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コンテクストデザインの誤読 -実践編-
前回「コンテクストデザインの誤読 -図解編-」を書きました。想像以上のスキをもらい嬉しい限りです。
今回もあくまで私の誤読ではありますが、この記事を読んでくれた人にも誤読が生まれ、コンテクストデザインの誤読がどんどん広がっていくことをささやかながら祈っています。
サブゼミに参加しました
2020年6月〜9月の3ヶ月間、SFCでTakram渡邉さんのサブゼミが開講されました。私は法政大学生なのですが、ご縁に恵まれ今回参加させていただくことになりました。
講義は全5回で、オンラインで開催されました。渡邉さんの座学と、他学生とのブレイクアウトルームでのディスカッションを通して作品を制作しました。
私の作品:宅配ヤギ
私が作った作品は宅配ヤギというものです。これは、借りパクしたものを返すための宅配便です。
仲介人として宅配ヤギが存在していて、このヤギが依頼主から借りパクしたものを相手にお届けします。
このように、借りパクした理由や返すのが遅くなった理由を書く空欄があり、依頼主はその空欄を埋めて手紙を完成させます。
宅配ヤギを送ってみた
実際に宅配ヤギを友達に送ってみました。私が借りパクしていたものは、高校時代の部活ノートです。大会でマネージャーをやる際に、過去にマネをやった友達から借りたものですが、忙しかったり受験期に入ったりなんだりで返すのを忘れていました。しかし、この部活ノートは友達の経験や思い出が詰まっている大切なもので、借りパクしていることに申し訳なさを感じていました…(しかし、その友達に会う時には忘れている…)
実際に宅配ヤギを使ってみました。手紙を書いて、ノートと一緒に包装紙に包んでレターパックで送りました。
数日後、インスタのストーリーに友達が写真とコメントをあげてくれました。話を聞いたところ「驚いたけど懐かしくて嬉しかった」と言ってくれました。「久しぶりに連絡を取るきっかけにもなっていいね」との声ももらいました。
友達に喜んでもらえたこともよかったですが、私自身もずっと借りパクしていたモヤモヤをはらせたのでよかったです。お互いにとっていい時間になったなと思います。
目指したこと
この宅配ヤギでコンテクストデザインする上で目指したことは2つです。
①読み手が書き手になること
②借りパクしたものを気持ちよく返すこと
読み手が書き手になること
一つ目の読み手・書き手に関しては、図のようなフローを考えました。
コンテクストデザインでは、読み手が書き手になりその書き手がまた読み手になるといった特徴があります。(詳しくはこちら)
宅配ヤギを知った人が、渡す相手を想像し誰かに宅配便を送る。そして、それを受け取った相手の心が動かされ、返信(画像の黒い方)をしたりSNSで連絡をとったりする。
このように宅配ヤギでも、読み手が書き手に、そして次の読み手が書き手に…という構図をとります。
読み手から書き手になりやすいように、「借りパク」という身に覚えのある人であれば連想しやすい切り口や、手紙の内容も穴埋めやチェック方式にして書きやすいように心がけました。
借りパクしたものを気持ちよく返すこと
二つめの、借りパクしたものを気持ちよく返すについてはヤギを仲介人にするということを考えました。
借りパクというのは決して気持ちの良いものではありません。ずっと人のものを持っているわけですから大小はあれど後ろめたさがあります。そこで、「ヤギが届けてくれる」というどこか他人行儀な設定にすることで、気まづさが和らげばいいなと考えました。
またこのヤギは少し適当な性格で、遅れた理由にも「ヤギが道草していた」などがあり、遅れた責任をヤギに押し付けることもできます。
最後に
このサブゼミでは、コンテクストデザインを実践するということで、コンテクストデザインとは何か、どうやったらいいのか試行錯誤を重ねました。
実際にやってみて、コンテクストデザインは人間らしい、心温まるものでした。そもそも人間は製品ではなくても料理をしたり文章を書いたり、ものづくりをする生き物です。コンテクストデザインでは読み手・書き手などの作法はありますが、それらはとても人間的であると思います。
ビジネスのことはおいといて、人と人の関係やその人自身のことを考える。このことは、ものづくりにおいて大切なことだと考えます。
私が勉強しているデザインは工業デザインであり、将来職についてもおそらくビジネスとしてのデザイナーになるでしょう。しかし、こういった人間らしいデザインというのは忘れてはいけないものだと思います。(それもそれで面白いですが)
これからも気ままにコンテクストデザインについて考え、時に実践できたらと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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