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徒然:白き夢の谷

白の羽根が舞い降り、大地を優しく包み込む。
木々は重たげに身をかがめ、風の手にそっと身を委ねる。

深く積もった白の波も、やがて陽に溶けゆく運命。
今はただ、冷たさの中に眠るだけ。

どれほど覆われても、下には息づくものがある。
時間がめぐれば、土が顔を出し、蕾がほころぶ。

この谷に満ちる白も、ただの通り道に過ぎない。
消えぬものなど何ひとつないのだから。

fin

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