#DJ が語るHIP HOPを拡げて八街を音楽のまちに
八街市中高生向けの居場所「ナッツアップ?」が運営する『北総ミチ(道×未知)ゆくミライブラリー』は、地元のカッコイイ先輩達がどのような中高生時代を送っていたのかや現在どのような活躍をしているのかをインタビュー記事にまとめ、いま10代を送る方々のキャリアを応援するウェブコンテンツです。
中学時代の遊びが八街サイファーを開催するルーツに
ヒップホップはどうやって好きになったんですか?
音楽がないと生きていけないみたいな感じで、音楽は元からすごく好きでした。最初はGreeeenやサカナクション、SEKAI NO OWARIなどのJ-popを聞いていました。中学生のときフリースタイルダンジョンというヒップホップの深夜番組があって、学校でもラップを真似してみたりと話題になっていました。ある時ラップが好きな友達に「(ラップ)バトルしようぜ」と誘われてやりましたが、最初は全く言葉が出ず、メンタルにもクるし、もうやりたくないと思いました。ですが、集まったら(ラップ)バトルするという遊びを高校の時まで続けていたら、ラップが好きになって、今でもラップを続けています。
八街サイファーの始まりは?
八街サイファー(※)は、元々別の人が主催していました。その人は昔からの友達で、同時期にラップをやり始めた人です。最初は知り合いや友達を呼んで試しにやってみました。すると初めて来てくれる人もいて、 そこで繋がって仲良くなって来てくれる人もいて。2回目の時には3、40人来てくれました。そこから一気に広まったという感じがあります。 その後その友人が仕事の関係で千葉県を出てしまったので、俺が代わりに八街サイファーを主催するようになりました。八街サイファーが始まって半年ぐらい経って自分でDJもやり始めて、今も回しています。八街サイファーは、3年目に突入し、もう2年も経ったんだという感じで、始めた当初のことは今も鮮明に覚えています。
親の反対はありましたか?
すごくありました。「DJで稼げるわけない、なめてんのか。」とすごく反対されました。ですがやっぱりやりたい気持ちがあって続けていましたが、親にはいいませんでした。反対されることがわかっていたので、動いて証明してやろうと思い、パソコンとか機材をローンで全部買ってしまいました。買ったらもう動けるので、 ダメとかやめろとか言われても、バンバン動きました。そのうち親や家族も頑張れよという感じになりました。自分がやりたいことは本気でやって証明すれば、絶対に家族も納得すると思いますし、友達とかも絶対応援してくれます。そういう人たちを大切にしつつ、自分のやりたいことを曲げずに、中高生のみんなには頑張ってほしいですね。
現在の八街サイファー
八街サイファーは毎週金曜日の20時から22時に開催しています。年に3回、地元の祭りの日と周年記念のときにイベントを開いています。イベント時は結構人が集まりますが、普通の日は人はまばらです。多い時もあれば少ない時もあったりするので、そこも面白いとこですね。みんなタイミングが合ったら来てくれています。
八街サイファーのあり方は最初クルーを組んでいたのですが、解散しちゃって。そこからはクルーという概念より、来てくれた人で作り上げています。オーガナイザーが全部進行、運営しなきゃいけないというのは大変なので、来てくれる人や身内で色々分担してやっています。そうすると1人の負担も減るし、結束力も強くなります。今は大体僕が運営しているのですが、分担してやっていた時のその流れが今もあって、みんな結構手伝ってくれるので、とても助かっていますね。みんなのおかげで八街サイファーは成り立ってるという感じはありますね。
ヒップホップの面白さはどこにありますか?
ヒップホップには正解がありません。自分がやってる音楽がヒップホップって言えばそれがヒップホップだし、他人からそれがヒップホップじゃないって言われたらヒップホップではなくなります。
ヒップホップの中にも、色々なスタイルがあって、正解がないのが面白い世界です。違う視点から見れば、正解とも言えるし、不正解とも言えるので、常に自分と向き合い、 自分の中の正解を探しているみたいな感覚です。自分のヒップホップは絶対曲げちゃいけないものなので、それをやっています。
さまざまな垣根をこえて八街を音楽の街へ
今後の目標を聞かせてください
今どんどんイベントに出て、色んな人と関わって、自分のやりたい音楽はこれだなみたいのが確立しています。自分としては、もちろん大きくなりたいっていうのはありますし、たくさんイベントにでたいという思いはあります。ですが最近、千葉を盛り上げたいと強く思うようになりました。ヒップホップをやる中で、ちょっと嫌悪なムードになったりすることもあるんですが、千葉やヒップホップが大好きだったら、垣根を越えていきたいと思っていて。
もちろん僕にもスタイルがあって、ヒップホップはこういうもんっていうのはありますが、その上でみんなと一緒に盛り上がっていきたいなっていうのはありますね。
八街にはどんな想いがありますか?
自分のスタイルとしては、東京に赴いて若手のガンガンイケてるやつを目指してるわけではありません。ヒップホップという文化を人生で語っていきたいと思っています。その中で街にも還元じゃないですけど、八街にはお世話になったので、八街を音楽の街にしたいですね。八街は比較的治安が悪いイメージがあるので、“八街は音楽の街でもあるよ”っていうのをどんどん拡げていって、さらにはみんなもヒップホップを好きになってほしいと思っています。そしてヒップホップをやりたいっていう子が増えたらなおさら最高なので、これからも続けていきたいと思っていますね。
最後に中高生へのメッセージ
家庭のこと、友達関係、 街のことなど色々しがらみがあると思います。そういうものから逃げていい時ももちろんあります。でもどうしても立ち向かわなければいけない時が絶対に来ます。それでも自分を見失わずに、いつもそばにいてくれる人やいてくれるだけで安心する人、悩みをなんでも言える人を絶対に大事にした方がいいです。 これから先大人になっても、そいつは絶対隣にいると思うので。仲間とか家族とかは大切にしてください。
そして自分のやりたいことがあるんだったら、 絶対それは曲げない方がいいですね。もし本気でやりたいんだったら親の反対を押し切ってでもやった方がいいかなと思いますね。 続けてたらそれが本当にやりたいことに変わる瞬間があります。夢とか希望があるんだったら、そこに色々なものを費やした方が絶対いいと思いますね。
でもやはり中高生は遊び盛りの時期だと思うので、たくさん遊んでください。 みんなも「これ以外ない」と思うタイミングが絶対に来るので。やるしかないと思ったら、今しかできないそのことを全力でやってください。
-文:小川珠穂
=写真:五月雨さん提供
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八街市中高生の居場所「ナッツアップ?」