10年経っても変わらないこと分からないこと
「それはどういう風になったら儲かるの?」
オーダーシャツ屋を始めて2、3年した頃に元同僚から聞かれて、何かモゴモゴ答えた気がするけど、正直わからなかった。そして、11月1日で10周年を迎えた今でもやっぱりわからない。
とはいえ、楽しい気持ちは変わらずに10年続けてこれたのにも理由があると思うので、ここらで振り返ってみようと思う。
ちなみに、はじめましての方に『holo shirts.(ホーローシャツ)』がどういうブランドかご説明すると
でも、この形になるまでには紆余曲折がありまして。
初期(2014年〜2018年くらい)
自宅の一室でスタートしたホーローシャツ、もちろん何から何まで自分一人でやっていた(今も縫製とパターン以外はほぼ一人だけど)。
今と最も違うのは、一人ひとりのパターンを一から作る「フルオーダー」というスタイルだったこと。
お客様のご要望に応えつつ、襟のパーツをこう変えるとこう見える、というようなアドバイスを挟みながらシルエットも含めて理想を探る、こちらにとってもお客様にとってもすごく頭を使う形式だった。
制作にもたくさんの時間を要したので作れる数も少なかったし、今より料金が低かったので体力勝負の仕事だった。
(そりゃ冒頭の質問したくもなるわな)
そのうち体力が続かなくなってお届けが遅くなってしまい、たくさんの方に迷惑をかけてしまった。体調不良が重なったりなかなか辛い時期で今思い出してもお腹が痛い。
この頃は国分寺にアトリエを借りていて「ここに縫製できる人を集めて工場的な動きもするぞ」と考えていたが、今はこれっぽっちも思っていない。
(分からんな〜)
中期(2018年〜2020年くらい)
フルオーダーという形の(体力的な)限界を感じたのと、自分の「好き」がお客様にも伝わってきたという実感もあって、この頃から「セミオーダー」という今の形に移行していった。
(この頃考えていたこと、2020年にまあまあちゃんと書き残してた)
セミオーダーでは、自分が好きな「程よく力が抜けていて、でも清潔感がある」というのを実現できるシャツを提案しようと形を考えた。
オーダーの方法がシンプルになったものの、サイズを決めて、丈の調整が必要か考えて、生地とボタンを選んで、、やっぱり考えることは多い。
(変わらんな〜)
そしてあいつがやってきた
とっても流行ったあのウイルスですな。
100%対面でオーダーをいただいていたうちにとっては大打撃。
でも、これがあったからこそたくさんの出会いもあったし、たくさんトライしたから、おかげで(?)今の形で続けられてるともいえる。
(ほんと分からんな〜)
今日まで(2020年〜2024年)
何をトライしたって、初めてのモデル撮影、オンラインストアの開設、アトリエに集合するのではなく自宅で縫ってもらう仕組みの確立、ビデオ通話でのオーダー受付、セミオーダーできる型を増やすための開発、そう、noteもこの頃始めたんだ。
いろんなことを試していると、とっ散らかってしまって迷子になりがち。
だから自分はこのホーローシャツで何がしたいのか、何を作りたいのかすごく考えた。
考えたけど答えは初めから変わっていなくて
「たくさん着てもらえる服を作る」
やっぱりこれだった。
はじめはそれをフルオーダーという形で「お客様の身体にピッタリのものこそたくさん着られる服」と思って作っていた。
その考えは今も変わっていないけど、それだけじゃないということもわかってきたのが今のホーローシャツ。
寸法がぴったりじゃなくても、「着方の工夫がしやすい服」「たくさんのコーディネートが思いつく服」も、立派な「たくさん着られる服」なんだと。
だから、明らかにバランスが悪いと思うもの以外は「その方のための正解」があると思って、使いこなせる余白を残したサイズ調整を心がけている。
これから
これからもやっぱり「たくさん着られる服」を作り続けることには変わりないと思うし、メニューも大きく変わらないと思う。
これからはもっとたくさんの方に知ってもらって、少しずつたくさん作れるようになって、「自分にちょうどいい服」をわかって着ている人を少しでも増やすこと。これをとにかくコツコツやっていくしかないと思う。
(全然変わらんな〜)
どうやったら儲かるかって?
そんなのわからない。
でも続けるためには儲かってないとダメで、それに向けた努力はしてるのでご安心を。10年後はもっとしっかり振り返れるのかな。
(分からんな〜)
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オーダーという業態を選んだ時点で「無駄なものを作らない」が頭にありました。これまでもこれからも、ちゃんと袖を通して着倒してもらえるシャツ作りを続けていきたいと思います。