エピソード1 プロローグ(2)
振り返ると幼馴染の顔がそこにあった。
「おまえ今日は仕事休みか?」
「うん。今日は休み。蓮はまたズルしてんの?外回りだからって適当はダメだよ?」
「いんだよ、どうせ安月給だし~」
はぁ~、と大きくため息をつきながら適当なこの幼馴染のことを一瞥する。
― ゆとり世代とはいえ・・・・・・適当過ぎない?
「・・・・なあ」
突然、不意に覗き込むように顔を近づける蓮。
「なによ?」
「・・・・・・・いや。―なんでもない」
何かを言いたげな表情をした後、言葉を飲み込む様に蓮はグッと口を詰む。
真剣な面持ちで言葉に迷っていた様子だったが、あのいつもの緊張感の無い表情に戻ると、まるで何事も無かったようにニコリと笑い
「おっ、そろそろ仕事に戻らないとなぁ」
と、らしくもない事を言いながらその場からそそくさと去っていった。
「?」
(何を言おうとしたのかしら?もしかして・・・・・)
「お金を貸してくれとか?」
― いっつも金欠金欠だって言ってるし・・・・
ふむっ
「まあ、いっか。今日は予約した占いの日!遅れないようにいかなくちゃ」
満面の笑顔で沙羅は急ぎ早に目的地へと向かった。
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