見出し画像

徒然:庭に溶ける光

障子越しの光が畳に滲み、影が静かに伸びる。
風がそっと葉を揺らし、微かな音を紡ぐたび、
心の奥に積もった喧騒がほどけてゆく。
ゆるやかに流れる時の波に身をゆだね、
遠い記憶の温もりが胸を満たす。
石畳をなぞる光が、静かに語りかける。
「ここにいてもいいのだ」と。
庭に溶ける光とともに、ただ、呼吸をする。

fin

いいなと思ったら応援しよう!