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服作りの無駄は本当に無駄なのか

6年前「オーダー」という業態に決めた時点で念頭にあったのが「無駄な服は作りたくない」という事。

企業が持続可能な活動を模索する事は珍しいことではなくなってきましたが、正直「サスティナビリティ」の言葉を商売道具にしてない?と思うこともあります。

じゃあ自分は?どれだけ「環境負荷の少ない」活動ができるのか?どれだけ「無駄を出さない」形が作れるのか?

オーダーシャツの場合商品在庫を持たないので、「誰にも袖を通されることなく捨てられる服」というのはほぼ存在しません。その点で無駄がないという事はできますが、細かく見ていくと無駄はたくさんあります。

・裁断して出る生地のハギレ(いつか使おうととってありますが場所を取る…)
・縫製の最中に切り落とす糸、生地(ちょっと細かく見過ぎかもしれませんが)
・梱包材(お客様のもとに届いたあとは捨てられることがほとんどだと思います)

これ以外にもまだまだありますが、じゃあ全く無駄をなくせばいいのかというとそれも味気ないな…という気持ちになります。

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例えば「柄合わせ」
これは写真の肩の部分を見ていただけるとわかるように、模様がぴったり合うように裁断・縫製する事なのですが、これを実現するにも「無駄」が出ます。

狙った柄の部分を切り出すので、つめて裁断することができずにハギレが大きくなってしまいます。美しい仕上がりを目指したがために無駄が出る。
柄がきっちり合っているかなんて気にしていない人も多いし、そんなのやめたら?という声が聞こえてきそうです。

でも、柄がきっちり合っている服というのはそれだけで凛とした雰囲気が漂います。たとえ洗いざらしだとしても清潔感があります。
それってその服を着ている人にとってすごく嬉しい事だと思うんです。そういう力を僕は信じてシャツを作っています。

梱包でも「とことん簡易包装」のブランドや「見た目重視の過剰包装」のブランド、方針や取り組みは様々です。

ホーローシャツとしては、なるべく捨てずに二次利用したいものを使って梱包する形を模索していますが、コストとの兼ね合いもありまだ最良と思える形を探しているところです。やっぱり綺麗に梱包されたものが届くと嬉しいですし。

なんの結論も出ない取り止めのない文章になってしまいましたが、頭の整理の途中と思ってご了承ください。

何か物を作ると決めた時点で「何かしらの無駄が出る」というのは避けられない事を前提に、「味気ない」の一線を超えない「無駄減らし」を考えていきたいと思います。


オーダーという業態を選んだ時点で「無駄なものを作らない」が頭にありました。これまでもこれからも、ちゃんと袖を通して着倒してもらえるシャツ作りを続けていきたいと思います。