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90+5分に何が起こったのかを整理する〜J2第18節 水戸対長崎〜

明治安田J2リーグ第18節、水戸と長崎の試合は、2−3で長崎が勝利して公式戦の負けなし記録を18に伸ばしました。

結果だけであれば2位相手に「惜しかった」で終わるのですが、事はそれだけで終わりません。

2−2で迎えた後半アディショナルタイム。
90+5分付近の実況が不自然にカットされているので分かりづらいかもしれませんが、顛末を簡潔にまとめると以下になります。

1)PA侵入してきた長崎ファンマ選手に水戸前田選手がついていくも振り切られかけ、接触して倒してしまう(若干足がかかったようにも見えた)
2)榎本主審はノーファウルのジェスチャー
3)長崎側の選手・ベンチが抗議、試合中断
4)判定が変更され、ノーファウルからPKへ変更
5)水戸の選手ベンチが抗議するも、判定は再度覆らず
6)ファンマ選手がPKを決め、その時点で試合終了

自分はメイン側の中央水戸寄りで見ていましたが、1)のシーンはPKの判定であろうと信じて疑わないくらい明白なファウルに見えました。ですので、この印象を前提としてこの先は話を進めます。

ですので、2)の仕草を見た時には正直頭の中で「?」が100個くらい浮かぶような状況で、なんらかの形で審判団との協議は行われるだろうなとは思っていました。

この種の話においては、「主審の判定は絶対」という原則を狭く捉え過ぎている主張が多く見受けられるのですが、主審の最初の決定が副審や第4審の助言により変更されることはありえますし、実際に発生しています。審判団にはレシーバーが備え付けられていて、リアルタイムで四人同士交信が可能になっています。それを前提に話を進めるべきなのかなと思います。

※家本さんの記事は映像からの推測を含みますので、事実と相違している可能性はありえます。ただ主審としての場の進め方あるいは情報収集手順としてどうだったかを知るには有用だと思われるので、気になる方は購入してお読みになることをおすすめします。僕は買いました。

番記者のサトタクさんがピッチ上での一部始終を無料記事として書いていますが、表層的な見方に過ぎないのでこれだけではなんとも言えません。ただ位置証言としては重要なものになるでしょう。
ただ今回の問題は、判定を下すためには審判団が集めた情報でのみで判断するという大原則があるので、それに従っているかどうか、つまり長崎側の抗議が判断材料になったことで判定が覆ったかどうかが焦点であり、それを解くためには副審あるいは第4審からの助言がいつ無線で入ったかを知る必要があるからです。見た目だけでは判然としない以上は、リーグないし審判側の声明を待つよりありません。
ただ判定を下すに至るプロセスが肝要である、ということは間違いのないことだと考えます。

少なくとも3)→4)のように「長崎側の抗議によって判定が変えられたように見えた」という意味で、水戸側の意見は一致しています。
自分もそう見えました。Ksスタ全体からこれまで聞いたこともないようなブーイングが浴びせられることになりました。
水戸のサポーターはネタとノリ以外ではほとんどブーイングを行わない、平和の使者的存在です。
水戸側の視点から言えば、その平和の使者たちが持てるエネルギーを使って強烈なブーイングを浴びせた意味を、リーグ関係者には強く感じていただきたいところではあります。

なお、この事象に際してVARがあれば解決できた、と主張する人もかなり見られましたが、ここまで見た通り最初の判定から最終的な主審の決定をどう下すかの話ですので、論点がずれているとしか言いようがありません。むしろ、VARなしで正しい(と思われる)結論に達したのですから、今回の事象は助言を行った副審ないし第4審のファインプレーの可能性が高い事象です。
水戸サポーターそして日本サッカーを愛する者の一人としては、(受け入れ難い判定ではあるけれど)今回の判定を変えてほしいとは申しません。願う事とすれば、この試合のアセッサーの方には、試合全体の判定のプロセスと結果を踏まえた上で、それぞれの審判員に正当な評価をしてあげてほしいと思う次第です。
そしてもちろん、対戦相手の長崎さんはじめ、今日の審判団に対しても不必要な誹謗中傷は控えるべきだと考えます。

もちろん器物損壊もダメです。

人間がサッカーを行う以上、こういった理不尽は起こりえます。
ここまでではありませんが、小さな理不尽の積み重ねは20年以上水戸を応援してきて山ほど経験してきました。そして乗り越えてきました。

試合終了後、審判団に説明を誰よりも強く求めに行ったのは、うちの小島社長でした。誰よりもチームを守ろうとする姿がそこにありました。

選手をバックスタンドに迎えた後、

俺たちのこの街の 誇り 
水戸ホーリーホック

魂を込めて行こう
勝つのは俺たちだ
アレアレオ アレアレオ
最後まで熱く闘え

Get Win(水戸ホーリーホックチャントより)

水戸の街の誇り』をチャントを歌って取り戻そうとするバックスタンドのサポーター。

選手スタッフを讃え、『だからこそ水戸というチームを応援したくなる』と締めたスタジアムDJ寺田さんのアナウンス。

どれも美しかった。

現場は現場で、自分へ向けてベクトルを向け始めている。

サポーターはサポーターで。
試合の後のダベリ場で、ヤクルトファンを兼務する方が、こうつぶやきました。

『判定で揉めた試合の次の試合って、反動で良い結果になること多いんだよね。』

その場にひろがる共感の波。それを持ち帰って帰路につく。

自分が愛するこのチームなら、どんな困難をも乗り越えられるはずだ。

そう信じて、いつもと変わらぬ、いやちょっと違って見える日常を、送っている。

次の愛媛戦、みんなで勝ちに行きましょう。

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