTeX}$$ではそれに対応できない可能性があります。これから$${\LaTeX}$$の使用を始める場合は、極力この$${\mathrm{Lua}\LaTeX}$$を用いたほうが良いでしょう(私も$${\mathrm{Lua}\LaTeX}$$を使っています)。

LaTeXの処理の流れ

これまでグダグダと説明をしているだけでは、「じゃあ結局どうやって$${\LaTeX}$$を使うのサ?」と思われる方も多いと思うので、$${\LaTeX}$$が組版処理をする流れを簡単にまとめます。

まず、組版の指示を$${\TeX}$$言語で記述したテキストファイル(拡張子は.tex)を用意します。この.texファイルを$${\mathrm{Lua}\LaTeX}$$等の処理系に受け渡し、DVI (device independent) ファイル(拡張子は.dvi)へ出力します。このDVIファイルは、DVIドライバなどのソフトによって印刷できる形式のファイル(PDF, PostScript, SVGなど)へ変換します。

なお、前述した現在主流の\mathrm{Lua}\LaTeX}$$は、DVIファイルを介さず直接PDFファイルへ出力することができます。



ここまでのまとめ
・LaTeXは高度に最適化して文書を作成することができる。
・LaTeXはDVIファイルを介してPDF等へ出力するが、モダンなLuaLaTeXなどでは直接PDFへ出力できる。



最後に

ここまで、$${\TeX}$$・$${\LaTeX}$$とは何か?について見てきました。次回は、実際に$${\LaTeX}$$を使用してみようと思います。

ここまで読んで頂きありがとうございました。また次の投稿でお会いしましょう。


参考にさせて頂いた文献・サイト


『LaTeX2e美文書作成入門 改訂第8版』

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