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#022 ハワイイにおけるグアバ加工物の歴史

カカアコ地区にあるリサイクルショップ Re-use Hawaiʻi に立ち寄って、ぶらぶらと冷やかしていた際に目についた、廃ネジのコーナー。

なるほどピルケースは使いやすいでしょうな

ロングス・ドラッグスとかで処方される薬が入っていたピルケースや、様々なガラス瓶や、そういった空き容器のたぐいに廃ネジが詰められており、しかしそれらの中身がさほどキッチリ種類別に分けられているというわけでもなさそうで、こんなの買うやついるのかなあ、と思いながら眺めていたんですが、そのうちのひとつに目が留まりました。
Niolopa というラベルの、グアバジェリーの瓶です。⁡

なかなか凝ったデザイン

この「Niolopa」の素性が気になって調べようとしたものの、ぜんぜんヒットしない。

よくよくラベルを見直してみると、SUISAN の文字を見つけました。ハワイイ島ヒロを拠点とする食品卸業者のスイサン、ですよね。
これを頼りにキーワードに加えて、さらにしつこく探索したところ、

米国議会図書館出版物目録データから見つけてきた1982年の論文「ハワイイにおけるグアバの歴史および製造物」に、情報の記載がありました。⁡

その文書の表紙部分のみ掲載。全文はこちらからどうぞ。

グアバのプランテーション生産とか、グアバのジャムやジェリーやジュースなどの加工品の製造は、1900年頃からハワイイ各地で始まった、とのこと。
コーヒー産業からの転作という例もあったようですよ。時代ですね。

そうやって各地で事業が勃興する中、1965年にジョージ某が Niolopa というブランドのグアバジェリー事業を SUISAN に売却した、という記録があります。
この論文は1982年のものなので、少なくともその時点では SUISAN はこのグアバジェリー事業を継続していたはず。ですが、後にどこかの時点で撤退した模様です。

Hawaiian Sun などのメジャーブランドは今でも残っていますけど、その陰には数え切れぬほどの淘汰があったんでしょうねえ。なんか醤油の事例が思い出されます。

そしてまた、こういうグアバ産業の系譜に連なって、これまたメジャーブランドである Meadow Gold のPOGとかが存在していたりするわけで、じつに味わい深いことです。

パッションフルーツ・オレンジ・グアバのミックスが POG


改めてNiolopa のラベルをよくよく見ると、右上にハワイイ王朝の紋草みたいなのが入っていることに気付くのですが、いったいどういう経緯でそうなっているのか分からない。

たぶん王朝の紋章に違いないんですが

⁡SUISAN というと魚の卸業というイメージが強いかもしれませんが、実際には魚に限定されないフードリテイル業なので、その一部としてこういったグアバ加工物などを扱っていた歴史もさもありなん、という気はします。
にもかかわらず、当の SUISAN からは関連する歴史情報にぜんぜん辿り着けないのが残念です。

とはいえ、調べてみてもなかなか情報源にヒットしないと、むしろちょっと嬉しかったりします。
で、何の役にも立たないようであっても、知見を得てその後の視点が広がる(場合がある)、という自分だけの余録はあって、せっせと調べるモチベーションはそれかもしれません。

そういう生活実感的な切り口で歴史を知るのも、なかなか楽しいものですよ。

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