野球選手に多い、肩やヒジなどのケガを避けるために習慣にしたいこと
ケガをしにくい選手になるには、セルフケア(自己管理)が大事です
こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。
小中学生の子どもが、野球のスキルを高めるには、繰り返しの練習が必要です。
それは、間違いないことです。
しかし、ケガをしないように子どもの能力を伸ばすには、その順番があります。
そして、子どもの成長には個人差があります。
その点を見落とさないように、練習やトレーニングメニューを組む必要があることを理解してください。
野球初心者であれば、小学校の低学年が多いと思います。
その場合は、まずは基礎体力となる運動能力を高めながら、脳から筋肉への指令の通り道をつくることに焦点を当てましょう。
ある程度の基礎体力がついてきた、小学校の高学年や中学生であれば、運動センスを高めるトレーニングを取り入れることで、野球の上達スピードを加速させることができます。
それらの詳しい内容については、これまでにお話をしてきましたので、ぜひ何度も確認をして欲しいと思います。
さて、今回はセルフケアについて考えてみたいと思います。
あなたは、セルフケアと聞いて、どのようなことをイメージするでしょうか?
野球は、練習時間も試合時間も長い傾向があります。
ですから、セルフケアを適切に行うことで、ケガを予防することが重要です。
それでは、セルフケアについて説明していきますね。
ウォーミングアップは良いプレーをするための準備です
ウォーミングアップは、「アップ」などとも言われていると思いますが、丁寧に行えているでしょうか?
ウォーミングアップを丁寧に行うことが、練習や試合での良いパフォーマンスにつながります。
肝心なことは、ウォーミングアップを正しい順番で行うことです。
しかし、小中学生の野球チームの場合、正しい順番を理解している指導者は多くないようです。
たとえば、いきなり静的ストレッチをしているようなら、それは間違いです。
最初に行いたいのは、筋肉の温度を上げることです。
ですから、まずはウォーキングをして、徐々にスピードを上げてジョギングをします。
ジョギングで、軽く汗をかく程度に体が温まったら、静的ストレッチを行います。
静的ストレッチとは、あなたもご存知の反動を使わないストレッチのことを言います。
静的ストレッチの次は動的ストレッチ、そして、反動を利用したバリスティックストレッチをします。
さらに、ウォーミングアップの最後は、野球の動きを取り入れた「切り返し」などの動作やショートダッシュをしましょう。
このように、ウォーミングアップは、徐々に筋肉の温度を高めてから、筋肉と関節の柔軟性を高め、運動効率を向上させることが理想的です。
また、季節によって、ウォーミングアップの時間を調整してください。
夏場であれば、ジョギングの時間は短くても大丈夫ですが、冬の練習の場合は、じんわり汗をかくくらいジョギングをして体を温めるようにしてください。
野球をする上で、ウォーミングアップは非常に重要です。
丁寧に行うようにしましょう。
クーリングダウンは、おろそかにされがちではないですか?
クーリングダウンも、ウォーミングアップと同じくらいケガの予防にとって重要です。
ですが、クーリングダウンの時間をしっかり確保しているチームは、どれくらいあるでしょうか?
「ダウンは家でしっかりストレッチをするように」
と、コーチに言われるだけで、グランドではクーリングダウンをしないか、したとしてもストレッチを軽く行うだけというチームが多いのではないでしょうか?
それでは、長い目で見てケガのリスクも高まりますし、疲労回復の面でも問題が残ります。
練習や試合の後の筋肉は疲れています。
その疲れを回復させる意味で、クーリングダウンをしっかり行いましょう。
クーリングダウンを正しく行うことで、筋肉の血流を良くすることができるので、疲労物質を取り除く効果が期待できます。
さらに、ストレッチでこわばった筋肉や関節をほぐすことで、筋肉痛を和らげたり、ケガのリスクを軽減することも期待できます。
クーリングダウンにも、正しい手順があります。
まず、軽いジョギングを2から3分行いましょう。
このジョギングは、おしゃべりしながらでも、息が切れない程度の軽めのジョギングで大丈夫です。
そして、徐々にスピードを落としていき、1分くらいウォーキングをして、心拍数を下げていきます。
その後は、軽い体操をしてから静的ストレッチをして、使った筋肉の緊張を和らげましょう。
時間の許す限り練習をしたいという指導者の考えもあると思います。
しかし、将来のある子どもたちです。
今ご紹介した内容を行うのに必要な時間は、10分程度だと思います。
クーリングダウンをしっかり丁寧に行って、子どもたちのケガのリスクを最小限にしてあげましょう。
週明けは、アクティブレストで元気を充電しましょう
アクティブレストはご存知ですか?
その名の通り、動きながら休養することです。
「週末の練習と試合で疲れているから、月曜日は何もしたくない」。
そう思う子どもが多いかも知れません。
逆に、「休んでいるのはもったいないから、月曜日も練習だ」と考えている人もいるかも知れません。
しかし、健康的な生活をする上でも、メンタルヘルスの面でも、運動と休養のバランスは大切です。
ただ、休養といっても、何もせずにゴロッとしているよりは、アクティブレストのほうが疲労回復に有効だということがわかってきました。
することは簡単です。
15分程度のウォーキングがおすすめです。
公園を散歩すると心身のリフレッシュにもなりそうですね。
子どもの場合、通学で15分程度歩いているのでしたら、それだけで十分にアクティブレストです。
さらに、ストレッチやヨガなどもいいと思います。
これらの負担の軽い活動によって血流を良くすることで、過剰になった活性酸素を取り除くことができますから、疲労回復に効果的です。
そして、次の日のコンディションを整えることができます。
それらの理由から、アクティブレストは、野球のパフォーマンスに貢献しますから、積極的に取り入れてみましょう。
もちろん、疲労回復には十分な栄養と睡眠が必要です
これは、言うまでもありませんね。
疲れた体を回復させるには、十分な栄養と睡眠が何より必要です。
そして、十分な睡眠は、子どもの心身の成長に必要不可欠です。
さらに、睡眠の質が高いと、成長ホルモンの分泌を促進しますから、体の成長につながります。
逆に、睡眠不足では、免疫力と集中力が低下しますから、練習の質も低下してしまいます。
小中学生の場合、学校の授業にも集中できなくなりますから、学業にも影響を与えてしまいます。
ですから、十分な睡眠を確保できるように、生活のリズムを整えましょう。
まずは、起床時間から逆算して、最低でも8時間眠れるように就寝時間を決めましょう。
さらに、就寝時間と起床時間を、できるだけ同じ時間にすると効果が高まります。
そして、バランスの良い食事も、疲労回復はもちろん、心身の成長にとって非常に重要な要素です。
朝昼晩と、五大栄養素をバランスよく摂るようにしましょう。
五大栄養素とは、【炭水化物】【タンパク質】【脂質】【ビタミン】【ミネラル】です。
野球をしている小中学生の場合、学校のお昼が給食の場合は、少し栄養が不足するかも知れません。
その場合は、お昼ごはんと晩ごはんの間に、おにぎりなどの補食を食べるようにしましょう。
栄養管理は、知識のある専門家でなければ難しいですが、子どもの成長にとっては、「お腹がすいている時間」を少なくすることが、ひとつのポイントです。
ただし、お菓子では補食になりませんから、その点は注意して、五大栄養素を意識して摂るようにしてください。
セルフケアでケガを予防しましょう
日頃のセルフケアで、ケガの予防をしましょう。
野球の場合、肩やヒジのケガが多いですね。
肩やヒジのケガは、投球動作の繰り返しによって小中学生にも起こり得るケガです。
まずは、投げすぎにならないことに注意しましょう。
特に、小学生の場合、肩周りの筋肉も発達していません。
筋肉量が少ないのに投げ過ぎれば、もちろんケガのリスクは高まります。
そして、小学生にとって、もうひとつ重要なことがあります。
それは、理想的な投球フォームを身につけることに焦点を当てたキャッチボールをすることです。
体全体の筋力が未発達ですから、以前にもお話をしたように、反動を使わないと投げられない子どもが多いです。
ですから、小学生のうちは、反動を使わなくても投げられる短い距離で、コントロールを重視したキャッチボールをしてください。
それが、ケガの予防につながります。
そして、肩周りの柔軟性や筋力アップをすることも大切です。
ホロス・ベースボールクリニックでは、7つの動作で肩周りの柔軟性と筋力強化を可能にする「ショルダープログラム」を開発しました。
このショルダープログラムは、メジャーリーグで行われているトレーニングを基に考案したホロスオリジナルの方法です。
ぜひ、取り入れてみてください。
セルフケアによるケガの予防は、生活全般のバランスが関係しています。
つまり、今回お話をした全てが、セルフケアとして大切な要素になります。
ウォーミングアップ、クーリングダウン、そしてアクティブレスト。
十分な栄養と睡眠。
ストレッチを習慣にして、柔軟性を高めることもケガの予防に必要なセルフケアです。
季節によって注意することがあります
気温の変化に応じて、練習の内容と時間を調整する必要があります。
夏は、熱中症に注意が必要です。
練習時間を細かく区切り、水分補給と休憩を適切にとりましょう。
冬は、十分なウォーミングアップを行って、体を温めてから練習をはじめてください。
しかし真冬では、いったん体を温めても、その効果は長くありません。
こまめに体を動かすようにしてください。
また、着る物を調整しながら、適切に保温することも大切です。
できれば、練習時間の調整もできるといいと思います。
夏であれば、気温の高い時間帯は休憩を多く取るようにしてみましょう。
冬場であれば、練習開始時間を遅らせて、少し気温が高くなる10時頃から始めるのもいいと思います。
暑い夏も寒い冬も、子どもは集中力を保つことが大変です。
可能な限り、集中して短時間で練習を終えるように、工夫してみてはどうでしょうか?
メンタルヘルスも必要なセルフケアのひとつです
メンタルヘルスが、肩やヒジのケガに直接的な影響があるわけではないですが、必要なセルフケアになるので、少しだけ触れておきますね。
野球は、メンタルのスポーツとも言われます。
失敗の多いスポーツですから、メンタルヘルスはパフォーマンスに大きく影響します。
試合でヒットが打てなかったり、エラーをして負けてしまったら、気持ちは落ち込みますね。
また、プレッシャーや緊張、失敗への恐怖なども、野球の試合中に感じることが多いでしょう。
そのために、日々の習慣としてメンタルトレーニングを取り入れてみましょう。
メンタルトレーニングでは、リラクゼーションやビジュアライゼーションといった色々な手法によって、集中力を高めたり、自己肯定感を高めることができます。
そして、目標設定を適切に行うことができるようになれば、過度なストレスを感じることなく、自信を持ってプレーができるようになります。
メンタルトレーニングは、長期的に継続して行う必要があります。
できる限り、早い段階でトレーニングを開始することをおすすめします。
いかがでしたか?
今回は、ケガを予防するためのセルフケアについてでした。
練習や試合前のウォーミングアップ、練習や試合後のクーリングダウン。
アクティブレストが、疲労回復効果のあることもお話しましたね。
そして、朝昼晩と、五大栄養素をバランスよく摂ること、寝る時間と起きる時間を決めて8時間以上ぐっすり眠ること。
ストレッチを習慣にしましょうといったお話をしました。
質問があれば、いつでもご連絡ください。
今回は以上です。
次回もまた、あなたのお子様の野球の上達を、効率的にできるアイデアをお伝えできればと思います。
それでは、またお会いしましょう。
【石橋秀幸プロフィール】
広島県出身 日本体育大学卒。
慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科スポーツマネジメント専修卒。 1987年から2002年まで15年間、広島東洋カープの一軍トレーニングコーチ。
1997年ボストンレッドソックスへコーチ留学。
現在は、神奈川大学人間科学部非常勤講師、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員。
また、2022年11月からホロス・ベースボールクリニック代表として、球児の成長のサポート事業をスタート。
これまでも、プライベートコーチとして、小学生から大人まで、アスリートはもちろん、プロの演奏家へもトレーニングとコンディショニング指導を行う。
著書多数。
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