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【6年制】病院薬剤師を辞めた私が薬に触れずに約10年仕事して分かったこと
この度は、私の社会人経験を少しでも活かしていただける機会があればと思い、執筆させていただくことにしました。
特に医療系の方々には、役立つことがあるかもしれませんので、これからのキャリアのことも含め参考にしていただけたらと思います。
■某都内総合病院 非常勤薬剤師の経験
この時期は、私が大学を卒業後国家試験浪人をしていたため、確実に薬剤師免許を取得した状態で入所した職場です。
当時は、就職氷河期と言われていた時期でありながら、薬学部の4年制と6年制の空白の2年間があったことで、薬剤師の新卒が2年間輩出されないという期間の恩恵もあり、他の業界に比べて薬剤師の業界はこだわりがなければ、かなり就活はやりやすい状況だったとされています。
しかし、そんな現役のときですら、私の就活は難航しておりました。
結局、大手の調剤薬局を1社内定をいただきつつ、12月ごろに総合病院の内定をいただいたことで、病院で働く予定でいました。
その後、国家試験を落ちたことで、即内定取り消しとなり、2日後の入社式を出席することなく、知らない土地でニート生活が始まりました。
そして、国家試験対策の予備校に半年間通っている際に、就活も同時に行いましたが、やはり現役のときと同様に難航したため、免許取得後に職探しをすることになりました。
そこで入社したのが、非常勤薬剤師としての求人でした。
総合病院で病床数の多い場所の非常勤薬剤師は、基本的には即戦力として育成されるようで、薬剤部内の全部署を経験することなく、特定の部署へ配属となりました。
私の場合には、医薬品在庫管理と注射調剤を主とする部門であったことで、1年ほどは調剤薬局で行うような薬の調剤を行いませんでした。
その後、異動の相談があり、せっかくならと内服調剤(調剤薬局と同じ仕事をやる)ができる部署へ異動となったわけですが、ここでの仕事があまり合わず退職となりました。
このときまでで約2年ほど病院内の薬剤部で仕事をしたことで、分かったことがあります。
薬剤師の仕事は
1:リレーのような連携プレーが必要
2:ミスを過大評価されやすい
3:薬の勉強をしてもあまり活かせる場所ではない
ということです。
1つずつ解説していきます。
1:リレーのような連携プレーが必要
これに関しては、薬剤師ってコソコソ何かやっているイメージがあると思うのですが、基本的には処方箋をリレーして行くことが主な仕事の基礎となっています。
処方箋の中身のチェック
処方箋通りに薬を取り揃える
処方箋に書かれた薬が取り揃えられているかチェック
処方箋の薬を見せながら患者に服薬指導する
この間に、最低で2人、多いと5人以上の薬剤師が関与していることもあります。
薬剤師の数だけ処方箋がリレーされていきます。
薬剤師は、個人プレーではなく、完全にチームプレーの職業です。(1人薬剤師の現場は除く)
私は、ここがそもそも合っていなかったように今でも感じます。
2:ミスを過大評価されやすい
そして、ここで2番目の項目になるのですが、このリレーをする際に最終チェックをしてくださる薬剤師に来てから、関わった人数だけミスがあると罵倒されることがあります。
例えば
薬の準備の調剤に関しては
取り揃えた薬の錠数、規格(1gや5gのように1つあたりの含有量が違う)、測った粉・水剤・粉砕したもの・軟膏の混合のミスなど
処方箋内容関連では
そもそもの処方箋のミス・患者の服薬歴の確認ミスなど
このようなことが起こります。
これを最後の薬剤師に赤ペン先生のように、チェックされていく工程で、人によっては結構キツめにいう人がいます。
患者が待っていて忙しくなると、薬剤部全体がなんとも言えない空気感になります。
これは、薬学生のときに調剤薬局で実習を2ヶ月半していても同様なので、薬剤師の仕事が全体的にこのような空気感になりやすいのです。
私が薬剤師をしてから10年くらいは経つので、今は機械かも少しは進んでいるようですが、そういうものは都内の一等地のような薬局くらいしかないので、今も変わらずのところが多いと思います。
そして、3つ目になりますが
3:薬の勉強をしてもあまり活かせる場所ではない
これは私の個人的な意見が多いですが、正直言って薬の知識がほぼなくても薬剤師はやれてしまう職業だと思います。
その理由として、どんなに薬ん勉強をしても処方権は医師にあることが大きな理由だと思います。
処方箋の内容を決められるのは、医師だけです。
薬剤師は、あくまでも処方箋のチェック、つまり赤ペン先生のような感じです。
どんなに薬のことを勉強して、処方に関するもっと有益な使い方を学んだとしても、医師が薬剤師側の意見を受け入れない限りは薬の勉強をしても活かせる場面は限りなくゼロだと思いました。
臨床で仕事をしている薬剤師の多くの質問内容は
その薬の配合変化(薬どうし一緒に混ぜたりしても平気か)や、併用薬(一緒に飲むと良くないか)に関する質問ばかりで、薬剤師側に患者を治療するための知識を使う裁量権のようなものが全然ないことが、すごくやりがいを失っていきました。
もしかしたら、病棟の薬剤師までなっていれば違ったのかもしれませんが、病棟の薬剤師になるというのは結構狭き門のようなところもあり
多くの薬剤師は調剤薬局やドラッグストアにいるわけなので、本当にただ薬を出す人と思われても仕方がないですし、それで稼げていることに満足している人たちなのだと思います。
なので、中には本当に薬剤師なのか?と思うくらいに薬の知識だけでなく、健康の知識が乏しい方もいます。
毎度、新薬は出てくるわけですが、多くの場合作用機序を本当の意味で理解できている薬剤師もどんどん少なくなっているのではと思います。
特に最近は、遺伝子レベルの技術が使われていたりするので、分子生物学関連の勉強をしてきていない層の年配薬剤師は、若手の薬剤師よりもそういう点は劣ると思います。
そして、何よりも
薬で治せるものは何一つないことを改めて悟ったことや
やはり病弱ビジネス=病気になる人がいることで豊かになる仕事
これが本当にやるせ無いと思ってしまったので、退職することにしました。
■今だから言える、後悔した薬剤師の辞め方
実は、私は病院薬剤師を辞めた次に就職先が某大学病院の研究補助員という、研究サポートスタッフになりました。
その間は、上司の異動の関係で2ヶ所の某有名国立大学と、某有名私立大学で5年ほど仕事していました。
それと同時に、病院薬剤師をしながら、知識をより世間に活かすことをしたいと思い、ウェブライターもしておりました(2024年で約10年目)
しかし、今思うと薬剤師の辞め方を間違えたと後悔しています。
それは、派遣薬剤師として働くチャンスを失ったことです。
この記事を薬学生が読んでいるのであれば
大変申し上げにくいのですが、将来の人生設計を考えたら、調剤薬局を選んだ方がいいと今の私ならアドバイスします。
実は、現役のときにこんなことを言われていた時期がありました。
調剤薬局をやると病院で薬剤師にはなれない
ドラッグストアで働くと調剤薬局では働けない
薬剤師免許を使わない仕事をすると薬剤師に戻ることができない
だから病院薬剤師を経験しておけ、みたいなのが実はありました。
しかし、今となって思うのが
病院薬剤師は意外といつでもなれるということ
そして逆に、調剤薬局の薬剤師は、調剤薬局の仕事してないなら中途採用はかなり難しいということです。
もちろん、人手不足とかなら話は別です。
今の時代は、超高齢化社会ということもあって、調剤薬局では在宅を行う薬局が増えてきています。
そのため、調剤薬局は薬剤師を欲しています。
(経験者が欲しいという意味で)
私は、個人事業をするようになってから、住民税などの税金を自分で支払うことになりました。
その際に、あまりの高額納税にびっくり(病院薬剤師だったので)してしまい、貯金がほとんど消えた経験があります。
それ以降は、少しずつですが借金が増えていくようになりました。
親の仕送りに頼ってしまう状態で情けない社会人生活です。
そして、ときどき薬剤師に戻ることを考えたりもして、パート勤務で求人を見たりするのですが、採用されたことが一度もありません。
それは、私の勤務体系に問題があるのもありますが(副業的に働きたかったので)
それ以上に、即戦力が欲しいので調剤薬局未経験者はあまり需要がないようにも感じてます。
そして、調剤薬局未経験者は、派遣薬剤師をすることもできません。
派遣薬剤師は、高時給で有名ですが即戦力重視なので、どうしても未経験者はお断りになります。
今戻れるならば、生活のお金を得るために、調剤薬局でパート勤務をまずは週3、4回で行いつつ、個人事業を行うと思います。
そして、個人事業が軌道に乗り始めたところで、調剤薬局を辞めるのではなく、週1回に減らす提案をします。
そして、事業がうまくいかなくなっても、時間はできる限りそちらに使いたいので、定期的に派遣薬剤師をやりながら食いつなぐことを今なら考えます。
調剤薬局の週1回+派遣薬剤師で現場を見ることをしつつ、個人事業に集中したいときには、派遣薬剤師を期限で辞めることも可能です。
片足でもいいので、調剤薬局に入っていることで、派遣薬剤師を行うことができるチャンスが得られます。
そして、派遣薬剤師の場合には、調剤を行うことはほとんどなく、基本的に服薬指導がメインであると知り合いの薬剤師から聞いたことがあります。
薬の棚の配置やルールは調剤薬局ごとで異なります。
棚に何が置いてあるかを覚えるだけでも、結構時間がかかる上に派遣として雇っている側としても、余計なタイムロスとコスパが悪いので、調剤しないでもらって、ガンガン患者の相手をしてもらった方がありがたいのです。
私は、これを知らなかったのもあったのと、調剤があまり好きではなかったのもあり(先程のミスとかすると咎められる感じとかも含め)
出来上がったものを服薬指導するだけの方が、本来の薬剤師の仕事ができるので、派遣っていいなと思ってしまったのが遅すぎました。
今もし、薬剤師を辞めようと考えていましたら、勤務日数が少ないパートに切り替えたり、派遣登録をして働いてみることをしてから辞めるのもありだと思います。
そうやって、薬剤師である経験も少しだけ積みながら、個人事業をしていき、もう大丈夫だと思えたときに個人事業に全部時間を使うでも良いと思います。
■その後、薬とは縁が遠くなった結果
その後私は、研究の仕事から美容専門学校の非常勤講師の仕事へと転職をします。
結局今のところは、正社員であったこともなく
ますます、個人事業で生計を立てるために、自由時間を作ることを優先した働き方になっています。
講師業は、合計でも8ヶ月ほどしか仕事はありません。
年収で言うと、1日1万円の軽作業のバイトを8時間、週5で行っていた方が年収は高い状況です。
薬剤師であると言う時点で、薬を扱えないのであれば、人の役にはなかなか立てないのかもしれないです。
しかし、私は健康に貢献したい、根本治癒に貢献したい気持ちが強かったので、、薬剤部では活かされることがない知識使って仕事をしています。
知識はもう段々と誰でも得られるものになっていきいます。
その影響もあってか、ウェブライター業もAIの波でかなり仕事が減ってしまいました。
そんな状態を過ごしながら、この10年は生活面ではよく言えばミニマリスト、悪く言えば極貧手前の浪人生のような生活が続いています。
もちろん、そんな年収では恋愛や婚活を行えるわけもありません。
結構相談所では、年収で入会拒否されるレベルであり、会費も払えないことも起こりそうです。
それでも、どうにかして稼ぐためにライターを続けたり、商業出版をしてみたり、監修をしてみたり、オンライン講座を作ってみたりしてきました。
まだまだ十分に個人事業で生きる、自立して生きると言う意味ではほど遠く感じますが、この記事を書いたことで
「あの時はいろいろあったけど、自分のビジネスで稼げるようになった」
そう言えるように、講師業で学んだことも糧にして、健康・美容・予防医学のプロとして活躍できるように、これからも発信していきます。
読んでいただきありがとうございました。
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