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エピソード2-(2)

 
「相変わらず短気だよな~、お前。で?今日の神示どうだった?」

珍しく真面目な目つきで蓮がクチナシに問いかける。
硬く手のひらを組み、クチナシはスッと視線を下に落とすと、

「何の兆候もみられなかった。印もまだだ。あれから3年も経つのに・・・・」
 
「そうか・・・やっぱり記憶は戻ってない感じか」

ふうっと大きくため息をつきながら蓮は考えを巡らす。

―「約束の日」が近づいてきているのに何故だ?何かが発現の邪魔をしているのか?

「これは一つの仮説では有るが・・・・」
そう前置きしてから蓮は続ける。

「沙羅の同僚にアイツの仲間がいるんじゃないか?」
 
「まさかそんな訳・・・・・。考えてみろ、1000年だぞ?我らが滅ぼしたはずだ。仮に・・・仮にだ、もしお前が言うようにどこかの時点で子孫が生まれていたとしても、我が『鬼の子孫』達とは違う。たかが人間だぞ?」

その言葉を遮るように、語気を強めクチナシに言い放つ蓮。

「そのたかが!人間が!神と言う名の悪神の力を借りて「頭(かしら)」を討ち取ろうとしたじゃないか!!」

―それに・・・・・。

「この間の通り魔事件の被害者も俺らの仲間だったヤツだ。人間の刀で傷を付けるのも難しいのに切り刻んだ上に息の根まで止めて死に至らしめた!そんな事ができるのは」

―ヤツらしかいない!

ぶるぶると怒りに拳が震えている蓮を横目で見ながら、目にかかっていた髪をかき上げ、ポツリと静かに呟く。
 
「阿曽媛(あそひめ)・・・・・」

長い沈黙の中、
夜の帳が下りた空に不気味に佇む赤銅色の満月を眺めながら彼女の日々の安寧を心の中で祈った。
 
 

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