鏡「夫婦関係が良好になったきっかけ⑥」《4コマ漫画+エッセイ》
最近少し太ってきたかなぁと思い
ふと夫を見ると彼もまた
少し大きくなってきている
在宅勤務の夫とは
ほぼ同じ食生活なので
当然と言えば当然の話だ
夫婦は鏡という言葉を聞いた時
生活を共にすることで、見た目が
似てくるって感じの事だと思っていた
勿論そういった意味合いも
多いにあるのだろうが
結婚生活25年を振り返ってみると
夫は私の内面様々な事を映し出す
鏡のようだった事に改めて気がつく
自分に価値がないと思っていた時
やはり夫は私を粗末に扱い
自身の価値の無さを
見せつけてきたように思うし
自信を持てないでいた時は
夫もまた、全てに自信が持てない
弱い人間なのだと私の目には映っていた
常に自分にダメ出しをしていた時は
夫に対してもそうであり、それがまた
私にハネ返ってきていたはずだ
私は長い間夫に愛されていないと
感じていたのだが、夫も又同じ思いを
していたのではないかと今は思えている
なんて単純なカラクリだったのだろう
それに気がつけた時、互いの弱さやミスを
責め合うような消耗戦は、一刻も早く
終わらせなくてはいけないと思った
私が大切にしている食器を
うっかり割ってしまった夫に
がっかりのため息を抑え込み
「怪我はしてない?大丈夫?」
と声をかけてみる
夫は一瞬戸惑いの表情を見せた
そりゃあそうだ、いつもなら
ため息をつかれ、冷たい態度を
とられていたのだから
板につかない張り付いた笑顔を
むけられても、鏡に映る夫の顔は
不信感を滲ませこわばっている
長年磨きもせず、手入れを怠った鏡は
互いの本来の姿を歪んだ形にして
映し出すようになっていくのだ
自身の価値を否定することをやめ
少しづつ自信を取り戻していく過程で
写し鏡である夫の見え方も変化していった
自分を信頼出来るようになった時
初めて相手も信頼出来るようになり
自分を大切に出来るようになって
初めて相手を大切にする方法がわかり
自分に自信が持てるようになると
相手の自信の無さよりも強さの方に
目が向くようになる
見え方が変わると気持ちも変わり
態度も変わる、そのやり取りの
積み重ねが関係性を変えていくのだろう
夫婦は写し鏡だ
夫婦の事でどちらかが一方的に
「悪」である事はまず無いのだと思う
パートナーの言動で
辛さや苦しさ、怒りを感じる事があるなら
それは自分の生きづらさの理由を知る
何かしらのヒントを与えられている
のかもしれない。