私が座る、小さな居場所
この椅子は私が小さい頃に祖母が贈ってくれたものだそうだ。私はこの椅子がとてもお気に入りで家にいる時はずっと座っていた。成長して座れなくなってしまっても、捨てられずにずっと手に残していた。しかし今日この椅子ともお別れだ。私はこの春で大学生になる。進学先は地元から遠いため、一人暮らしをすることになった。両親共に私よりも不安そうだ。そんな両親に「大丈夫だから、もう成人してるんだよ?」と強がったことを言い、最後の荷造りをした。ふとその椅子に目が止まる。少し寂しい気持ちになり、目頭を押さえた。そして小さな椅子に少し腰掛けて、行ってきます。と呟いた。