被害者と加害者「夫婦関係が良好になったきっかけ⑤」《4コマ漫画+エッセイ》
私の職場には小さなミスを
何度も責めてくる上司がいる
こちらも1回2回の事ならば
心のこもった熱のある謝罪を
披露して見せる事が出来るのだが
3回目ともなると多少ウンザリ感が
漏れ出てしまう時がある
同じ事で何度も謝罪をさせられるのは
思った以上に心に負担がかかるものだ
夫婦関係が拗れた時
先手を取って「被害者」の座を
奪われると、他方は自ずと
「加害者」の座につかざるおえなくなる
「浮気をされた」
このカードを手にした私は
当たり前のように
「被害者」の座に居座った
世間の風潮からすると
当然の成り行きのように思えるが
今にして思えば
自分の生き辛さ、自信の無さ
「元々抱えていたもの」に
浮気によって出来た傷が新しく
「加わった」状態なのだが
自分が感じている辛さ、痛みの原因が
全て夫にあるように思えてしまい
その責任をとってもらわないことには
気がすまないような気持ちになっていた
自分の痛みや辛さを誰かのせいに
することは一見とても
楽な事のように思える
だが誰かのせいにしているうちは
到底傷や辛さが根底から和らぐことはなく
慢性的に報われない感が続くだけだ
一方が被害者で居続けるかぎり
他方は加害者で居続けることになる
何度心からの謝罪をしても
許されていないと感じ続ける事
その相手と共に生活をしていくことは
かなりの苦痛を伴うことだ
相手を責める事で傷は治ったりせず
責め続ける事で今度は相手に
小さな傷を沢山つけていくことになる
夫婦再生を試みるなら、どこかで
この関係を断ち切る必要があった
不幸ではないが幸せでもない
このぬるま湯からもういい加減に
這い上がりたい
いつまでも夫を責め被害者のままでいたい
小さな私が幾度となく足や腕を掴み
ぬるま湯に引き戻そうとしてくる
自分の幸せを阻んでいるのは
いつだって自分自身なのだ
やっとの思いで引き剥がした
長年の分身との別れは
一時私の心を不安定にはしたが
いい湯加減に浸かる喜びを味わう
私の身体のどこかで
今はひっそりとそれを喜んで
くれているように感じている。