2023年2月23日(木)後編
偶然は必然的であって、今の自分にとって必要なこと。
智恵子姉さんからもらったことばだ。
私もそう思う。
うれしいことも、ちょっとかなしいことも様々。
一見大変だと感じることも、「きっと今の自分にとって必要なこと」と捉えてみる。気持ちを前に向ける。
次に進む、動き出す覚悟を決める。
やるか、やらないか。せっかくやるなら自分なりの楽しみを見出してみようじゃないか。
人生は選択の連続である。
シェイクスピアの名言も、最近心に沁みる。
あのとき、この選択をしていなかったら
今はどうなってたか?と振り返ることがある。
幸いなことに、あのときこうすれば…と後悔することはない。いつからか、自分の選択したことは後悔しない結果に自分自身ですることと腹を括るようになった。
自分の人生の舵は自分で持つ。
最近は、「あ、今きっと決める瞬間だな」と思う瞬間があり、そのときは俯瞰して自分を見ている気がする。
どうなるかわからないけど、ここで勇気を出して面白いと思う方を選択してみよう。
どっちに転けるかはわからないけど、何も変わらない安全な選択よりも、転んだとしても面白がれる自分でいればいいやと思うようになった。
とりあえずやってみよう。
楽しみながらやってみよう。
不安な時こそ、この言葉に勇気をもらってきた。
マリーナが16時で閉店し、行く先が白紙になる。
さてどうするか、交差点で立ち尽くす。
どこか他に喫茶店はありますか?と尋ねると
毛柴さんは2つ候補を挙げてくれた。
ホリ or タンゲーラ。
二つの選択に悩んでいると、後ろにはカドがある。
カドはくるみパンが有名な喫茶店だ。
くるみパンが大好きなので、一度は食べてみたいとカドに心が揺れた。しかし、その日はくるみパンの気分ではなかったせいか、カドにしよう!という気持ちにはならなかった。
ホリとタンゲーラについて聞く。
毛柴さん的にはホリのマスターが面白いとのこと。
タンゲーラはそんなに話したことはないけど昔ながらの喫茶店だと教えてくれた。
喫茶店やカフェ、好きなお店に行くときは
また会いたいと思う人の場所へ行くことが多い。
だからお店のメニューではなくて「人が面白い」と提案されたホリを選択した。
マリーナから歩いて7分ほどのところに、
ホリはあった。
喫茶HOLLY、コーヒー&サンドイッチ。
青看板が渋カッコいい。
思わずお店へ入る前に写真を撮った。
店内へ入るとマスターが1人。
夕方のニュースがテレビから流れる。
テレビの音が、人の家にお邪魔しているかのようなちょうどいい雑音で心地がいい。
「あんた、見ない顔だね。ウチははじめて?」
マスターに尋ねられる。
「マリーナへ行く予定が閉まっていて、HOLLYを教えてもらって初めて来ました。」と馬鹿正直にマリーナを目的にしていたことも伝えてしまった。
「なんだ、ウチが目当てじゃなかったのかい。なんだよ。知ってる?ウチはこの辺で2番目に長いお店なんだよ。」
「はじめはマリーナが目的だったけど、その後は
タンゲーラかホリで迷って、ホリに来たんです。」
「そうなの?タンゲーラは向島で1番長い喫茶店だよ。」
マスターはそう言いながら水を出してくれた。
「何にする?ウインナーコーヒーがウチはおすすめだよ。生クリームが乗ってるからね。」
本当はココアを頼もうとしたが、ウインナーコーヒーを勧められたので、マスターのおすすめに従うことにした。
「食べ物は?ウチはアメリカンサンドイッチが人気だよ。ほら、雑誌にも載ってるんだ。」
そういって、danchuの特集ページを見せてくれた。
サンドイッチのお店として紹介されていた。
ちょうどお腹も空いていたため、アメリカンサンドイッチとウインナーコーヒーを注文した。
キッチンからじゅーっとフライパンの音が聞こえる。
ほんのり温かいサンドイッチがでてきた。
アメリカンサンドイッチには目玉焼きが挟まっていた。
サンドイッチを食べながらマスターといろんな話をした。
「あんたどっから来たの?」
神奈川の日吉付近に住んでいることを伝えると
マスターの息子さんが昔その近くにいたこともあり
よく車で行ったことを教えてくれた。
そこからマスターが昔、鎌倉の方に住んでいたことや、当時若い時にバイトしていた天丼屋の話も教えてもらった。その天丼屋はマスターの親戚のお店で、調べてみると今はもう閉店していた。老舗の名店だったそうだ。
鎌倉に住んでいた話から、自分の育った昔話もしてくれた。地元話の流れで私の父が山口県出身であることを伝えると「山口のどこ?おれ結構詳しいよ。」といい、その理由も教えてくれた。
マスターのお父さんは、日本郵船の職員だったという。そのため海外へ行く機会も多く、各地の港に船が停泊するため、お父さんに会いに行く中で土地に詳しくなったそうだ。
知らないことが多い私に対して
「え?そんなことも知らないの?」と合間合間に突っ込まれ、マスターの毒舌の洗礼を浴びた。
内心、はじめての客によく言うなと思いもしたが
時折見せる優しさに悪い人じゃないことが伝わってくる。このちょっと毒のある会話も前のめりに楽しんでいこうと思った。
最後にマッチ箱も見せてくれた。
3種類ともマスターのオリジナルデザインで
どうしてこの絵なのかも意図を教えてくれて
その話を聞くだけでも面白かった。
茶色いマッチ箱をお土産にもらい、そろそろ帰ろうとお会計を済ませ荷物を持つ。
「また来ますね」と次の約束を伝えると
マスターは最後にこんな捨て台詞を吐いた。
「また来ますねって、あんた、神奈川からなんて、どうせ二度と来ないでしょ」
そんなことお店の人に言われたのはじめてだぞ…!
しかも結構いろんな話したのに…!と驚きつつも、
「言いましたね。わたし、言ったらちゃんと守るタイプなんで覚えておいてくださいね」と負けじと言葉を返した。
言葉が返ってくると思わなかったのか、
目を丸くして驚いた表情をされていた。笑
祝日でマリーナがたまたまいつもより早く閉店していたことでホリへ行くきっかけとなった。
少し早く行動してマリーナが開いている時間に到着していたら…
マリーナが通常通り営業していたら…
きっとホリへ行く機会は生まれなかったかもしれない。
偶然は必然的であって、今の自分にとって必要なこと。
行きたいところに行けなかったとしても
何か意味があるかもしれない。
人生は選択の連続である。
ちょっと先の未来がどうなるかわからないが
自分の選択を信じよう。
伏線回収を楽しむ気持ちで、今日もよい一日を。
Have a good HOLLY day.
2月23日前編のnoteはこちら。