治したい母と治れない私「髪のない私は価値がない、という思い込みから脱却出来たのは夫の一言がきっかけでした①」《四コマ漫画+エッセイ》
世の中には色々な病があり
その当事者にしかわかり得ない
様々に心、体に関わる
不自由な事柄が沢山あると思う
脱毛症と言えば
命に関わることではない
痛みもない
単純に毛がないだけで
ただただ見た目の問題だけである
これもかつらを装着すれば
そう注目されることもない
思っている程人は他人に興味は無く
カミングアウトさえしてしまえば
ハゲがバレるかもと
怯えることもなくなる
ただ私の場合、
気楽にカミングアウト
が出来るようになったのは
割と最近のはなし
髪がないことにより
経験してきた様々なことで
異様なまでに自己肯定感が
低くなってしまっていたため
どんなに仲良くなった友達にも
お付き合いすることになった人にも
自分からかつらの使用を
カミングアウトすることが
どうしても、どうしても、どうしても
怖くて出来なくなっていた
どうしても髪の無い自分には
価値があると思えず
価値がない人間だと
大切に想っている人にばれることが
ただひたすら怖かったのである
幼い頃から素の自分を隠す生活をし
急な来客時には咄嗟に親に
隠される、守られていたのだと
頭では理解していたし
自らも率先して身を隠しては
いたものの、
隠されなくてはいけない存在だと
いう事実は幼心に
中々の傷を作っていたと思う
小さな頃から母と全国津々浦々
脱毛症の権威がいるという病院を巡ったが
何をしても何の改善もみられない
ハゲに効くライト、頭部マッサージ装置
謎の電磁波マット、高額なお茶
母はとある宗教に救いを求めたこともあった
毎日お経をあげ、高い神棚も買った
何やら高額な粉末を買ってきた
飲みたくなかったが、金額をきいたら
飲まざるおえなかった
3歳から10代後半まで
私の為なのは充分わかっているし
母の想いにもちろん感謝もしている
でも私の為に使ってくれたお金は
一体いくらになるんだろう
沢山のお金をかけても
治れないことに
どんどん罪悪感を覚えるようになり
治らない私を
そのままの私を
自身が受け入れるタイミングを
逃したまま、私は大人になってしまった
自分にはお金をかける価値は無く
かつらを被った疑似の治った私
でないと、人と対等には
渡り合えないという思い込みにとりつかれ
その価値観は社会に出て、結婚し
そこそこの大人になっても
ゴムパッキンの落ちない黒カビのように
しつこく根付いてしまっていたのです。
↑続きです
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